S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ

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第1部 第5章 最高の仲間たち -製造準備-

第56話 番外編⑨ 学び始めた者たち

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 ――エルウッドが『フライヤーズ』を抜けてすぐのこと。

 エルウッドには志があったが、ろくに路銀がない。

 そこで大都市リングルベンの冒険者ギルドで、ひとりでもこなせそうな依頼を物色していたところ。

「エルウッド! 良かった、まだこの街にいたのね!」

「ラウラか。引き止めに来たんなら悪いが、オレは戻るつもりはないぞ」

「逆よ逆。あたしも辞めてきたの」

「いいのか? お前は、ジェイクを……」

「ええ、でもいいの。全部振り切ったわ。お陰で、今は心が軽くなったみたい」

「そうか、それは良かったと言うべきだな」

「ありがと。それで、エルウッドはこれからどうするつもりなの?」

 問われて、エルウッドは自分の鞄に詰め込んだシオンの本を見やる。

「オレはシオンの遺志を継ぐ。旅をしながら鍛冶修行を続けてみるさ」

「目的地はあるの?」

「アテはないが……そうだな。どうせ修行するなら本場がいい。のんびりメイクリエ王国でも目指してみる」

「ふぅん、そっか。じゃあ、途中まであたしと同じ方向ね」

「ラウラはどこへ行くんだ?」

「ロハンドール帝国魔法学院。冒険者向けの短期錬成コースが開講したらしいのよね。この際だから、しっかりA級になっておこうと思って」

「それはいい。なら途中までだが、組むか?」

「ええ、組みましょ。戦士と魔法使いのふたりなら、やれる仕事も増えるしね」

「そうだな。ラウラはもっと仕事を増やしたほうが良さそうだしな」

「んん? どういう意味? 実戦で修行しろってこと?」

「いや、気づいてないなら言っておくが……お前、店をやってる間、ちょっと肥えたぞ」

「なっ!?」

 ラウラは自分の体中に視線を巡らせる。

「そう言えば最近、服が縮んだな~って、思ってたけど……」

「服は縮んでないな」

「……少しくらいぽっちゃりのほうが、男ウケが良かったりしない?」

「自分でぽっちゃりって言うやつは、だいたいの場合は――」

「あー! あー! 言わないでわかってる! 魔法使わないとカロリー消費減るから、同じ量のつもりでも食べ過ぎになっちゃうのよ! ご指摘どうも! でもね」

 ラウラはエルウッドを睨んでくる。エルウッドはなぜだかわからない。

「デリカシーがなぁい! もっと気を使って指摘しなさいよ!」

 すぱぁん! と、ラウラのツッコミの張り手がエルウッドを襲った。

「それはすまん」

 盾役戦士のエルウッドは、びくともしなかった。

 ――そうしてふたりは旅立ち、今もそれぞれの目標に向かって旅を続けている。
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