30 / 30
エピローグ
しおりを挟む
ここで本当にキスしてしまって良いのだろうか?
少し悩んでしまうが、結衣だって今の言葉を口にするのにかなり勇気を出してくれたみたいだ。
よく見るとその小さな方は小刻みに震えていた。
それでもキスの態勢から動かない。
さすがにこの状態で何もしない……、というのは考えられない。
俺もゆっくり結衣の口に自分のそれを近づけていく。
するとその瞬間に前の観覧車に乗っている相場たちと目が合ってしまう。
彼らは俺たちの様子をまるで監視するかのようにジッと眺めていた。
その瞬間に俺は思わず離れようとするが、ちょうどそのタイミングで観覧車が揺れ、そして、結衣の口と俺の口がそっと触れあっていた。
相場たちには観覧車が揺れたから抱きとめただけにしか見えないだろう。
ただ、はっきりと俺には結衣の柔らかい口の感触を感じてしまった。
一瞬で顔が赤くなる俺たち。
俺が観覧車の席に着くとその隣に結衣も小さくなって座り込む。
恥ずかしさで縮こまっているからか、いつにも増して小さく見える。
そんな俺たちを見て、相場は満足したようでこちらを覗き込むのはやめていた。
「そ、その……、いざしてみると……、恥ずかしいね……」
結衣は乾いた笑みを浮かべながら俺の方を向いてくる。
「そうだな。これは少し恥ずかしいな」
「で、でも、恋人はこれを毎日のようにするんだよね?」
「ま、毎日かどうかはわからないが、頻繁にしてるな」
ただ、それはテレビとかで見たものの話で実際にしてるかどうかは怪しいところだった。
「流石に毎日これをするのは信じられないよ……」
結衣は恥ずかしそうに頬に手を当てていた。
「まぁ、俺たちのペースで頑張っていけばいいよ」
「そ、そうだね。ただ、今度はさっきみたいにたまたま当たった状態じゃなくて、しっかりとキスをしたいね……」
恥ずかしそうになりながらも自分の意見をはっきり言えるようになった結衣。
それを聞いて俺は小さくうなずいた。
そして、二人で手を繋いで観覧者が地上に戻るのを待っていた。
◇
地上に戻ってくると佐倉が大きく手を振ってくる。
「あっ、結衣ちゃん。どうだった? 良い雰囲気だったみたいだけど」
「えっ、み、見てたの?」
結衣が恥ずかしそうに顔を赤くする。
「まぁ、俺は気づいていたんだけどな……」
「な、なんで言ってくれないの!?」
「だって、さすがにあの雰囲気で口にすることはできないぞ……」
「うぅ……、恥ずかしいよ……」
「あと少しだったね、結衣ちゃん。次はちゃんとできるから頑張って」
佐倉が結衣のことを応援する。
そこで結衣は不思議そうな顔をする。
「えっ、あれっ?」
ただ、このままだと結衣が余計なことを言いそうなので口を挟む。
「それよりも二人の方がどうだったんだ?」
「えっ、私たち? 何もあるはずがないでしょ」
佐倉は驚いたように答える。
ただ、すこし頬が染まったところを見ると良い方向に進んでいったようだ。
「そうか……、それじゃあそろそろ帰るか」
「そうだね」
「あっ、私は相場に送ってもらうから結衣ちゃん達も気をつけて帰ってね」
佐倉が手を振って反対の方向へ走っていった。
まだ二人きりになりたかったのか、それとも俺たちに気を遣ってくれたのか……。
「それじゃあ俺たちも帰るか」
「うんっ」
笑顔で頷く結衣。
そんな彼女を家に送って帰る。
そして、結衣の家の前。
彼女は頬を染めて俺のことを見てくる。
「そ、その……、今日はありがとう」
「あぁ、俺も楽しかったよ」
「う、うん、それに……、その――」
結衣がもぞもぞと動きながら唇に手を当てていた。
「そうだな。最初のことから比べるとだいぶ恋人らしくなってきたよな」
「うん、だから次は勢いに任せて……じゃなくて、自分からできるように頑張るね」
結衣が頬を染めながら笑みを見せてくる。
そんな彼女を見ていると俺自身ももっと頑張らないといけないなとグッと手を握りしめていた。
そして、結衣に近付くとさっきみたいにバランスを崩して触れるだけのキスではなく、俺自身の意思で彼女の口にそっと自分の口を当てる。
感覚的には観覧車の中と同じ。
でも、自分からしたと言うことで俺は直接結衣が見られないほどに恥ずかしくなる。
それは結衣も同じなようで完全に思考が停止しているようだった。
時間をすこし空けてからようやく考えが追いついたのか、結衣が真っ赤になりながら声をあげる。
「えっ? えっ?」
「その……、なんだ。せっかく初めてした日なんだからあんな事故みたいなものじゃなくてしっかりしておきたいなって――」
「う、うん、そ、そうだね。その……ありがとう……」
何を言って良いのかわからずに結衣はお礼を言ってくる。
そして、二人して恥ずかしがっている様子がおかしくなって、いつの間にか俺たちは照れながらも笑みを浮かべていた。
「その、卓人君、これからもよろしくね」
「あぁ、俺の方こそよろしくな」
少し悩んでしまうが、結衣だって今の言葉を口にするのにかなり勇気を出してくれたみたいだ。
よく見るとその小さな方は小刻みに震えていた。
それでもキスの態勢から動かない。
さすがにこの状態で何もしない……、というのは考えられない。
俺もゆっくり結衣の口に自分のそれを近づけていく。
するとその瞬間に前の観覧車に乗っている相場たちと目が合ってしまう。
彼らは俺たちの様子をまるで監視するかのようにジッと眺めていた。
その瞬間に俺は思わず離れようとするが、ちょうどそのタイミングで観覧車が揺れ、そして、結衣の口と俺の口がそっと触れあっていた。
相場たちには観覧車が揺れたから抱きとめただけにしか見えないだろう。
ただ、はっきりと俺には結衣の柔らかい口の感触を感じてしまった。
一瞬で顔が赤くなる俺たち。
俺が観覧車の席に着くとその隣に結衣も小さくなって座り込む。
恥ずかしさで縮こまっているからか、いつにも増して小さく見える。
そんな俺たちを見て、相場は満足したようでこちらを覗き込むのはやめていた。
「そ、その……、いざしてみると……、恥ずかしいね……」
結衣は乾いた笑みを浮かべながら俺の方を向いてくる。
「そうだな。これは少し恥ずかしいな」
「で、でも、恋人はこれを毎日のようにするんだよね?」
「ま、毎日かどうかはわからないが、頻繁にしてるな」
ただ、それはテレビとかで見たものの話で実際にしてるかどうかは怪しいところだった。
「流石に毎日これをするのは信じられないよ……」
結衣は恥ずかしそうに頬に手を当てていた。
「まぁ、俺たちのペースで頑張っていけばいいよ」
「そ、そうだね。ただ、今度はさっきみたいにたまたま当たった状態じゃなくて、しっかりとキスをしたいね……」
恥ずかしそうになりながらも自分の意見をはっきり言えるようになった結衣。
それを聞いて俺は小さくうなずいた。
そして、二人で手を繋いで観覧者が地上に戻るのを待っていた。
◇
地上に戻ってくると佐倉が大きく手を振ってくる。
「あっ、結衣ちゃん。どうだった? 良い雰囲気だったみたいだけど」
「えっ、み、見てたの?」
結衣が恥ずかしそうに顔を赤くする。
「まぁ、俺は気づいていたんだけどな……」
「な、なんで言ってくれないの!?」
「だって、さすがにあの雰囲気で口にすることはできないぞ……」
「うぅ……、恥ずかしいよ……」
「あと少しだったね、結衣ちゃん。次はちゃんとできるから頑張って」
佐倉が結衣のことを応援する。
そこで結衣は不思議そうな顔をする。
「えっ、あれっ?」
ただ、このままだと結衣が余計なことを言いそうなので口を挟む。
「それよりも二人の方がどうだったんだ?」
「えっ、私たち? 何もあるはずがないでしょ」
佐倉は驚いたように答える。
ただ、すこし頬が染まったところを見ると良い方向に進んでいったようだ。
「そうか……、それじゃあそろそろ帰るか」
「そうだね」
「あっ、私は相場に送ってもらうから結衣ちゃん達も気をつけて帰ってね」
佐倉が手を振って反対の方向へ走っていった。
まだ二人きりになりたかったのか、それとも俺たちに気を遣ってくれたのか……。
「それじゃあ俺たちも帰るか」
「うんっ」
笑顔で頷く結衣。
そんな彼女を家に送って帰る。
そして、結衣の家の前。
彼女は頬を染めて俺のことを見てくる。
「そ、その……、今日はありがとう」
「あぁ、俺も楽しかったよ」
「う、うん、それに……、その――」
結衣がもぞもぞと動きながら唇に手を当てていた。
「そうだな。最初のことから比べるとだいぶ恋人らしくなってきたよな」
「うん、だから次は勢いに任せて……じゃなくて、自分からできるように頑張るね」
結衣が頬を染めながら笑みを見せてくる。
そんな彼女を見ていると俺自身ももっと頑張らないといけないなとグッと手を握りしめていた。
そして、結衣に近付くとさっきみたいにバランスを崩して触れるだけのキスではなく、俺自身の意思で彼女の口にそっと自分の口を当てる。
感覚的には観覧車の中と同じ。
でも、自分からしたと言うことで俺は直接結衣が見られないほどに恥ずかしくなる。
それは結衣も同じなようで完全に思考が停止しているようだった。
時間をすこし空けてからようやく考えが追いついたのか、結衣が真っ赤になりながら声をあげる。
「えっ? えっ?」
「その……、なんだ。せっかく初めてした日なんだからあんな事故みたいなものじゃなくてしっかりしておきたいなって――」
「う、うん、そ、そうだね。その……ありがとう……」
何を言って良いのかわからずに結衣はお礼を言ってくる。
そして、二人して恥ずかしがっている様子がおかしくなって、いつの間にか俺たちは照れながらも笑みを浮かべていた。
「その、卓人君、これからもよろしくね」
「あぁ、俺の方こそよろしくな」
1
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2026.1.21)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない
朝陽七彩
恋愛
十五年ぶりに君に再開して。
止まっていた時が。
再び、動き出す―――。
*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*
衣川遥稀(いがわ はるき)
好きな人に素直になることができない
松尾聖志(まつお さとし)
イケメンで人気者
*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*
三年間片思いしていた同級生に振られたら、年上の綺麗なお姉さんにロックオンされた話
羽瀬川ルフレ
恋愛
高校三年間、ずっと一人の女の子に片思いをしていた主人公・汐見颯太は、高校卒業を目前にして片思いの相手である同級生の神戸花音に二回目の告白をする。しかし、花音の答えは二年前と同じく「ごめんなさい」。
今回の告白もうまくいかなかったら今度こそ花音のことを諦めるつもりだった颯太は、今度こそ彼女に対する未練を完全に断ち切ることにする。
そして数か月後、大学生になった颯太は人生初のアルバイトもはじめ、充実した毎日を過ごしていた。そんな彼はアルバイト先で出会った常連客の大鳥居彩華と少しずつ仲良くなり、いつの間にか九歳も年上の彩華を恋愛対象として意識し始めていた。
自分なんかを相手にしてくれるはずがないと思いながらもダメ元で彩華をデートに誘ってみた颯太は、意外にもあっさりとOKの返事をもらって嬉しさに舞い上がる。
楽しかった彩華との初デートが終わり、いよいよ彩華への正式な告白のタイミングを検討しはじめた颯太のところに、予想外の人物からのメッセージが届いていた。メッセージの送り主は颯太と同じ大学に進学したものの、ほとんど顔を合わせることもなくなっていた花音だった。
溺愛のフリから2年後は。
橘しづき
恋愛
岡部愛理は、ぱっと見クールビューティーな女性だが、中身はビールと漫画、ゲームが大好き。恋愛は昔に何度か失敗してから、もうするつもりはない。
そんな愛理には幼馴染がいる。羽柴湊斗は小学校に上がる前から仲がよく、いまだに二人で飲んだりする仲だ。実は2年前から、湊斗と愛理は付き合っていることになっている。親からの圧力などに耐えられず、酔った勢いでついた嘘だった。
でも2年も経てば、今度は結婚を促される。さて、そろそろ偽装恋人も終わりにしなければ、と愛理は思っているのだが……?
羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
泉野あおい
恋愛
人の気持ちに重い軽いがあるなんて変だと思ってた。
でも今、確かに思ってる。
―――この愛は、重い。
------------------------------------------
羽柴健人(30)
羽柴法律事務所所長 鳳凰グループ法律顧問
座右の銘『危ない橋ほど渡りたい。』
好き:柊みゆ
嫌い:褒められること
×
柊 みゆ(28)
弱小飲料メーカー→鳳凰グループ・ホウオウ総務部
座右の銘『石橋は叩いて渡りたい。』
好き:走ること
苦手:羽柴健人
------------------------------------------
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
はじめまして。
こういう雰囲気のお話、すごく好きです。