虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven

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ファリルとの会話

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「なぜとおっしゃいましたか?」

 そういった女精霊さんはとても緊迫した空気を纏っていた。その空気に圧倒されながらも私は答えた。

「はい。私はよくわからないけれど精霊王ラーレさんの愛し子です。そしてそれ以上でも以下でもありません。ですので、まだ番でもない私にそのように丁寧に接してくださるのは何故なのかなと思いました」

 すこし生意気みたいになってしまっただろうか。でも気になったことは全部言えたはずだ。少し満足げになっている私の目の前でその精霊さんが少し呆れたような顔をしていた。しばらくして覚悟を決めたようで私に話しかけてきた。

「まだ、セレス様は我々精霊の間での愛し子の大切さをよくわかってられないご様子ですね。今すぐにでもお教えして差し上げたいのですが、それでは失礼に当たりますのでセレス様のご自室に戻りましたら少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか」

 そう言われてしまったら断れなくなってしまった。私はまだまだ精霊界について知らないのでできれば多くの情報が欲しい。直々に教えてくださるのであればすごく嬉しい。

「ぜひお願いいたします。えーと」
「ファリルと申します」
「あ、ファリルさ――」
「ファリルでございます」
「ふぁりる?」
「えぇ、そうでございます」

 さん付けしようと思ったら思いっきり拒否されてしまった。緑の綺麗な長い髪がファリル。よし覚えた。いっぱい使用人さんがいるみたいだから、少しずつ覚えていこう。


「では、こちらのお召し物に着替えましょうか。もちろん、お着替えは手伝わせていただきます」

 そう言って見せられたのは、綺麗な花が咲いているワンピース。けっして派手ではないけれど、地味ではない。とても好きなデザインだった。着替えた後、鏡の前に案内されて私は鏡の中の人を見た。

「自分の姿を見るなんて何年ぶりだろう。そっか私こんな顔をしていたのね」

 鏡の中の人が自分だと認識するまでに少々時間がかかったが、顔に手を当てることで気がつけた。

「あの頃の私はこんなふうに成長したのね……」

 そう思いながら顔にある傷に手を触れた。こんな風に傷つけられていたのか。ただただ痛いだけだった傷を目の当たりにして塞がっているはずのそれがズキズキと痛んだ。

「傷が、気になりますか?」

 鏡の虜となっていた私を気遣ってくれたのかファリルさんが話しかけてきた。

「いえ、そうではありません。鏡を見るのが久しぶりでしたので……」
「そうでしたか。お召し物はお気に召されましたか?」
「こ、……こんな服、本当に私が、着ていいのですか?」

 そう、とてもこの服は素敵で可愛い。だから、私は心配になってしまった。今まであの生活をしていた私が、こんな傷だらけの私がこんな綺麗な服を着ていいのか、と。

「はい。セレス様のために作らせていただいたものですから。セレス様が人間界にいた時、ご一緒していたリリ、ルナ、ローナの三人にセレス様の好きなものをお聞きしました。そこから作らせていただきましたので、きっとセレス様好みになっているはずなのですが……。お気に召しませんでしたか?」

 ファリルさんの話を聞いていると私が考えはただの思い過ごしのようだった。私のための服。私の好きな服。そう考えるととてもこの服が恋しくなった。もう一生離したくない思った。私に似合う似合わない関係なしに。

「いいえ。私、この服すごく好きです。ありがとうございます、このような素敵な服を作ってくださって」
「私共めには勿体無いお言葉。ありがとうございます」

 こちらが感謝したかったのにもっと感謝されてしまった。

「では、セレス様のお部屋に案内させていただきます」

 そういうファリルさんに私は黙ってついて行った。お城の中はとても綺麗で、現実とはかけ離れたものだった。

「こちらでございます」

 私は、開かれた扉の先に歩みを進めた。思わず声がもれでてしまった。

「す、ごい。」

 私の横で少しだがファリルさんの表情が変わった気がした。

 用意されていた私の部屋は、これまでの私の部屋の何倍もある部屋。すごい大きなベッドで、鏡もあってベランダもあって、大きな窓もある。夢に描いたような部屋だった。でも、どんなとこに住みたいなんてリリ達に入ってないはず。

「こちらの部屋は、わたくしたちが単独で選ばせていただきました」

 そう言って数人が私の目の前に出てきた。

「ありがとうございます。すごく気に入りました。本当に私が描いていた理想そのものです。本当にありがとうございます」

 そう私が伝えると、涙目が一名、震えているのが一名、肩を振るわせすごく笑顔でこちらを見てくるのが一名。とてもカオスな状況となった。言葉を発さなくなってしまった三人を横目にファリルさんが私に椅子を用意してくださった。その目の前のテーブルにはもうすでに紅茶が置かれてあった。

「では、これから愛し子の大切さについてお話しさせていただければと思います」

 
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