魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす

 ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。
 ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。
 伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。
 そして、告げられた両親の死の真相。
 家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。
 
 絶望しかなかった。
 涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。
 雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。

 そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。
 ルーナは死を待つしか他になかった。
 途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。
 そして、ルーナがその温もりを感じた日。
 ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。
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