虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven

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歓迎パーティと緊急事態

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「緊張、していますか?」

 初めて街に出てからすぐに1ヶ月がたった。その間、本当に色々な準備があった。オーダーメイドしたドレスを何度も試着したり、マナーの練習をしたり、ダンスの練習だってした。1ヶ月で全て仕上げられるのか心配だったけれど血の滲む努力のおかげか、講師の方に及第点が出るまでは上達した。本当に大変だった。

 そして今、お揃いのデザインを着て私たちは大広間の扉の前にいる。そう今から入場をするのだ。心臓が飛び出るほど緊張している。手汗もだくだくだ。

「はい、とても」
「では一度、私に向き合って両手を出していただけますか?」

 私は言われた通り、ラーレさんの方を向き両手を乗せた。するといきなり手が光り、体が暖かくなったのを感じた。

「これは?」
「軽く私の魔法をかけました。どうでしょう、先ほどより緊張は落ち着きましたか?」

 完全に緊張がなくなったとは言えないけれど、さっきよりかは楽になった。

「ありがとうございます、魔法って本当に不思議ですね」

 私は大きく息を吸った。

「ラーレさん、行きましょう」
「はい、セレス」

 私たちの準備が終わったことを悟った門番の方は、トランペットを鳴らし、私たちの入場を宣言した。

「精霊王ラーレ、愛し子セレス様の入場です」

 扉がゆっくりと開き広間の様子が光と共に見えてくる。

「さぁ、お手を」

 扉が開き切ったのを確認して、ラーレさんは私に手を出した。私はその手の上に私の手を乗せる。呼吸を揃えてまっすぐ前を見据え、背筋を伸ばして歩き始めた。



 精霊たちがいっぱいいる。そして、その全てが私たちのことを見ている。とても緊張してしまう。でも、ラーレさんが隣にいるから大丈夫。

「皆、今日はよく来てくれた。隣にいるのが我が長らく探し続けてきた愛し子、セレスだ」

 私の紹介をラーレさんがしてくれた。ラーレさんが私の番だという視線を向けてくる。もう一度深呼吸をして一歩前に進んだ。

「皆さん初めまして。私は根っからの人間です。ですが、ラーレさんには返しきれないほどの恩をいただきました。その恩を少しづつでも返していくため、この精霊界で頑張って行くので見守っていてください。これから、よろしくお願いいたします」

 最後に軽く礼をする。腰を折ってはいけないから軽く頭を下げる程度だけれど。頭をあげると皆が皆幸せそうな表情で、私に大きな拍手をしてくれた。それがとても嬉しくかった。

「我は今ここに宣言する! セレスを次期王妃にすることを!」

 はい。それは以前から聞いていたし、王の愛し子であるということは次期王妃であると同等であることも知っていた。だからこそのあの挨拶だった。私がこれから王妃として歩む道を見ていてほしい、そう意味を込めて言った。

「今日は楽しいパーティだ!皆が忘れられないような日になることを願っている!」

 そう言って私たちの挨拶は締められた。








「………………これで、ひと段落ですか?」
「はい、挨拶したいという方はまだまだいるのですが一度ここで休憩いたしましょう」

 全体への挨拶が終わった後、個人への挨拶会が始まった。国の宰相に近衛騎士の団長、公爵家の方々などなど。とりあえずいっぱいいた。とてもじゃないが一人一人の名前なんか覚えられるわけがなかった。これでまだまだ後がいるなんて考えられない。隣を見るにラーレさんもかなり疲れているようだった。使用人から渡された飲み物を飲もうとすると、先に口をつけていたラーレさんが私の腕を叩いた。

「――――!セレス、飲むなッ!ど、く、だ…」


 バタンッ!

 

 ラーレさんが含んだ飲み物を少し吐き出しながら、椅子から雪崩れ込み倒れたのが見えた。見えたのは分かったけれど、それを頭が認識するのは、叩かれた腕が熱を持ち始めてからだった。

「――――ラーレさん!!!だ、誰か!!早く!!」

 私の声を聞いて周りの人が事態に気づく。

 どく、どく、毒。何をしたらいいんだっけ。確か毒を飲んだ時の対処法あったはずなのに。思い出せない。ここで思い出せなかったら学んだ意味ないのに。

「陛下今部屋にお連れいたします!!セレス様も一度部屋に!!」

 そうだ。こういう時、民に対してしなければいけないことがあったはず。

「皆さん!!本日のことについて箝口令をしきます!!!一言たりとも外に漏らすことは許しません!!万が一そのようなことがあった場合、王族侮辱行為とみなし罰を与えます!!」

 これで大丈夫なはず。それよりもラーレさんの元へ行かなければ。

 
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