虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven

文字の大きさ
14 / 17

告白

しおりを挟む

「おはようございます、セレス」

 昨夜すごく忙しかった気がするんだけれど、何があったんだっけ。えっと歓迎パーティがあって、それで飲み物を飲もうとしたら確かラーレさんが急に……そ、そうだ!!

「ラーレさんは!?」
「はい、どうしました?」

 あ、そうだ。なぜかは知らないけれどラーレさんは意識が戻ったんだった。強張った肩が目の前の笑顔を見た途端に力が抜けていくのを感じた。

「そうだ、生きてるんだ」

 おもむろにラーレさんの手を握り何度も確認する。昨日触った、手はとても、冷たくもう生きていないもののそれだったのに。今はもうとても温かった。

「どうしました?」
「いや、ラーレさんが生きていてくれてとても嬉しいなって思いまして」

 私は笑顔でそういった。うん、そういえば私昨日どこで寝たんだっけ。

「――――!ご、ごめんなさい!」

 私は今になってようやく自分の置かれている状況を理解した。私がラーレさんに覆い被さる形でそのまま寝てしまい、今、私はラーレさんベッドの上にいてしかもラーレさんに密着する形でいる。本当に今までどうかしていた!!確かにラーレさんが死んでしまいそうで、とても動揺していたけれども、でもこれはあり得ない!!それに、ラーレさんのこと好きだって、気づいたばかりなのに!!


 私は慌ててラーレさんのベッドの上からどいた。そのまま床に座って頭を下げた。

「毒をあおっていた人の横で呑気に寝ているなんて、本当に申し訳ないです!!それに、覆い被さって寝るなんて、本当に失礼なことを!!」
「いいんです。気にしないでください。それほど、私のことを大切に思っていくれていたということですものね」

 まぁ、否定はできない。もう二度とこういうことがなくて欲しいと思うほどに。


 少し雑談をしている時、扉をノックし入ってきたのは、昨日ラーレさんを見てくれていた宮廷医師の方だった。

「おはようございます。ラーレ陛下、セレス様。お加減はいかがお過ごしでしょうか」

 あれ、ラーレさんが起きていることに驚いていない。なんでなんだろう。もしかして、私が寝てしまった後に、訪ねてきていたのかな。それだったら、私の失態も見ていたってこと?それはちょっと恥ずかしいかもしれない。


「ラーレさんの診察をするのはわかるのですが、なぜ私まで?」

 ラーレさんの触診が終わった後、なぜか私まで診られていた。だから思わず聞いてしまったのだ。そうすると、お医者様は

「当然です。覚えていられないかもしれませんが、セレス様はきっと癒しの力を使われたのですから」
「そうですよセレス。私を救うために、セレスは癒しの力を使われました。きっとダヌア様の力を引き継がれたのですね」

 私が癒しの力を使った?あの時、私とラーレさんを包んだ光が癒しの力ってことなの?でも、私あの力はもう二度と使えない気がする。

「申し訳ないのですが、私癒しの力とやらはもう二度と使えないと思います」

 そう私が言うと二人とも、驚いた表情でこちらを見た。
 
「なぜですか?」 
「なぜ、っていう明確な理由はないんです。ただ私の勘、ですので」

 癒しの力を使える者は限られていて、私が使えるととてもみんなが助かるのはわかっているけれど、あの時だけお母様が力を貸してくれたような気がする。

「本当にごめんなさい。裏切るようなことしちゃって」
「いえ、もう使えない力だとしても私のことを救ってくれたのは確かですから。ありがとうございます、セレス」

 ラーレさんにそう感謝を述べられ、私は鼻がきゅうっとなった。
 
「では、お二人が元気なことを確認しましたし、私はそろそろお暇させていただきます。何かあればすぐに呼んでください」

 そう言ってお医者様は部屋を出て行ってしまった。



 うん。私もお医者様について部屋を出ればよかったな。完全に間を見失ってしまった。それに、自分の恋心を自覚して初めて落ち着いてラーレさんと一緒にいる。前までこんな時どうしてたっけ。

「セレス」
「――!はい!」

 そんなことを考えていればラーレさんがいきなり私を呼んだ。驚いて大きな声で返事をしてしまった。すごく恥ずかしい。

「少し、ベランダに出ませんか?」

 そう言われ私たちはベランダに出た。今日は日の出がゆっくりみたいだ。まだ、日が出ていない。そんなことを考えているとラーレさんが私を呼んだ。とても神妙な顔つきだ。どうしたんだろう。

「私、本当にあなたに感謝をしています。この命を救っていただいたこと、あなたが愛し子として生まれてきてくれたこと。とても、感謝をしています。今回私が毒をあおった時今までであればきっとこのまま死んでも良いと思っていました。ですがあなたに出会って、あなたの境遇を聞いた時とても肝が冷えました。ああなぜ早くあなたのことを見つけられなかったのかと、とても後悔しています。だからせめてもの償いにこれからはあなたのことをとても幸せにしようとそう誓っていました。その機会をもう一度与えてくれてありがとう」

 日の出が始まってみたいで、ラーレさんの髪がとてもキラキラ輝いて見えた。一息ついてラーレさんはもう一度話し始めた。

「私はあなたを愛してます。愛し子だからではなくセレスあなたを愛しています。だからこれからずっとあなたのそばに、あなたのことを幸せにします。だから結婚してくれますか?」

 急なことに私は頭が真っ白になった。冗談だって思ったけれど、彼の瞳を見たらそんなことは言えなかった。

「私、ラーレさんが死にかけてやっとあなたのことが何よりも大切だって気づいたのです。あなたがいない世界なんて私はもう生きていけなくなってしまいました。だから、責任をとってください」

 彼の熱のおびた瞳を見てたら、そう自然と言葉が漏れてしまっていた。だけど、後悔はしていない。きっといつまでもこの気持ちを抑えておこうとも思っていなかったし、すぐに伝えようと思っていたから。伝えられないままさよならするなんて絶対に嫌だったから。

「あぁ、もちろん責任を取るよ。私の命全てをかけてね」

 ラーレさんは私の頬に手を当て、顔を寄せた。

 私たちの唇が重なり合った。

「愛しているよセレス」
「私もですよ、ラーレさん」

 

 

 朝日が昇る。私たちを祝福しているかのようでとても綺麗だった。 

 


 






しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。 彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。 ――その役割が、突然奪われるまでは。 公の場で告げられた一方的な婚約破棄。 理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。 ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。 だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。 些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。 それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。 一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。 求められたのは、身分でも立場でもない。 彼女自身の能力だった。 婚約破棄から始まる、 静かで冷静な逆転劇。 王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、 やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。 -

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果

柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。 彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。 しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。 「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」 逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。 あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。 しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。 気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……? 虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。 ※小説家になろうに重複投稿しています。

魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす

三谷朱花
恋愛
 ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。  ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。  伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。  そして、告げられた両親の死の真相。  家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。    絶望しかなかった。  涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。  雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。  そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。  ルーナは死を待つしか他になかった。  途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。  そして、ルーナがその温もりを感じた日。  ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。

旦那様に「君を愛する気はない」と言い放たれたので、「逃げるのですね?」と言い返したら甘い溺愛が始まりました。

海咲雪
恋愛
結婚式当日、私レシール・リディーアとその夫となるセルト・クルーシアは初めて顔を合わせた。 「君を愛する気はない」 そう旦那様に言い放たれても涙もこぼれなければ、悲しくもなかった。 だからハッキリと私は述べた。たった一文を。 「逃げるのですね?」 誰がどう見ても不敬だが、今は夫と二人きり。 「レシールと向き合って私に何の得がある?」 「可愛い妻がなびくかもしれませんわよ?」 「レシール・リディーア、覚悟していろ」 それは甘い溺愛生活の始まりの言葉。 [登場人物] レシール・リディーア・・・リディーア公爵家長女。  × セルト・クルーシア・・・クルーシア公爵家長男。

傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~

キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。 両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。 ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。 全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。 エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。 ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。 こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。

女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る

小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」 政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。 9年前の約束を叶えるために……。 豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。 「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。 本作は小説家になろうにも投稿しています。

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

【完結】婚約破棄されたユニコーンの乙女は、神殿に向かいます。

秋月一花
恋愛
「イザベラ。君との婚約破棄を、ここに宣言する!」 「かしこまりました。わたくしは神殿へ向かいます」 「……え?」  あっさりと婚約破棄を認めたわたくしに、ディラン殿下は目を瞬かせた。 「ほ、本当に良いのか? 王妃になりたくないのか?」 「……何か誤解なさっているようですが……。ディラン殿下が王太子なのは、わたくしがユニコーンの乙女だからですわ」  そう言い残して、その場から去った。呆然とした表情を浮かべていたディラン殿下を見て、本当に気付いてなかったのかと呆れたけれど――……。おめでとうございます、ディラン殿下。あなたは明日から王太子ではありません。

処理中です...