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2章 村での生活
34話 ブレンまでも狂わせる幸福成分
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とにかく、石窯から取り出してみるか。
俺が石窯の戸を開けると、芳ばしい焼き芋の香りが辺り一面に広がった──と言うより、全身に入り込んでくると言うか染み渡ってくると言うか……ちょっと言葉に出来ない感じだ。
俺は反射的に腕を口と鼻を覆うように当てた。
なんと言うか……思いっきり吸い込んだらおかしくなってしまいそうな気がしたからな。
ふと、後ろの二人があまりにも静かなので気になって振り返り──そしてすぐに顔を前に戻した。
なぜなら、二人が陶酔したような顔をしていたからだ。
……と言うか、他人が見ちゃいけないような顔だったと言ってもいい。
ブレンですら、嘴を開けっぱなしで目が半分閉じて変な体勢していたしな……
少しして石窯からの芳ばしい香りが落ち着いてくると、背後で物音がした。
音からして動き出したのはブレンだと思うが、まだ正気じゃない可能性もあるしもう少しこのまま様子を見ようかな──
《り、リョウさん! 大丈夫ですか!?》
(俺は大丈夫だけど、どうかした?)
変に動揺したらばれそうだし、強く意識してしまってもブレンには伝わってしまう可能性が高い。
とにかく思い出さないようにして、平常心だ……
《い、いえ……その……この香りはあまり吸い込むと危ないような気がするので、石窯を開けたリョウさんは大丈夫だったかなと心配になっただけでして……ラベンダーさんも凄いお顔でしたし……》
(俺は無意識に腕で防いでいたから問題ないよ。しかしすごい顔か……なら、俺がラベンダーの方を見るのは不味そうだから、正気に戻ったら教えてくれる?)
《リョウさんって、時々野性児みたいな時がありますよね……ラベンダーさんのことはお任せ下さい!》
慌てたような声ではあるけど、とりあえずブレンは正気に戻ってるみたいでよかった。
と言うか誰が野性児だ!?
確かに無意識でガードしたけど……
……うん、確かに野生児かもしれない……
しかし、ラベンダーはブレンにもヤバい顔を見られちゃったんだな。
ラベンダーの為にも、さっき見たことは忘れなくては。
……ブレンは自分が見られたとは思ってなさそうだし、さっき俺が振り返ったのは内緒にしておこう……
数分後、更にミドリサツマノイモの香りが薄れたお陰かラベンダーも無事正気に戻ったとブレンが教えてくれた。
「先生……すみませんでした……いい香りだったので、おもいっきり吸い込んでしまいました……」
「いやいや、吸ったらこうなるなんて誰も知らなかったんだし、あれだけいい香りなんだから仕方ないと思うよ? 俺も反射的に鼻を塞がなかったらどうなっていたか……」
実際、腕で防いだのは無意識に近かったからな。
「今更なんですけど、ミドリサツマノイモは食べても大丈夫なんでしょうか……?」
それは俺も思った。
香りだけでこんなになるのに、果たして食べて問題ないのか……?
俺が石窯の戸を開けると、芳ばしい焼き芋の香りが辺り一面に広がった──と言うより、全身に入り込んでくると言うか染み渡ってくると言うか……ちょっと言葉に出来ない感じだ。
俺は反射的に腕を口と鼻を覆うように当てた。
なんと言うか……思いっきり吸い込んだらおかしくなってしまいそうな気がしたからな。
ふと、後ろの二人があまりにも静かなので気になって振り返り──そしてすぐに顔を前に戻した。
なぜなら、二人が陶酔したような顔をしていたからだ。
……と言うか、他人が見ちゃいけないような顔だったと言ってもいい。
ブレンですら、嘴を開けっぱなしで目が半分閉じて変な体勢していたしな……
少しして石窯からの芳ばしい香りが落ち着いてくると、背後で物音がした。
音からして動き出したのはブレンだと思うが、まだ正気じゃない可能性もあるしもう少しこのまま様子を見ようかな──
《り、リョウさん! 大丈夫ですか!?》
(俺は大丈夫だけど、どうかした?)
変に動揺したらばれそうだし、強く意識してしまってもブレンには伝わってしまう可能性が高い。
とにかく思い出さないようにして、平常心だ……
《い、いえ……その……この香りはあまり吸い込むと危ないような気がするので、石窯を開けたリョウさんは大丈夫だったかなと心配になっただけでして……ラベンダーさんも凄いお顔でしたし……》
(俺は無意識に腕で防いでいたから問題ないよ。しかしすごい顔か……なら、俺がラベンダーの方を見るのは不味そうだから、正気に戻ったら教えてくれる?)
《リョウさんって、時々野性児みたいな時がありますよね……ラベンダーさんのことはお任せ下さい!》
慌てたような声ではあるけど、とりあえずブレンは正気に戻ってるみたいでよかった。
と言うか誰が野性児だ!?
確かに無意識でガードしたけど……
……うん、確かに野生児かもしれない……
しかし、ラベンダーはブレンにもヤバい顔を見られちゃったんだな。
ラベンダーの為にも、さっき見たことは忘れなくては。
……ブレンは自分が見られたとは思ってなさそうだし、さっき俺が振り返ったのは内緒にしておこう……
数分後、更にミドリサツマノイモの香りが薄れたお陰かラベンダーも無事正気に戻ったとブレンが教えてくれた。
「先生……すみませんでした……いい香りだったので、おもいっきり吸い込んでしまいました……」
「いやいや、吸ったらこうなるなんて誰も知らなかったんだし、あれだけいい香りなんだから仕方ないと思うよ? 俺も反射的に鼻を塞がなかったらどうなっていたか……」
実際、腕で防いだのは無意識に近かったからな。
「今更なんですけど、ミドリサツマノイモは食べても大丈夫なんでしょうか……?」
それは俺も思った。
香りだけでこんなになるのに、果たして食べて問題ないのか……?
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