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転生〜統治(仮題)
肉体強化
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母との地獄のような日々が始まってから、数ヶ月が過ぎた頃。今回は知らん振りを決め込んでいた、筋肉ダルマもとい父親が呟いた。
「ルーク、そろそろ魔法以外の訓練もしようか?」
今更何をほざいているのだ、父よ。これ以上の苦痛は必要無い。俺に肉体を虐める趣味は無いのだ。断固拒否せねばなるまい。
「…父さん、魔法の訓練で忙しいです。」
俺の返事を予想していたのか、父に代わり母が答える。
「あら?これからは、魔法の練習はお昼まででいいわよ?」
お母様!やめて下さい!何が悲しくて、こんな筋肉バカと乳繰り合わなければいけないのですか。いや、待てよ。一方的に虐められる魔法の練習が短くなると思えば、これはある種の救済か?
「魔法の練習が少なくなってしまうのは残念だけど、折角お母さんが勧めてくれるなら仕方ないかな!」
ふっふっふ。これで生き地獄の時間が少なくなるだろう。良い息子を演じられて、一石二鳥の素晴らしい作戦だ。しかし、続く母の言葉に、俺は絶望する事となる。
「短くなる分、密度は2倍にするから。死なないように気をつけるのよ?」
微笑みながら、とんでもない事を言う母に、俺はただただ唖然とする。そんな俺を見て、父は母へと言った。
「あんまり疲れてると、剣と格闘の練習に響くんだけど…。」
ナイスフォローです、お父様!流石は一家の長。意外と頼りになるじゃないですか。筋肉ダルマなんて呼んで、すんませんでした。頼りにしてまっせ、旦那。
「お昼に休めるんだから、心配しなくても大丈夫よ。それとも、私の言うことに文句でもあるのかしら、ア・ナ・タ?」
「いや、文句なんてあるはずないじゃないか。エレナが言うなら問題ないよな、うん。」
微笑みながらも目の笑っていない母に、父はそっと視線を外しながら答えた。使えん、使えねえじゃねーか、筋肉ダルマ!一瞬でも尊敬した俺の感動を返せ!
こうして、これまで以上の地獄を味わった午前を過ぎ、昼食後に父が待つ裏庭へと向かう。
「ルーク、今日から魔法以外の訓練を始めようか!」
そう言いながら、父は木剣を手渡して来る。剣術と格闘の練習って言われた気がするが、前世では剣術や格闘技を習っていたので、魔法程の苦労は無いだろう。
「うん、父さん。よろしくお願いします。」
「おう。まずはこの木剣を使って素振り。その後は構えとか、そう言うのだな。」
父よ、もう少し詳しく説明しようではないか。そんな適当な説明では、先が思いやられてしまうだろう。
「わかった。とりあえず素振りしてみるよ。」
午前中の訓練で、精神的な疲れがピークに達しているのだから、余計な事を言われる前に行動してしまおう。父の返事を聞く前に、俺は素振りを開始する。とりあえず上段100回かな?
「そうだな。まずは武器の扱いに慣れる…って、オイオイ。そのままの状態で素振りすんのか?」
数回素振りした所で、父が問い掛けてきた。そのままの状態?まさか重りでも付けろとでも?聞くのが怖いが、確認しておかないと後が怖い。聞くだけ聞いてやろうではないか。
「そのまま?何か必要なの?」
「あぁ、魔力による身体強化を行った状態で訓練する」
「魔力で身体強化?そんな魔法があるの?」
「違う、魔法じゃなくて魔力そのものを使うんだ」
マズイ、父の言葉が理解出来ない。馬鹿な。俺の脳は筋肉に劣るというのか!
あまりのショックに、返答に窮する俺へ父は説明を続ける。
「魔法を使うのには魔力が必要だ。魔道具と呼ばれる物を使うのにも魔力は必要。物にも使えるという事は、当然身体にも使えるっていうのが俺の理論だ。」
父の理論。つまり一般論ではない、という事になるのか。
「世間の理論じゃなくて?」
「俺の理論だ。」
「じゃあ、父さん以外に魔力で身体強化してる人はいないって事?」
「いや、ちゃんといるぞ。だが、知ってる奴だけだ。」
少数なのかよ。その他多勢が良いとは思わないが、それは体得に関して難易度が跳ね上がる事を意味するのではないだろうか。とりあえず情報は多い方が良い。詳しく聞いてから考えよう。
「そのやり方とか、詳しい事を教えてよ。」
「そうか…エレナは魔法以外を丸投げする気だったんだな。仕方ない、最初から説明してやろう。」
そうして父の口から語られた内容は、衝撃的なものだった。
父の理論によると、魔力とはこの世界中の大気やあらゆる物質に含まれる物。生物の細胞からも生み出されるが、通常では視認出来ない、空気の様な物ではないかとの事だ。
感じられるが見えない…言われてみると納得する部分もある。現象の説明は出来ないが、確かに存在する。
一般には、派手な見た目と分かり易い効果の魔法に目を奪われ、魔法以外に魔力を回す事が少ない。保有する魔力には限りがある為、他の利用方法に回す余裕が無い。理由は様々だろうが、分かり易い方を好むというのは、どの世界でも同じようだ。
鍛える事で保有量が増加する魔力。ジョギング等で増えるスタミナ的な物なんだろうか?…いや、これは考えてはいけない問題だと思う。独力では答えを得る事は叶わないと思う。学者や研究者ではないのだから。
話が逸れてしまったが、要約すると筋力や耐久力をアップさせる事が出来る、という事だった。これは某アニメの『気』と呼ばれている力に似ている気がする。外に向けて放つのが魔法だとすれば、体内での操作や表面に纏うという手法により、自身を強化する事が出来る。残念ながら、金髪になったりする事は無いそうだ。スーパー何とか人にはなれない。もう一度言うが、残念だ。最初から金髪なんだけどね。
こうして、魔力による強化と並行して剣術や槍術、弓術等のあらゆる武器の使い方と素手の格闘術を筋肉ダルマから学んでいくのであった。
「ルーク、そろそろ魔法以外の訓練もしようか?」
今更何をほざいているのだ、父よ。これ以上の苦痛は必要無い。俺に肉体を虐める趣味は無いのだ。断固拒否せねばなるまい。
「…父さん、魔法の訓練で忙しいです。」
俺の返事を予想していたのか、父に代わり母が答える。
「あら?これからは、魔法の練習はお昼まででいいわよ?」
お母様!やめて下さい!何が悲しくて、こんな筋肉バカと乳繰り合わなければいけないのですか。いや、待てよ。一方的に虐められる魔法の練習が短くなると思えば、これはある種の救済か?
「魔法の練習が少なくなってしまうのは残念だけど、折角お母さんが勧めてくれるなら仕方ないかな!」
ふっふっふ。これで生き地獄の時間が少なくなるだろう。良い息子を演じられて、一石二鳥の素晴らしい作戦だ。しかし、続く母の言葉に、俺は絶望する事となる。
「短くなる分、密度は2倍にするから。死なないように気をつけるのよ?」
微笑みながら、とんでもない事を言う母に、俺はただただ唖然とする。そんな俺を見て、父は母へと言った。
「あんまり疲れてると、剣と格闘の練習に響くんだけど…。」
ナイスフォローです、お父様!流石は一家の長。意外と頼りになるじゃないですか。筋肉ダルマなんて呼んで、すんませんでした。頼りにしてまっせ、旦那。
「お昼に休めるんだから、心配しなくても大丈夫よ。それとも、私の言うことに文句でもあるのかしら、ア・ナ・タ?」
「いや、文句なんてあるはずないじゃないか。エレナが言うなら問題ないよな、うん。」
微笑みながらも目の笑っていない母に、父はそっと視線を外しながら答えた。使えん、使えねえじゃねーか、筋肉ダルマ!一瞬でも尊敬した俺の感動を返せ!
こうして、これまで以上の地獄を味わった午前を過ぎ、昼食後に父が待つ裏庭へと向かう。
「ルーク、今日から魔法以外の訓練を始めようか!」
そう言いながら、父は木剣を手渡して来る。剣術と格闘の練習って言われた気がするが、前世では剣術や格闘技を習っていたので、魔法程の苦労は無いだろう。
「うん、父さん。よろしくお願いします。」
「おう。まずはこの木剣を使って素振り。その後は構えとか、そう言うのだな。」
父よ、もう少し詳しく説明しようではないか。そんな適当な説明では、先が思いやられてしまうだろう。
「わかった。とりあえず素振りしてみるよ。」
午前中の訓練で、精神的な疲れがピークに達しているのだから、余計な事を言われる前に行動してしまおう。父の返事を聞く前に、俺は素振りを開始する。とりあえず上段100回かな?
「そうだな。まずは武器の扱いに慣れる…って、オイオイ。そのままの状態で素振りすんのか?」
数回素振りした所で、父が問い掛けてきた。そのままの状態?まさか重りでも付けろとでも?聞くのが怖いが、確認しておかないと後が怖い。聞くだけ聞いてやろうではないか。
「そのまま?何か必要なの?」
「あぁ、魔力による身体強化を行った状態で訓練する」
「魔力で身体強化?そんな魔法があるの?」
「違う、魔法じゃなくて魔力そのものを使うんだ」
マズイ、父の言葉が理解出来ない。馬鹿な。俺の脳は筋肉に劣るというのか!
あまりのショックに、返答に窮する俺へ父は説明を続ける。
「魔法を使うのには魔力が必要だ。魔道具と呼ばれる物を使うのにも魔力は必要。物にも使えるという事は、当然身体にも使えるっていうのが俺の理論だ。」
父の理論。つまり一般論ではない、という事になるのか。
「世間の理論じゃなくて?」
「俺の理論だ。」
「じゃあ、父さん以外に魔力で身体強化してる人はいないって事?」
「いや、ちゃんといるぞ。だが、知ってる奴だけだ。」
少数なのかよ。その他多勢が良いとは思わないが、それは体得に関して難易度が跳ね上がる事を意味するのではないだろうか。とりあえず情報は多い方が良い。詳しく聞いてから考えよう。
「そのやり方とか、詳しい事を教えてよ。」
「そうか…エレナは魔法以外を丸投げする気だったんだな。仕方ない、最初から説明してやろう。」
そうして父の口から語られた内容は、衝撃的なものだった。
父の理論によると、魔力とはこの世界中の大気やあらゆる物質に含まれる物。生物の細胞からも生み出されるが、通常では視認出来ない、空気の様な物ではないかとの事だ。
感じられるが見えない…言われてみると納得する部分もある。現象の説明は出来ないが、確かに存在する。
一般には、派手な見た目と分かり易い効果の魔法に目を奪われ、魔法以外に魔力を回す事が少ない。保有する魔力には限りがある為、他の利用方法に回す余裕が無い。理由は様々だろうが、分かり易い方を好むというのは、どの世界でも同じようだ。
鍛える事で保有量が増加する魔力。ジョギング等で増えるスタミナ的な物なんだろうか?…いや、これは考えてはいけない問題だと思う。独力では答えを得る事は叶わないと思う。学者や研究者ではないのだから。
話が逸れてしまったが、要約すると筋力や耐久力をアップさせる事が出来る、という事だった。これは某アニメの『気』と呼ばれている力に似ている気がする。外に向けて放つのが魔法だとすれば、体内での操作や表面に纏うという手法により、自身を強化する事が出来る。残念ながら、金髪になったりする事は無いそうだ。スーパー何とか人にはなれない。もう一度言うが、残念だ。最初から金髪なんだけどね。
こうして、魔力による強化と並行して剣術や槍術、弓術等のあらゆる武器の使い方と素手の格闘術を筋肉ダルマから学んでいくのであった。
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