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転生〜統治(仮題)
秘密
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ルークとティナが森へと出掛けて少し後、家の中ではエレナとアスコットが話し合っていた。
~エレナ視点~
「ルーク達も出掛けたし、そろそろ聞かれたくない事について話し合いましょ?」
「そうだな。…その前に、良かったのか?」
「何の話かしら?」
「ティナと結婚してもらう事に決まってるだろ。畏れ多いというか…。」
「無理矢理ではないんだから、別に問題無いでしょ。」
「そんなもんなんかねぇ…。オレとしては、これ以上ない相手だから文句は言わねぇけどよ。ただなぁ…。」
「何か問題でもあるのかしら?」
「カレン様だよ。忘れたのか?」
「………あ!」
マズイ。本当に忘れていたわ。ルーク攻略における最大の砦、難攻不落の城壁と呼ぶべき相手。
「忘れてたのかよ。」
「どうしましょう?」
「どうするも何も、正直に報告するしかないだろ。」
「報告は私達がするとして…あとはルークとカレン様が出会わない事を祈るだけね。」
「カレン様が本気になったら、すぐに見つかると思うけどな。」
「祈るのは私の勝手でしょう?」
カレン様ならば、おそらくルークが何処に隠れていても見つけ出すでしょうね。表沙汰にはなっていないけれど、カレン様は現在の世界最強。結婚を望む周囲に対し、放った言葉が『私よりも弱い者に嫁ぐ気はありません。そして私は、私に勝った者の子を産みます。それは一族の血を絶やさぬ為にも、近しい間柄であった方が尚良いと思うのですよ。愛しい私の弟とか…。」だったとか。
カレン様は、ルークを愛している。家族としてではなく、1人の男性として。戦闘狂のカレン様は、当時産まれたばかりのルークに秘められた才能を見抜いた可能性が高い。本当に、ルークとティナが見つからない事を祈るしかないわ。
「そろそろ本題に入っていいか?」
「あら、ごめんなさい。考えても仕方のない事はここまでね。」
「あぁ…まぁ、な。」
なんだか納得出来ないといった表情ですよ、アナタ?そもそも、カレン様とルークが離れてから、既に10年以上の月日が経っているのですもの。素敵なお相手が見つかっている可能性もあると思うのよね。
そんな事よりも、今は大切な話をしないと。
「それで、ルークの強さはどうかしら?私達と離れても問題なさそう?」
「剣術は一級品。体術と言うか、格闘術に関してはオレ以上だな。」
「そう…。魔法に関しては、第一階級しか使わせていないから判断出来ないけれど、魔力量は私を超えているでしょうね。熟練度も相当なものよ。」
「ホントかよ…まだ14歳だぜ?」
「器用な子ですもの。繊細な魔力操作も習得しているのだし、いつでも旅立たせる事は出来るわ。それにしても、数年でアナタ以上の格闘術を身につけたの?」
「その事なんだけどな…。妙なんだよ。」
「妙?…幾ら長年連れ添った夫婦でも、意味が伝わらない時だってあるのよ?」
『どれだけ愛があっても、全てを理解出来る訳ではない。だからこそ、言葉という物がある』なんて事を言おうと思ったけど、珍しく深刻な表情をしているし、今回は黙っててあげるわね。
「ルークの格闘術は、オレのとは違うんだよ。剣に関してもな。」
「アナタは、態々違う流派を教えたのかしら?」
「いや。最初の頃はオレの技術を教えてたんだよ。飲み込みも早かったぜ?けどな、ある程度体が大きくなった頃から、オレの知らない技を使うようになったんだ。」
ウチには、格闘に関する本は置いてなかったはずよね。調べて体得した、という話ではなさそう。だとしたら…。
「誰かが隠れて教えた、という事かしら?」
「いや、それは無いな。」
「どうしてかしら?」
「俄仕込みで出来るような動きじゃなかったんだよ。剣術と体術に関しては、長い年月を重ねて洗練された、ある意味完成した流派みたいな感覚だった。隠れて教わったとしても、あれ程の完成度には至らないはずだ。」
「…結局、結論は何なのかしら?」
「オレにもわからん、だな。」
笑いながら無責任な発言をする亭主に、少し怒りを覚えてしまったわ。でも、そう。ルークは何か秘密を抱えている気がする。
「追求しなかったのかしら?」
「する必要も無いだろ?下手に追求して、ルークに関する事を聞き返されたらどうすんだよ。」
「それもそうね。……で、本音は何かしら?」
確かに主人の言い分は正しい。私達が話せずにいる部分について、詮索するキッカケを与える事になるのは良くない事だもの。でもね、アナタ?それが建前だという事なら、流石に理解出来るのよ?
「ルークの使う技を、オレが覚えられる機会が無くなるのは困る!痛っ!!」
自分勝手な理由に驚いて、誤って主人の足を踏んでしまったわ。
「あら、ごめんなさい。」
「おま…いや、気にするな。」
「とにかく、ルークとティナに関しては大丈夫そうね。」
「そうだな。ティナなんて、ルークの作る料理を毎回幸せそうに食べてるからな。良かったんじゃねぇか?…カレン様の事さえ無けりゃ。痛っ!」
話を蒸し返された事に驚いて、またも主人の足を誤って踏み抜いてしまったわ。
ごめんなさいね、アナタ。
「これで私達も、安心して旅立てるわね。そろそろ行きましょうか?」
カレン様の事を忘れられるよう、思い切り暴れに行くのよ。
~エレナ視点~
「ルーク達も出掛けたし、そろそろ聞かれたくない事について話し合いましょ?」
「そうだな。…その前に、良かったのか?」
「何の話かしら?」
「ティナと結婚してもらう事に決まってるだろ。畏れ多いというか…。」
「無理矢理ではないんだから、別に問題無いでしょ。」
「そんなもんなんかねぇ…。オレとしては、これ以上ない相手だから文句は言わねぇけどよ。ただなぁ…。」
「何か問題でもあるのかしら?」
「カレン様だよ。忘れたのか?」
「………あ!」
マズイ。本当に忘れていたわ。ルーク攻略における最大の砦、難攻不落の城壁と呼ぶべき相手。
「忘れてたのかよ。」
「どうしましょう?」
「どうするも何も、正直に報告するしかないだろ。」
「報告は私達がするとして…あとはルークとカレン様が出会わない事を祈るだけね。」
「カレン様が本気になったら、すぐに見つかると思うけどな。」
「祈るのは私の勝手でしょう?」
カレン様ならば、おそらくルークが何処に隠れていても見つけ出すでしょうね。表沙汰にはなっていないけれど、カレン様は現在の世界最強。結婚を望む周囲に対し、放った言葉が『私よりも弱い者に嫁ぐ気はありません。そして私は、私に勝った者の子を産みます。それは一族の血を絶やさぬ為にも、近しい間柄であった方が尚良いと思うのですよ。愛しい私の弟とか…。」だったとか。
カレン様は、ルークを愛している。家族としてではなく、1人の男性として。戦闘狂のカレン様は、当時産まれたばかりのルークに秘められた才能を見抜いた可能性が高い。本当に、ルークとティナが見つからない事を祈るしかないわ。
「そろそろ本題に入っていいか?」
「あら、ごめんなさい。考えても仕方のない事はここまでね。」
「あぁ…まぁ、な。」
なんだか納得出来ないといった表情ですよ、アナタ?そもそも、カレン様とルークが離れてから、既に10年以上の月日が経っているのですもの。素敵なお相手が見つかっている可能性もあると思うのよね。
そんな事よりも、今は大切な話をしないと。
「それで、ルークの強さはどうかしら?私達と離れても問題なさそう?」
「剣術は一級品。体術と言うか、格闘術に関してはオレ以上だな。」
「そう…。魔法に関しては、第一階級しか使わせていないから判断出来ないけれど、魔力量は私を超えているでしょうね。熟練度も相当なものよ。」
「ホントかよ…まだ14歳だぜ?」
「器用な子ですもの。繊細な魔力操作も習得しているのだし、いつでも旅立たせる事は出来るわ。それにしても、数年でアナタ以上の格闘術を身につけたの?」
「その事なんだけどな…。妙なんだよ。」
「妙?…幾ら長年連れ添った夫婦でも、意味が伝わらない時だってあるのよ?」
『どれだけ愛があっても、全てを理解出来る訳ではない。だからこそ、言葉という物がある』なんて事を言おうと思ったけど、珍しく深刻な表情をしているし、今回は黙っててあげるわね。
「ルークの格闘術は、オレのとは違うんだよ。剣に関してもな。」
「アナタは、態々違う流派を教えたのかしら?」
「いや。最初の頃はオレの技術を教えてたんだよ。飲み込みも早かったぜ?けどな、ある程度体が大きくなった頃から、オレの知らない技を使うようになったんだ。」
ウチには、格闘に関する本は置いてなかったはずよね。調べて体得した、という話ではなさそう。だとしたら…。
「誰かが隠れて教えた、という事かしら?」
「いや、それは無いな。」
「どうしてかしら?」
「俄仕込みで出来るような動きじゃなかったんだよ。剣術と体術に関しては、長い年月を重ねて洗練された、ある意味完成した流派みたいな感覚だった。隠れて教わったとしても、あれ程の完成度には至らないはずだ。」
「…結局、結論は何なのかしら?」
「オレにもわからん、だな。」
笑いながら無責任な発言をする亭主に、少し怒りを覚えてしまったわ。でも、そう。ルークは何か秘密を抱えている気がする。
「追求しなかったのかしら?」
「する必要も無いだろ?下手に追求して、ルークに関する事を聞き返されたらどうすんだよ。」
「それもそうね。……で、本音は何かしら?」
確かに主人の言い分は正しい。私達が話せずにいる部分について、詮索するキッカケを与える事になるのは良くない事だもの。でもね、アナタ?それが建前だという事なら、流石に理解出来るのよ?
「ルークの使う技を、オレが覚えられる機会が無くなるのは困る!痛っ!!」
自分勝手な理由に驚いて、誤って主人の足を踏んでしまったわ。
「あら、ごめんなさい。」
「おま…いや、気にするな。」
「とにかく、ルークとティナに関しては大丈夫そうね。」
「そうだな。ティナなんて、ルークの作る料理を毎回幸せそうに食べてるからな。良かったんじゃねぇか?…カレン様の事さえ無けりゃ。痛っ!」
話を蒸し返された事に驚いて、またも主人の足を誤って踏み抜いてしまったわ。
ごめんなさいね、アナタ。
「これで私達も、安心して旅立てるわね。そろそろ行きましょうか?」
カレン様の事を忘れられるよう、思い切り暴れに行くのよ。
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