Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜

橘 霞月

文字の大きさ
70 / 258
転生〜統治(仮題)

扉の先

しおりを挟む
城へ戻る予定だったが、オレとナディアは森にいた。夜の森は危険であるが、それを承知で留まっている。オレとナディアが夜になっても戻らなければ、嫁さん達が心配するはず。そして、事情を知っているスフィアが、カレンに理由を説明した場合の反応を探る為だ。オレ達の考え通りならば、カレンはこの森に来る。あの扉を確認する為に・・・。そして狙い通りに、カレンがやって来た。真っ直ぐ扉に向かい、何やら調べている。

「扉が開いた形跡はありませんね。ですが、近くにいるはずの若いグリーンドラゴンがいません。これは・・・一杯食わされたという事でしょうか?ねぇ、ルーク?」
「何を言っているのか、全く理解出来ないな。オレ達はただ、不思議な扉を眺めていただけだよ?」
「そうですか。・・・私に聞きたい事でもあるんですよね?」
「いや、無いな。その扉は明日の朝に開けるつもりだ。自分の目で確認する方が早い。」
「っ!?いけません!」
「まぁ、オレ達はもう戻るよ。夜の森は危険だから、カレンも気を付けて!」

カレンに有無を言わさずに、オレとナディアは城へと転移した。普通に質問しても、カレンが全てを説明するとは思えない、そこでオレ達は、危機感を煽る事にしたのだ。

「不味いですね。ルークなら本当に開けてしまうかもしれません。こうも展開が早いと、後手に回ってしまいますし・・・どうしたものでしょうか?」

独り言を呟いた後、カレンも城へ転移して来た。今回オレは、徹底的に追及するつもりだ。その手は無論、ティナにも伸びる。今を逃すと、学園を卒業するまで機会が巡って来ない気がするのだ。

「皆聞いてくれる?実は、新しい魔法を習得したんだ!」

カレンが戻って来た事を確認し、嫁さん達全員に告げる。そしてオレは、先ほど確認していたステータスを表示した。それを見た全員が驚いている。

「神皇子って何でしょうか?」
「許可を得し者って、何の許可かな?」

そんな会話が、嫁さん達の間で交わされている。ここまでは予定通り。そろそろティナを追及してみようか。

「『許可を得し者』っていう称号が気になるんだけど、ずっと一緒に生活していたティナにもあるのか確認したいんだよね?だからティナ、確認させて貰うよ?」
「え?わ、私には無いと思いますから、確認して頂かなくて構いませんよ?」
「確認すれば済むんだから、憶測で話をするよりも確実でしょ?だから、確認させて貰う。
「い、嫌です!!わ、私はあのような状況には・・・・・。」

ガタガタと震え、自身の体を掻き抱きながら俯いてしまった。ティナのこんな姿は初めて見た。相当なトラウマを抱えていたようだ。この後どうすべきか躊躇していると、カレンが口を開いた。

「ルーク、これ以上ティナを追い込まないで下さい。称号まで知られてしまった以上、全てお話しますので。」
「なら、ティナは何に怯えているんだ?」
「それは・・・順を追って説明しましょう。まず、フォレスタニアという世界において、この大陸に生きる者達は・・・護られている存在なのです。」
「護られるって、誰から?何に?」
「神によって。魔物から、ですよ?」
「魔物なら外に沢山いるだろ?」
「この大陸の魔物など・・・赤ん坊のようなものですよ。」
「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」


それでは説明しましょう。本来この世界には、もっと多くの魔物が棲んでいました。そして神と魔神の長きに渡る争いの中、驚くことに魔神は魔物の改良を行っていたのです。神々が気付いた時、既に半数近くの魔物が改良されていました。その魔物の強さは、この世界に生きる者達にとっては死活問題だったのです。魔神と戦いながら、増え過ぎた魔物に対応する余裕は神々にもありませんでした。

そこで神々は、強過ぎる魔物と魔族を別の大陸へと封じ込めたのです。ですが、そのままでは解決策とは成り得ないと考え、いつかこの大陸に生きる者達が討伐出来ると信じ、大陸を渡る扉を取りつけました。それが、魔の森にある扉です

しかし、誰でも開け放てるようではこの大陸が危険に晒されます。その為、最低限生き延びる事の出来る強さの者にのみ、扉を開けられる仕組みを作りました。それが冒険者ギルドの鑑定の魔道具であり、レベル200なのです。レベルが200を超えた事が確認されると、扉を開ける許可を得られるようになっているのです。

そしてティナが若かりし頃、魔物の討伐に乗り出した者達がいました。それが現在の、エリド村に住む者達の両親や家族達です。当時100人を超えるこの大陸の強者達が、扉を潜りました。そして戻って来たのは・・・ティナの両親を含む30人程です。死を待つだけの者のうち、半数以上をティナが看取りました。その光景が未だ忘れられず・・・許可を与えられる事を拒んでいるのです。

ちなみに、敗走の原因は仲間割れだったと聞いています。神々が勇敢な者達の助けになればと、その地に残した強力な魔道具を巡り・・・争っている所を、魔物の大群に襲われたそうです。魔道具の争奪戦から1歩身を引いていた者達だけが、間一髪で生き残れたようでした。

残念な事に魔物達は、逃げた者達の様子を見ていました。転移の扉によって、異なる場所へ移動出来る事を知っています。そして今も尚、扉の前で待ち続けているのです。あの時逃した者達を、食らう事が出来るその日を・・・。


「以上が、あの転移扉にまつわる全てです。」
「そんな事が・・・。あの、質問してもよろしいでしょうか?」
「何でしょうか、スフィアさん?」
「どれほどのレベルならば、互角に渡り合えるのでしょうか?」
「バランスの良いパーティであれば最低300、単独ですと・・・最低でも400といった所でしょうか。ですが、それは短時間の場合です。魔物の数が多ければ持久力が問題になりますから、あくまで参考程度とお考え下さい。」


その後も説明は続いた。定期的にカレンが転移扉を通り、魔物をけん制している事。その為、扉が開いても初めは弱い魔物しか来ないだろうと言っていた。知能の高い、強い魔物は、安全を確認してから転移扉に向かうとの予想である。そして話の途中、オレが倒したグリーンドラゴンが、年若い弱いドラゴンであった事。古代竜ともなると、カレンに近い強さらしい。まぁ、頭悪そうだったしねぇ・・・。

次回に続く!
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ハーレムキング

チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。  効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。  日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。    青年は今日も女の子を口説き回る。 「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」 「変な人!」 ※2025/6/6 完結。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方

tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。 しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。 追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが? どうなる俺の田舎でのスローライフ???

処理中です...