Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜

橘 霞月

文字の大きさ
87 / 258
転生〜統治(仮題)

夢の中

しおりを挟む
見張りを交代する時間となり、アストルはフィーナやルビア達が眠るテントへと向かう。中の様子を伺う訳にもいかず、外から小声で声を掛けるのだが、どうやら全員が起きてしまったようだった。

フィーナは眠そうにしながらも、見張りの為にノロノロと外を歩いて行った。オレはルビアや付き人達に起こしてしまった事を詫て、寝直して貰う為に声を掛ける。

「ごめん、皆を起こしちゃったみたいだね。オレも向こうに行くから、また休んで下さいね?」
「アストル様、我々は目が冴えてしまったので、周辺の様子を確認したいと思います。」
「テントの中には誰もいませんので、中でお休み下さい。」

何故か一瞬警戒したのだが、テントの外へ出て来たルビアと付き人4人の姿を確認して警戒を解く。中に誰もいないのなら、テントで休んでも構わないだろう。

「アストル様が安心して休めるよう、こちらの魔道具をお貸しします。」
「置物?でも中心に・・・魔石?これは?」
「半径20メートル程度の領域に外部から侵入する者がいた場合、中で眠っている者を起こしてくれる『覚醒の魔道具』です。起きていても、侵入者が離れるまで光って教えてくれます。」
「試してみましょうか?」

付き人の1人がそう言うと、全員が20メートル以上離れる。そして付き人の1人が近付くと、魔道具の魔石が輝き出した。

「なるほど。これのせいで皆を起こしてしまった訳ですね?」
「はい。これがあれば、アストル様も安心して眠る事が出来ますよね?」
「そうですね。」
「それと、こちらは思い切り良く寝る為の薬です。ぐいっと飲んじゃって下さい。」
「え?ありがとうございます。では・・・ゴクリ。」
「では、我々は失礼します。おやすみなさい、アストル様。」
「皆さん、おやすみなさい。」

この時、思い切り良く『眠る』ではなく『寝る』と言ったのが不思議だったのだが、勢いに押されて薬を飲んでしまった。そもそも、オレの寝付きは良い方だ。の○太くんに引けを取らないだろう。薬を飲む必要など無かったのだが、魔道具を貸してくれた事で信用し過ぎたんだと思う。

全員がテントから離れて行き、姿が見えなくなったのを確認して、オレはテントに入った。横になり、目を閉じて数秒後、異変に気付く。

「眠れない・・・。おまけにジョンの奴、どうしてそんなに元気なんだ?」
「アストル様、ここは貴方の夢の中ですよ?」
「え!?・・・王女殿下?魔道具のせいで起きて・・・って、光ってない?」

上半身を起こして魔道具を確認するが、魔道具に変化は見られない。つまり、侵入者はいないという事だろう。混乱しているオレに、ルビアが現状を説明する。

「だから夢だと言ったでしょう?」
「そうですか・・・。でも、どうして王女殿下の夢を?」
「それはわかりません。とりあえず・・・私といい事をしませんか?」
「駄目に決まってるでしょ!いくら夢の中とはいっても・・・夢の中?」

夢だから魔道具は反応しなかったのか。

「そうです、夢なんです。ですから、アストル様の欲望のままに・・・」

着ている服を全て脱いだルビアが、オレの首に手を回し、向き合う形でジョンの上に腰掛ける。

「あら?こんなになって・・・」

そう言いながら、王女がオレに口づけしてくる。その瞬間、オレの理性は吹き飛んだ。ここから先は、ジョンのターンである。普段であれば、2,3発バズーカを発射すると弾切れになるのだが、今宵のジョンは倍の弾を持っていたのだ。やるな、ジョン!?

暫く絡み合い、オレとルビアは力尽きて横になる。意識を失う前に生活魔法で汚れを落としたのは記憶にあるのだが、気が付くともうすぐ夜明けといった頃だった。あそこで気を失うように眠りについたのだろう。

夢なのに眠りについたという表現もおかしいと思いながらも、手に柔らかい感触を感じたので寝ぼけながら確かめる。

「この大きさは・・・ナディアより少し小さいかな?でも弾力が違うな。」
「誰かわかりましたか?」

暫く目を閉じて確認し、やがて確信に至る。

「わかった!記憶に無い!!・・・・・あれ?」
「この機会に、新しい妻の感触を覚えて下さいね?だ・ん・な・さ・ま?」
「る、ルビア!?あ、新しい妻!?」
「初めてだったのに、あんなにメチャクチャにされてしまっては・・・もうお嫁に行けません。ですから、旦那様が責任を取って下さいね?」

メチャクチャに・・・した。そんな夢なら見た。しかし夢だ。現実では無い。そもそも、魔道具だって・・・あれ?そういえば、魔道具を貸して貰ったんだった!

「あれって夢だよね!?魔道具も反応して・・・・・今も反応してないじゃん!!」
「起動時に領域内にいた者には反応しませんよ?1度でも領域を出ると反応しますけど。」
「ルビアは皆と一緒に離れて行ったよね?テントの中には誰の姿も、気配も無かったし。」
「あれは幻覚魔法で作り出した幻です。姿や気配は王家の秘宝である、この隠遁の魔道具で隠していました。最初からこの場にいたんですよ?」

ルビアの首には、いつの間にかペンダントが下げられていた。ペンダントと同時に、立派なスイカに置かれた自分の手が視界に入る。会話中、1度も手を離さなかった自分を褒めてやりたい。オレは一人前のおっぱい星人になれたのだ。

そうじゃなくて、まだ確認すべき事はある。

「なら、思い切り良く寝られる薬って・・・」
「王宮に伝わる精力増強剤です。思い切り良く・・・寝ましたよね?」
「あぁ・・・『寝る』ね・・・。」
「あの薬のお陰で、我が王家は子宝に恵まれているんです。あ!大事な事が1つ。一緒にジュリアも妻に迎え入れて頂きます。」
「なんで!?」
「ジュリアはその為に学園に通っているのです。あの子は末っ子で、全員から可愛がられていました。そんなジュリアだからこそ、国王陛下はルーク様に娶って頂こうとしたのです。」
「それ、意味がわからない。」

ルビアの説明はこうである。獣人の国は、長く戦乱が続いてきた。原因は、王になりたい者達の私利私欲の為である。現国王が高齢の為、周囲に強さを見せられないというのもあるようだが。ともあれ、ルビアとジュリアは国王に溺愛されており、今まで政治の道具とならずに済んでいた。

しかし、国にいれば危険は付き物。それならば安全な国外で幸せに暮らして欲しい。出来る事なら王家の後ろ盾となれる相手の元で。そう考えた国王は、最も可愛がっている末っ子のジュリアをルークの元に送り出したそうだ。最低限、親しくなれば困った時に頼る事が出来ると。結局は政治の道具になっている気がしたルークではあったが、続く説明に考えを改める。

「ジュリアは私の血の繋がった妹だからか・・・気に入らない相手には容赦ないのです。それに、私と好みも同じですから、学園でルーク様を見てしまった以上、他の男性には見向きもしないでしょう。」
「あ~、まぁ、ジュリアの話はその時まで置いておくとして・・・フィーナに説明しないと。」

外は大分明るくなっていたので、オレとルビアは服を着て朝食の準備に取り掛かる。昨日つまらなそうにしていた反動か、今のルビアは張り切って料理しようとしている。事前に言っておくが、料理しているのではない。料理の経験など無いとの事だった。色々と教えながら料理していると、いつの間にか背後に気配があった。

「随分と楽しそうね?」
「はう!?・・・フィーナ?あのね?落ち着いて聞いてくれるかな?」
「新しくルーク様の妻となりました、ルビアと申します。・・・よろしくね?」

にっこり微笑んだルビアとは対象的に、フィーナは額に手を当て、目を閉じながら上を向く。

「あの4人にしてやられたって事ね?全く・・・まぁいいわ。」
「いいの?スフィアやナディアに叱られるんじゃない?」
「え?・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ!!」
「気付くの遅っ!」
「ど、どどどどどうしよう?ねぇ、どうしよう?ど、どうして!?」
「ど、どうしてって・・・まぁ、オレのせいだよね。一緒に謝るから、まずは落ち着いてよ。」

完全にパニック状態のフィーナに襟を掴まれ、前後に揺すられる。完全にオレのせいだろう。オレの美人耐性が勝てなかったのだから。獣人の肉体という物は、それはそれは素晴らしいのだ。オレ如きの脆弱な意志で、拒絶出来るはずが無い。

何とかフィーナを落ち着かせたオレ達は、朝食を済ませて出発した。その後は昨日と同じように、のんびり移動&修行しながら夜を迎えた。夜の定期連絡のお時間です。


いざ、決戦の時である!まずはオレ達新婚チーム。対するは何かと小言の多い嫁チームだ。念の為に注意しておくと、嫁チームも新婚枠である。これ大事ね?
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ハーレムキング

チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。  効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。  日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。    青年は今日も女の子を口説き回る。 「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」 「変な人!」 ※2025/6/6 完結。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方

tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。 しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。 追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが? どうなる俺の田舎でのスローライフ???

処理中です...