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転生〜統治(仮題)
殲滅戦1
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日の出まであと30分といった頃。ルークの姿はグリーディアとネザーレアの国境にあった。国境に築かれた防壁の上に登らせてもらい、薄っすらと明るくなったネザーレアの領土を眺めている。
「たった1日で、よくもまぁここまで集めたよな・・・。」
「3国は全て、馬車で1日の広さですからね。オマケに最前線のこちらには、全軍の四分の一が常駐しているとの情報です。しかし今は通常時の2倍以上・・・約半数。もう半数は王都のようです。総数20万と言われていたのですが、いつの間にか30万近くまで増えていたらしく・・・。」
グリーディア軍のラペリス将軍が説明してくれる。端から端まで馬車で1日ならば、中央の王都からなら半日という事か。それならば間に合うのだろう。相手は身体能力の高い獣人やエルフの軍勢だ。
「ここはさっさと終わらせて、王都まで急ぐ必要があるか。ラペリス将軍、日の出と共にデカイ魔法を連発しますので、念の為総員を退避させて貰えますか?」
「15万をさっさと・・・あ、いえ、了解しました。」
ラペリス将軍が指示を出し、防壁や砦にいた兵士達を連れて後退するのを見届ける。これから使う魔法は、オレの後ろに直接被害が出る代物では無い。しかし、爆風による土砂によってはオレの横方向に被害が出る恐れがある。避難して貰うのは当然の事だろう。
グリーディア軍が距離を取ったのを確認し、振り返ると丁度日が昇った所だった。すぐさま詠唱を開始する。使った事の無い魔法だが、どれ程の範囲に及ぶのかは何となく理解出来る。
『我が力の化身よ
自らを槌とし
世界に秩序を
我が名を以て裁定を下し
我が威を代りて
閃光と化せ
その身は裁きを
その身は浄化を
大地を埋め尽くす黒雲よ
空を覆いし万雷よ
その罪全てを撃ち尽くせ
我が意に背きし愚者達に
等しく裁きの鉄槌を』
詠唱を終えると、空を黒雲が埋め尽くす。消費した魔力は三分の一だろうか。最近は回復速度も上がっているので、王都に辿り着くまでの1時間程度で回復するだろう。しかし、酷く燃費の悪い魔法である。
攻撃を開始しようと動き出していたネザーレア軍の動きが止まる。明るくなった途端に再び暗くなったのだから、状況を把握しようとしているのだろう。オレは敵軍の動揺に一切構わず魔法を発動する。
「・・・ジャッジメント!!」
そこから先は、この世の物とは思えない光景が広がった。空から無差別に雷が降り注ぐ。何十、何百と逃げ場など無い程の雷が地面へと向かって。
数分間に渡って続いた、目の眩む程の閃光と轟音が止み、オレは周囲の状況を確認する。目の前には荒野が広がっている。草の1本、虫の1匹すら存在しない荒れた大地がそこにはあった。魔法を放つ前、見渡す限りに広がっていた草原はもう無い。人が居たという痕跡すら残さず、一切を消し去っていた。
オレは振り返り、ラペリス将軍の元へと移動する。
「ラペリス将軍。オレはこのまま王都を目指しますので、将軍は王都へ戻って頂いて構いませんよ?」
「は?・・・あ、はい。わかり・・・まし、た。」
将軍の了解が得られたので、オレは風魔法で王都へ向けて全速力で移動する。不謹慎だとは思うが、勝負は勝負。黙って負けるつもりはない。
「最初から全力だし、結構いい勝負だと思うんだよな。往復2時間、魔法で瞬殺すれば勝てるかもしれない。」
この時、ルークは盛大な思い違いをしていた。カレンの戦闘スタイルは剣による『直接』攻撃。魔法を多用するものではない、と。
いや、ルークの考えは間違いではない。大軍を相手にした際も剣を愛用している。だがそれは、魔法が不得意という理由ではない。そう、魔法など必要無いのである。
「この気配・・・ルークは王都に向けて移動したようですね。では、私も向かうとしましょうか。」
紅茶を飲み干し、カップをテーブルに置いて立ち上がる。カレンがいる場所、それは作戦会議が行われた部屋にあるテラスであった。当然この部屋には誰もいない。グリーディアの主だった者達は、2国との国境に集合している為である。
テラスの床を蹴り、カレンはたった1歩で王都の外に辿り着く。大抵の者には視認出来ない速度で移動を開始すると、僅か数分でフロストルとの国境に至る。
「お待たせしました。」
「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」
オットル女王を始めとしたグリーディアの重臣達が集う本陣の中央に辿り着くと、まるでデートに遅れて来たような様子で声を掛ける。声を掛けられて初めて気付いた者達の動揺は計り知れなかった。
「カ、カレン王妃・・・驚かせないでくれぬか。」
「あら?それはすみませんでした。」
悪びれもせず笑顔で返すカレンの様子に、オットル女王は頭を抱える。だが、すぐに思考を切り替えてカレンに問い掛けた。
「勝負を言い出した割に、随分とのんびりしているのだな?」
「えぇ。ルークは今頃王都に向かっていますから、まだ時間に余裕はあります。」
「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」
カレンが何を言っているのか、その場に居合わせた者達には理解出来なかった。いや、誰にも理解出来ないだろう。例え非常識だと思われているルークであっても、この時のカレンの発言を理解出来なかっただろう。
「あまりお待たせしても悪いですから、私も行くとしましょう。」
「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」
のんびりした口調とは裏腹に、カレンの姿が消える。グリーディアの者達は声を失うが、すぐにカレンの姿を探した。
「き、消えた・・・」
「一体何処へ・・・」
「陛下!あそこに!!」
兵士の1人がいち早く見付け出し、指を差しながら声を上げる。全員が指差す方へ視線を移すと、防壁とフロストル軍の間に立つカレンの姿を捕らえた。あまりの移動速度に、驚愕していたのはグリーディア軍だけではない。
日の出を過ぎても一向に現れない敵に、痺れを切らし初めていたフロストル軍の兵達も同様であった。何の前触れもなく現れた1人の美女に、先頭に立っていた兵達が固まる。場違いなドレス姿の美女に、熟練の兵達でさえ対応出来ずにいたのだった。
「さて・・・最強と謳われたこの戦女神の力、その目に焼き付けながら逝きなさい。」
誰に聞かせるでもなく、静かに呟いたカレンの表情からは笑みが消えていた。そのまま腰から剣を抜き放ち、両手で持ちながら上段に構える。
「愛剣エムリシアよ、我が前に立ちはだかる全てを消し去りなさい!はぁぁぁぁ!!」
カレンの掛け声と共に、上段から振るわれた剣が光り輝く。その光は周囲を飲み込み、一瞬遅れて轟音が鳴り響く。数秒、或いは数十秒だろうか。光と音が止み、グリーディア軍の者達が恐る恐る目を開ける。
「そ、そんな・・・。」
「有り得ないだろ・・・。」
「これが各国の王達が恐れる、戦女神の本気という訳か。これでは・・・噂の方が控え目ではないか・・・。」
ルークが使用した雷魔法と同様、カレンの目の前には荒野が広がっていた。違っているのはその範囲だろう。ルークの場合、視界に映る範囲だけだったのだが、カレンの場合は異なる。その荒野は、どこまでも続いていたのだ。幅数キロに渡って地面を抉り、フロストルを越えて海にまで到達していたのだが、それを知る者はいない。
ぶっちゃけ、ただ力を込めて振るわれただけの剣が、何故極太のレーザーの様に広がったのかは謎である。考えてはいけない現象も、ファンタジー世界には存在するのだ。
あまりの光景に呆然としていたオットル女王であったが、声を掛けられた事で我に返る。
「敵国の状況を確認してから戻りますので、皆さんは先に帰って頂けますか?」
「なっ!?・・・わかった。」
「では、失礼しますね。」
またしても簡単に言ってのけるカレンに若干呆れながら、オットル女王が了承する。カレンが微笑みながら告げると、またしてもその姿は消えていた。全員がしばらく行方を探すのだが、カレンの姿は何処にも見当たらなかった。
「探すだけ無駄だ。もう周辺にはいないだろう。それよりも・・・王都に向けて帰還する!」
「「「「「「「「「「ははっ!!」」」」」」」」」」
オットル女王の命令に家臣達が従い、集めていた軍隊と共に移動を開始する。グリーディアの王都はフロストル寄りの為、半日と掛からずに全軍が王都へと到着するだろう。
ちなみにであるが、ルークの方が距離的に不利だった事はグリーディアの者達しか知らない。ルークとカレンの性格上、そんな細かい事は気にしないのである。例え攻め込む国が逆だったとしても、勝敗に影響は無いのだが・・・。
カレンがフロストル全土を吹き飛ばした頃、ルークは必死に移動を続けていた。途中幾つもの村が見えたのだが、そこに住民の気配は感じられなかった。廃村ばかりが広がっていたのである。
自らの足で走っていれば、カレンの攻撃の余波を感じる事も出来たであろうが、空を飛んでいた為気付かなかった。ゆっくり風を感じていれば別だが、風魔法で周囲の風の影響を防いでいた事が主な理由である。
若干の寄り道による思案も相まって、既に勝敗が決している事にも気付かずルークは移動を続ける。勝負に負けたからと言って、そこで終了とはならないので問題は無いのだが。
それから数分が経過した頃、ルークの視界にはネザーレアの王都が見えて来た。移動を続ける程に、ルークの体から水分が奪われる。この時の気温は40度以上。風魔法を使用しても真空状態には出来ない為、その影響を受ける事となる。
「この暑さでも生活してるんだから、凄いとしか言えないよな・・・。オレはゴメンだけど。」
暑さのせいかルークに独り言が多くなっていた頃、カレンの姿は既に海岸にあった。障害物が一切無い為、寄り道する事なく真っ直ぐ移動した結果である。まぁ、カレンの方が速いのだが。
「見晴らしを遮る物も無く、素晴らしい景色ですね。さて、砂を持って戻るとしましょうか。」
視界を遮る物が無いのは自らが港ごと吹き飛ばしたせいなのだが、そんな事には気付かぬ様子のカレンである。ちなみに砂浜の砂を持ち帰るのは、海まで辿り着いた証拠としてである。そんな取り決めは無いのだが、慎重なカレンの性格が現れての事だろう。
天然だが思慮深いカレンなのであった・・・。
「たった1日で、よくもまぁここまで集めたよな・・・。」
「3国は全て、馬車で1日の広さですからね。オマケに最前線のこちらには、全軍の四分の一が常駐しているとの情報です。しかし今は通常時の2倍以上・・・約半数。もう半数は王都のようです。総数20万と言われていたのですが、いつの間にか30万近くまで増えていたらしく・・・。」
グリーディア軍のラペリス将軍が説明してくれる。端から端まで馬車で1日ならば、中央の王都からなら半日という事か。それならば間に合うのだろう。相手は身体能力の高い獣人やエルフの軍勢だ。
「ここはさっさと終わらせて、王都まで急ぐ必要があるか。ラペリス将軍、日の出と共にデカイ魔法を連発しますので、念の為総員を退避させて貰えますか?」
「15万をさっさと・・・あ、いえ、了解しました。」
ラペリス将軍が指示を出し、防壁や砦にいた兵士達を連れて後退するのを見届ける。これから使う魔法は、オレの後ろに直接被害が出る代物では無い。しかし、爆風による土砂によってはオレの横方向に被害が出る恐れがある。避難して貰うのは当然の事だろう。
グリーディア軍が距離を取ったのを確認し、振り返ると丁度日が昇った所だった。すぐさま詠唱を開始する。使った事の無い魔法だが、どれ程の範囲に及ぶのかは何となく理解出来る。
『我が力の化身よ
自らを槌とし
世界に秩序を
我が名を以て裁定を下し
我が威を代りて
閃光と化せ
その身は裁きを
その身は浄化を
大地を埋め尽くす黒雲よ
空を覆いし万雷よ
その罪全てを撃ち尽くせ
我が意に背きし愚者達に
等しく裁きの鉄槌を』
詠唱を終えると、空を黒雲が埋め尽くす。消費した魔力は三分の一だろうか。最近は回復速度も上がっているので、王都に辿り着くまでの1時間程度で回復するだろう。しかし、酷く燃費の悪い魔法である。
攻撃を開始しようと動き出していたネザーレア軍の動きが止まる。明るくなった途端に再び暗くなったのだから、状況を把握しようとしているのだろう。オレは敵軍の動揺に一切構わず魔法を発動する。
「・・・ジャッジメント!!」
そこから先は、この世の物とは思えない光景が広がった。空から無差別に雷が降り注ぐ。何十、何百と逃げ場など無い程の雷が地面へと向かって。
数分間に渡って続いた、目の眩む程の閃光と轟音が止み、オレは周囲の状況を確認する。目の前には荒野が広がっている。草の1本、虫の1匹すら存在しない荒れた大地がそこにはあった。魔法を放つ前、見渡す限りに広がっていた草原はもう無い。人が居たという痕跡すら残さず、一切を消し去っていた。
オレは振り返り、ラペリス将軍の元へと移動する。
「ラペリス将軍。オレはこのまま王都を目指しますので、将軍は王都へ戻って頂いて構いませんよ?」
「は?・・・あ、はい。わかり・・・まし、た。」
将軍の了解が得られたので、オレは風魔法で王都へ向けて全速力で移動する。不謹慎だとは思うが、勝負は勝負。黙って負けるつもりはない。
「最初から全力だし、結構いい勝負だと思うんだよな。往復2時間、魔法で瞬殺すれば勝てるかもしれない。」
この時、ルークは盛大な思い違いをしていた。カレンの戦闘スタイルは剣による『直接』攻撃。魔法を多用するものではない、と。
いや、ルークの考えは間違いではない。大軍を相手にした際も剣を愛用している。だがそれは、魔法が不得意という理由ではない。そう、魔法など必要無いのである。
「この気配・・・ルークは王都に向けて移動したようですね。では、私も向かうとしましょうか。」
紅茶を飲み干し、カップをテーブルに置いて立ち上がる。カレンがいる場所、それは作戦会議が行われた部屋にあるテラスであった。当然この部屋には誰もいない。グリーディアの主だった者達は、2国との国境に集合している為である。
テラスの床を蹴り、カレンはたった1歩で王都の外に辿り着く。大抵の者には視認出来ない速度で移動を開始すると、僅か数分でフロストルとの国境に至る。
「お待たせしました。」
「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」
オットル女王を始めとしたグリーディアの重臣達が集う本陣の中央に辿り着くと、まるでデートに遅れて来たような様子で声を掛ける。声を掛けられて初めて気付いた者達の動揺は計り知れなかった。
「カ、カレン王妃・・・驚かせないでくれぬか。」
「あら?それはすみませんでした。」
悪びれもせず笑顔で返すカレンの様子に、オットル女王は頭を抱える。だが、すぐに思考を切り替えてカレンに問い掛けた。
「勝負を言い出した割に、随分とのんびりしているのだな?」
「えぇ。ルークは今頃王都に向かっていますから、まだ時間に余裕はあります。」
「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」
カレンが何を言っているのか、その場に居合わせた者達には理解出来なかった。いや、誰にも理解出来ないだろう。例え非常識だと思われているルークであっても、この時のカレンの発言を理解出来なかっただろう。
「あまりお待たせしても悪いですから、私も行くとしましょう。」
「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」
のんびりした口調とは裏腹に、カレンの姿が消える。グリーディアの者達は声を失うが、すぐにカレンの姿を探した。
「き、消えた・・・」
「一体何処へ・・・」
「陛下!あそこに!!」
兵士の1人がいち早く見付け出し、指を差しながら声を上げる。全員が指差す方へ視線を移すと、防壁とフロストル軍の間に立つカレンの姿を捕らえた。あまりの移動速度に、驚愕していたのはグリーディア軍だけではない。
日の出を過ぎても一向に現れない敵に、痺れを切らし初めていたフロストル軍の兵達も同様であった。何の前触れもなく現れた1人の美女に、先頭に立っていた兵達が固まる。場違いなドレス姿の美女に、熟練の兵達でさえ対応出来ずにいたのだった。
「さて・・・最強と謳われたこの戦女神の力、その目に焼き付けながら逝きなさい。」
誰に聞かせるでもなく、静かに呟いたカレンの表情からは笑みが消えていた。そのまま腰から剣を抜き放ち、両手で持ちながら上段に構える。
「愛剣エムリシアよ、我が前に立ちはだかる全てを消し去りなさい!はぁぁぁぁ!!」
カレンの掛け声と共に、上段から振るわれた剣が光り輝く。その光は周囲を飲み込み、一瞬遅れて轟音が鳴り響く。数秒、或いは数十秒だろうか。光と音が止み、グリーディア軍の者達が恐る恐る目を開ける。
「そ、そんな・・・。」
「有り得ないだろ・・・。」
「これが各国の王達が恐れる、戦女神の本気という訳か。これでは・・・噂の方が控え目ではないか・・・。」
ルークが使用した雷魔法と同様、カレンの目の前には荒野が広がっていた。違っているのはその範囲だろう。ルークの場合、視界に映る範囲だけだったのだが、カレンの場合は異なる。その荒野は、どこまでも続いていたのだ。幅数キロに渡って地面を抉り、フロストルを越えて海にまで到達していたのだが、それを知る者はいない。
ぶっちゃけ、ただ力を込めて振るわれただけの剣が、何故極太のレーザーの様に広がったのかは謎である。考えてはいけない現象も、ファンタジー世界には存在するのだ。
あまりの光景に呆然としていたオットル女王であったが、声を掛けられた事で我に返る。
「敵国の状況を確認してから戻りますので、皆さんは先に帰って頂けますか?」
「なっ!?・・・わかった。」
「では、失礼しますね。」
またしても簡単に言ってのけるカレンに若干呆れながら、オットル女王が了承する。カレンが微笑みながら告げると、またしてもその姿は消えていた。全員がしばらく行方を探すのだが、カレンの姿は何処にも見当たらなかった。
「探すだけ無駄だ。もう周辺にはいないだろう。それよりも・・・王都に向けて帰還する!」
「「「「「「「「「「ははっ!!」」」」」」」」」」
オットル女王の命令に家臣達が従い、集めていた軍隊と共に移動を開始する。グリーディアの王都はフロストル寄りの為、半日と掛からずに全軍が王都へと到着するだろう。
ちなみにであるが、ルークの方が距離的に不利だった事はグリーディアの者達しか知らない。ルークとカレンの性格上、そんな細かい事は気にしないのである。例え攻め込む国が逆だったとしても、勝敗に影響は無いのだが・・・。
カレンがフロストル全土を吹き飛ばした頃、ルークは必死に移動を続けていた。途中幾つもの村が見えたのだが、そこに住民の気配は感じられなかった。廃村ばかりが広がっていたのである。
自らの足で走っていれば、カレンの攻撃の余波を感じる事も出来たであろうが、空を飛んでいた為気付かなかった。ゆっくり風を感じていれば別だが、風魔法で周囲の風の影響を防いでいた事が主な理由である。
若干の寄り道による思案も相まって、既に勝敗が決している事にも気付かずルークは移動を続ける。勝負に負けたからと言って、そこで終了とはならないので問題は無いのだが。
それから数分が経過した頃、ルークの視界にはネザーレアの王都が見えて来た。移動を続ける程に、ルークの体から水分が奪われる。この時の気温は40度以上。風魔法を使用しても真空状態には出来ない為、その影響を受ける事となる。
「この暑さでも生活してるんだから、凄いとしか言えないよな・・・。オレはゴメンだけど。」
暑さのせいかルークに独り言が多くなっていた頃、カレンの姿は既に海岸にあった。障害物が一切無い為、寄り道する事なく真っ直ぐ移動した結果である。まぁ、カレンの方が速いのだが。
「見晴らしを遮る物も無く、素晴らしい景色ですね。さて、砂を持って戻るとしましょうか。」
視界を遮る物が無いのは自らが港ごと吹き飛ばしたせいなのだが、そんな事には気付かぬ様子のカレンである。ちなみに砂浜の砂を持ち帰るのは、海まで辿り着いた証拠としてである。そんな取り決めは無いのだが、慎重なカレンの性格が現れての事だろう。
天然だが思慮深いカレンなのであった・・・。
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