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転生〜統治(仮題)
殲滅戦2
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カレンが海を眺める頃、ルークの姿はネザーレアの王都近くにそびえる岩山の頂上にあった。
「国境付近とほぼ同数の軍隊・・・あれが王都か。しっかし暑いなぁ。さて、どうするか。」
見晴らしの良い山頂から、ネザーレアの王都を一望する。何故岩山なのかと言えば、暑い気候のせいではない。草木の全てが、虐げられた者達によって食されたからである。それを表すかのように、周辺には無数の足跡が残されていた。
「厳しい気候に奴隷の身分。食料事情も相当悪いって事か。元料理人としては、腹いっぱい食べさせてやりたい気持ちもあるが・・・それは救いにならないんだろうな。人の命を奪う事に躊躇いは無いが、カレンのように割り切れないのは元人族って記憶のせいか。」
ネザーレアの奴隷達が置かれた環境を推し量り、少しだけ感傷に浸る。しかし、オレがすべき事は変わらない。変えるつもりもない。オレが手を下さなければ、グリーディアの民がその手を汚す事になるのだから。オレは覚悟を決め、王都前の兵達を無視して空から王城へと向かう。ネザーレア国王に、言い残した事が無いか尋ねる為に。
鑑定魔法を使い、ネザーレア国王の居場所を特定して壁をぶち抜く。辿り着いた先は寝室のようだった。室内を見回し、想像を絶する光景を目の当たりにする。
「お前、サウダイール・・・だったか?ゲス野郎だとは思っていたが、まさかここまでとはな。」
「なっ!?何故貴様が!我が軍はどうした!?」
「王都の前に並んでいるさ。そんな事より・・・幼い子供相手に、無理矢理何をしている?」
ベッドの周囲には尻を押さえながらうずくまり、声を押し殺して泣いている子供達が10人近く。ベッドの上には行為の真っ最中だったネザーレア国王と1人の子供の姿があった。詳しい表現は控えるが、
この部屋にいるのは全員が男。正直、来るべきではなかったのかもしれない。
「無理矢理ではない!我が国の住人達はなぁ、喜んでその身を差し出すのさ!!そういう風に教育してある。」
「喜んで、と言う割には泣いてるんだがな・・・。全員が人族な所を見るに、奴隷ではなさそうなんだが?」
「オレが奴隷を相手にする訳がなかろう!ふん!!私の寵愛を受けられるのだ、名誉な事だろう?それに、奴隷であればその扱いがどうであろうとオレの知った事ではない。」
ニヤリと笑いながら、そんな事を言うネザーレア国王から視線を外す。汚い物が丸見えなのだから仕方ない。しかし権力者の趣味趣向は理解出来ない。理解したいとも思わないが。
「そうか。まぁお前がゲス野郎だと確認出来て良かったよ。」
「待て!何処へ行く気だ!?」
振り返り、開けた穴から外へ出ようとした所、ネザーレア国王が声を掛けて来た。何処へ行くって、オレが何をしに来たと思っているのだろうか?
「何処って・・・外だろ?これでもオレは、この国を滅ぼしに来たんだ。精々欲に塗れながら死ぬといい。」
「ま、待て!!」
待てと言われて待つ訳がない。ネザーレア国王の制止を無視して外へ出る。時間も無い為、詠唱をしながらである。上空へと飛び上がり、目的の高度へ到達する頃には詠唱も完了する。
眼下の兵達が黒雲に覆われた空を見上げる。その際上空に浮かぶオレの姿に気付いたらしく、慌ただしく動き出している。当然手遅れなのだが。
「ジャッジメント!!」
国境で行使した魔法を遥かに上回る威力と範囲に、無数の雷が降り注ぐ。建物も破壊すべく、今回は半分の魔力を注ぎ込んだ。その結果、王都は更地へと変貌を遂げた。入念に気配を探り、生き残りがいない事を確認する。
その後も他の街や村を確認して回るが、そのほとんどが捨てられた建物ばかりだった。一体どうやって食料の確保をしていたのだろうか?
等と思っていたのだが、最近まで生活していたような形跡がある。どうやら兵だけでなく、全ての民が王都へと連行でもされたのだろう。
「この分だと、簡単に確認して回った方が良さそうだな。国境と王都にいたのが全国民って可能性が高いか。」
その後も簡単な確認で済ませる事で、時間短縮に成功する。結局2時間足らずで全ての村や街を確認し終え、グリーディアの王都へと辿り着く。
予定の半分程の時間で王都に戻り、王城内へと案内される傍らで淡い期待を抱く。ひょっとしたら勝てたのでは?等と思ったのだが、オットル女王の待つ部屋に案内されて肩を落とす。
「あら?私の予想よりも速かったですね。」
「カレン・・・やっぱり勝つのは無理だったか。」
「皇帝陛下、カレン王妃に勝つのは無理だと思うぞ?」
「オットル女王・・・どういう意味です?」
突然告げられた言葉に、オレは素直に聞き返す。フロストルとの国境に向かったオットル女王は、カレンの戦闘を見ていたはず。一体何を見たというのだろうか?
「カレン王妃は・・・一撃でフロストルを滅ぼした。」
「・・・は?」
このゴリラ・・・女王様は何を言っているのだろうか?残念ながら、オレにはゴリラの言葉など理解出来ない。頼むから人の言葉で・・・いや、今のは人の言葉だった気がする。って、一撃!?
「国境で剣を一振りしたのだがな・・・幸い陛下が帰国するにはまだ余裕があるだろう?見て来た方が早いと思うぞ?」
「良くわからないですが・・・わかりました。では少し席を外させて頂きます。」
オットル女王も説明仕掛けたのだが、見た方が早いと言い直す。これは多分、何か信じられない物でも見たような表情なのだろう。目は口ほどに物を言うとはよく言ったものだ。女王の目が『聞くな』と言っている気がする。
オレはすぐさまテラスから飛び立つと、ネザーレアと反対方向へと向かう。詳細な場所は聞いていないのだが、国境まで行けば何かわかるだろうと考えての事であった。
ネザーレアとの国境よりも近いと聞いていたので、ほんの数分で国境の防壁が見えてきた。見えて来たのだが・・・違う物も見えて来た。
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!」
年甲斐もなく叫んでしまった。いや、この体は15歳なので年齢はどうでもいい。それよりも、眼前に広がる光景の方が問題である。
何をどうすればこうなるのだろうか?いや、オットル女王が何か言ってたような・・・剣を一振り?
「剣を振ってこんな惨状が広がるっていうのかよ!?いや、それより一体何処まで・・・」
端まで見に行ってもいいが、もっと高い位置から見下ろせば全体が把握出来るはず。そう考えて高高度まで一気に上昇する。そこからはフロストル、グリーディア、ネザーレアの領土を一望する事が出来た。
「マジかよ。国の端から端までって・・・寒っ!!」
フロストル側は極寒という環境だが、今は関係無い。純粋に、上空が寒いだけであった。そんな単純な事にも気付かない程、オレは動揺していたらしい。とりあえず元の高さまで降りてから思考を巡らせる。
「とりあえず、カレンの本気がどの程度のヤバさなのかは理解出来た。今のオレがレベル500ちょっと。そう考えるとカレンのレベルは軽く1000を超えてるだろうな。少なくとも4桁まではあるって事か・・・。」
ゲームのように、レベル上限というものがあるのかは気になっていた。しかし今回の件で、少なくとも4桁までは存在する可能性が出て来た。これは嬉しい情報である。ナディアの姉を救うという意味でも、4桁近くまでは上げておきたいのだ。少なくとも、クリスタルドラゴンと同じレベルまで上げておけば、前回のような屈辱を味わう事も無いはずである。
新たな目標を胸に、オレはグリーディアの王城へと急ぐ。時間は無限では無いのだから、レベルアップに回しておきたい。こんな所で油を売っている場合ではないのだ。
カレンと合流し、すぐに帰る旨を伝える。するとオットル女王から待ったの声が掛かった。
「お2人にはまだ礼をしていない。精一杯のもてなしをしたいのでな。今日は泊まっていっては貰えないだろうか?」
「礼には及びませんよ?我々が勝手にした事ですから。それに、あまり時間も無いですから、そろそろ失礼しなければならないのです。」
「そうか・・・残念じゃが仕方ない。歓待の宴は、またの機会とさせて貰おう。」
「そうですね。落ち着いたら伺わせて頂きますよ。」
残念そうなオットル女王だが、あっさりと聞き分けて貰えたので何よりだ。そもそも、もう1泊する予定など無かった。日付が変わった時点で、ティナ達は転移魔法陣への警戒を解いているのだが、何の連絡もしていないのはマズイだろう。人目につかない場所で通信する位ならば、転移魔法で帰った方が良いのだ。
心底残念そうにしているグリーディアの者達に別れを告げ、オレとカレンはテラスから移動しようとする。しかし、突然カレンがオレに抱き付いて来た。
「ちょっと?」
「ルークの魔法で空を移動するのですよね?でしたら私を抱いて頂かないといけません。」
カレンも空を飛べるはずなのだが、その光景を見た事はない。ドレス姿で空を飛ぶというのは、下着が見えるので控えていると言われてしまった。なら服装を変えれば良いと思うのだが、そんな事を言える程オレは命知らずではない。
仕方なくカレンをお姫様抱っこして、再度オットル女王達に別れを告げる。
「それではオットル女王、皆さん。またお会いしましょう。」
「あぁ。いつでも遊びに来てくれ。我々の国を救ってくれた恩人なのだ、いつでも歓迎するぞ。」
こうしてオレとカレンは、大した観光もせずにグリーディアを後にしたのであった。勿論、人目につかない場所で転移魔法を使用したのは言うまでもない。
ルーク達を見送った後、オットル女王に促されたラペリス将軍が見たままを報告する。彼はたった今到着したのであった。
「ラペリスよ、どうであった?」
「はっ!フォレスタニア皇帝陛下ですが・・・ネザーレア軍を魔法の一撃にて殲滅しました。」
「魔法?多数のエルフを相手にか?」
「はい。信じられないのですが・・・あれは雷魔法ではないかと。」
「そうか・・・。やはりあの2人、おそらく人ではないのだろうな。」
「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」
ラペリス将軍の報告を受け、オットル女王が呟く。静まり返った室内である以上、その言葉は全員の耳に届く事となる。
「皆の者。お2人の素性に関しては一切の口外を禁ずる!・・・滅ぼされたくはないであろう?」
「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」
力なく告げられた女王の言葉に、全員が素直に従う事にした。あの2人の不興を買うメリットは無いと、全員が瞬時に理解したのであった。
「国境付近とほぼ同数の軍隊・・・あれが王都か。しっかし暑いなぁ。さて、どうするか。」
見晴らしの良い山頂から、ネザーレアの王都を一望する。何故岩山なのかと言えば、暑い気候のせいではない。草木の全てが、虐げられた者達によって食されたからである。それを表すかのように、周辺には無数の足跡が残されていた。
「厳しい気候に奴隷の身分。食料事情も相当悪いって事か。元料理人としては、腹いっぱい食べさせてやりたい気持ちもあるが・・・それは救いにならないんだろうな。人の命を奪う事に躊躇いは無いが、カレンのように割り切れないのは元人族って記憶のせいか。」
ネザーレアの奴隷達が置かれた環境を推し量り、少しだけ感傷に浸る。しかし、オレがすべき事は変わらない。変えるつもりもない。オレが手を下さなければ、グリーディアの民がその手を汚す事になるのだから。オレは覚悟を決め、王都前の兵達を無視して空から王城へと向かう。ネザーレア国王に、言い残した事が無いか尋ねる為に。
鑑定魔法を使い、ネザーレア国王の居場所を特定して壁をぶち抜く。辿り着いた先は寝室のようだった。室内を見回し、想像を絶する光景を目の当たりにする。
「お前、サウダイール・・・だったか?ゲス野郎だとは思っていたが、まさかここまでとはな。」
「なっ!?何故貴様が!我が軍はどうした!?」
「王都の前に並んでいるさ。そんな事より・・・幼い子供相手に、無理矢理何をしている?」
ベッドの周囲には尻を押さえながらうずくまり、声を押し殺して泣いている子供達が10人近く。ベッドの上には行為の真っ最中だったネザーレア国王と1人の子供の姿があった。詳しい表現は控えるが、
この部屋にいるのは全員が男。正直、来るべきではなかったのかもしれない。
「無理矢理ではない!我が国の住人達はなぁ、喜んでその身を差し出すのさ!!そういう風に教育してある。」
「喜んで、と言う割には泣いてるんだがな・・・。全員が人族な所を見るに、奴隷ではなさそうなんだが?」
「オレが奴隷を相手にする訳がなかろう!ふん!!私の寵愛を受けられるのだ、名誉な事だろう?それに、奴隷であればその扱いがどうであろうとオレの知った事ではない。」
ニヤリと笑いながら、そんな事を言うネザーレア国王から視線を外す。汚い物が丸見えなのだから仕方ない。しかし権力者の趣味趣向は理解出来ない。理解したいとも思わないが。
「そうか。まぁお前がゲス野郎だと確認出来て良かったよ。」
「待て!何処へ行く気だ!?」
振り返り、開けた穴から外へ出ようとした所、ネザーレア国王が声を掛けて来た。何処へ行くって、オレが何をしに来たと思っているのだろうか?
「何処って・・・外だろ?これでもオレは、この国を滅ぼしに来たんだ。精々欲に塗れながら死ぬといい。」
「ま、待て!!」
待てと言われて待つ訳がない。ネザーレア国王の制止を無視して外へ出る。時間も無い為、詠唱をしながらである。上空へと飛び上がり、目的の高度へ到達する頃には詠唱も完了する。
眼下の兵達が黒雲に覆われた空を見上げる。その際上空に浮かぶオレの姿に気付いたらしく、慌ただしく動き出している。当然手遅れなのだが。
「ジャッジメント!!」
国境で行使した魔法を遥かに上回る威力と範囲に、無数の雷が降り注ぐ。建物も破壊すべく、今回は半分の魔力を注ぎ込んだ。その結果、王都は更地へと変貌を遂げた。入念に気配を探り、生き残りがいない事を確認する。
その後も他の街や村を確認して回るが、そのほとんどが捨てられた建物ばかりだった。一体どうやって食料の確保をしていたのだろうか?
等と思っていたのだが、最近まで生活していたような形跡がある。どうやら兵だけでなく、全ての民が王都へと連行でもされたのだろう。
「この分だと、簡単に確認して回った方が良さそうだな。国境と王都にいたのが全国民って可能性が高いか。」
その後も簡単な確認で済ませる事で、時間短縮に成功する。結局2時間足らずで全ての村や街を確認し終え、グリーディアの王都へと辿り着く。
予定の半分程の時間で王都に戻り、王城内へと案内される傍らで淡い期待を抱く。ひょっとしたら勝てたのでは?等と思ったのだが、オットル女王の待つ部屋に案内されて肩を落とす。
「あら?私の予想よりも速かったですね。」
「カレン・・・やっぱり勝つのは無理だったか。」
「皇帝陛下、カレン王妃に勝つのは無理だと思うぞ?」
「オットル女王・・・どういう意味です?」
突然告げられた言葉に、オレは素直に聞き返す。フロストルとの国境に向かったオットル女王は、カレンの戦闘を見ていたはず。一体何を見たというのだろうか?
「カレン王妃は・・・一撃でフロストルを滅ぼした。」
「・・・は?」
このゴリラ・・・女王様は何を言っているのだろうか?残念ながら、オレにはゴリラの言葉など理解出来ない。頼むから人の言葉で・・・いや、今のは人の言葉だった気がする。って、一撃!?
「国境で剣を一振りしたのだがな・・・幸い陛下が帰国するにはまだ余裕があるだろう?見て来た方が早いと思うぞ?」
「良くわからないですが・・・わかりました。では少し席を外させて頂きます。」
オットル女王も説明仕掛けたのだが、見た方が早いと言い直す。これは多分、何か信じられない物でも見たような表情なのだろう。目は口ほどに物を言うとはよく言ったものだ。女王の目が『聞くな』と言っている気がする。
オレはすぐさまテラスから飛び立つと、ネザーレアと反対方向へと向かう。詳細な場所は聞いていないのだが、国境まで行けば何かわかるだろうと考えての事であった。
ネザーレアとの国境よりも近いと聞いていたので、ほんの数分で国境の防壁が見えてきた。見えて来たのだが・・・違う物も見えて来た。
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!」
年甲斐もなく叫んでしまった。いや、この体は15歳なので年齢はどうでもいい。それよりも、眼前に広がる光景の方が問題である。
何をどうすればこうなるのだろうか?いや、オットル女王が何か言ってたような・・・剣を一振り?
「剣を振ってこんな惨状が広がるっていうのかよ!?いや、それより一体何処まで・・・」
端まで見に行ってもいいが、もっと高い位置から見下ろせば全体が把握出来るはず。そう考えて高高度まで一気に上昇する。そこからはフロストル、グリーディア、ネザーレアの領土を一望する事が出来た。
「マジかよ。国の端から端までって・・・寒っ!!」
フロストル側は極寒という環境だが、今は関係無い。純粋に、上空が寒いだけであった。そんな単純な事にも気付かない程、オレは動揺していたらしい。とりあえず元の高さまで降りてから思考を巡らせる。
「とりあえず、カレンの本気がどの程度のヤバさなのかは理解出来た。今のオレがレベル500ちょっと。そう考えるとカレンのレベルは軽く1000を超えてるだろうな。少なくとも4桁まではあるって事か・・・。」
ゲームのように、レベル上限というものがあるのかは気になっていた。しかし今回の件で、少なくとも4桁までは存在する可能性が出て来た。これは嬉しい情報である。ナディアの姉を救うという意味でも、4桁近くまでは上げておきたいのだ。少なくとも、クリスタルドラゴンと同じレベルまで上げておけば、前回のような屈辱を味わう事も無いはずである。
新たな目標を胸に、オレはグリーディアの王城へと急ぐ。時間は無限では無いのだから、レベルアップに回しておきたい。こんな所で油を売っている場合ではないのだ。
カレンと合流し、すぐに帰る旨を伝える。するとオットル女王から待ったの声が掛かった。
「お2人にはまだ礼をしていない。精一杯のもてなしをしたいのでな。今日は泊まっていっては貰えないだろうか?」
「礼には及びませんよ?我々が勝手にした事ですから。それに、あまり時間も無いですから、そろそろ失礼しなければならないのです。」
「そうか・・・残念じゃが仕方ない。歓待の宴は、またの機会とさせて貰おう。」
「そうですね。落ち着いたら伺わせて頂きますよ。」
残念そうなオットル女王だが、あっさりと聞き分けて貰えたので何よりだ。そもそも、もう1泊する予定など無かった。日付が変わった時点で、ティナ達は転移魔法陣への警戒を解いているのだが、何の連絡もしていないのはマズイだろう。人目につかない場所で通信する位ならば、転移魔法で帰った方が良いのだ。
心底残念そうにしているグリーディアの者達に別れを告げ、オレとカレンはテラスから移動しようとする。しかし、突然カレンがオレに抱き付いて来た。
「ちょっと?」
「ルークの魔法で空を移動するのですよね?でしたら私を抱いて頂かないといけません。」
カレンも空を飛べるはずなのだが、その光景を見た事はない。ドレス姿で空を飛ぶというのは、下着が見えるので控えていると言われてしまった。なら服装を変えれば良いと思うのだが、そんな事を言える程オレは命知らずではない。
仕方なくカレンをお姫様抱っこして、再度オットル女王達に別れを告げる。
「それではオットル女王、皆さん。またお会いしましょう。」
「あぁ。いつでも遊びに来てくれ。我々の国を救ってくれた恩人なのだ、いつでも歓迎するぞ。」
こうしてオレとカレンは、大した観光もせずにグリーディアを後にしたのであった。勿論、人目につかない場所で転移魔法を使用したのは言うまでもない。
ルーク達を見送った後、オットル女王に促されたラペリス将軍が見たままを報告する。彼はたった今到着したのであった。
「ラペリスよ、どうであった?」
「はっ!フォレスタニア皇帝陛下ですが・・・ネザーレア軍を魔法の一撃にて殲滅しました。」
「魔法?多数のエルフを相手にか?」
「はい。信じられないのですが・・・あれは雷魔法ではないかと。」
「そうか・・・。やはりあの2人、おそらく人ではないのだろうな。」
「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」
ラペリス将軍の報告を受け、オットル女王が呟く。静まり返った室内である以上、その言葉は全員の耳に届く事となる。
「皆の者。お2人の素性に関しては一切の口外を禁ずる!・・・滅ぼされたくはないであろう?」
「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」
力なく告げられた女王の言葉に、全員が素直に従う事にした。あの2人の不興を買うメリットは無いと、全員が瞬時に理解したのであった。
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