171 / 258
動乱の幕開け
罰
しおりを挟む
店を閉め、2階に集合したルークと嫁達は休憩がてらに状況を確認していた。
「ーーーと言う訳なのです。本当に申し訳ありませんでした!ですから城へ戻って頂けないでしょうか!?」
「・・・事情は理解した。でも、帰るつもりは無い。」
「そんな!?」
スフィアの説明を受け、可哀想だとは思ったものの帰る気にはならない。そう告げるルークの言葉に、納得の行かないスフィアが喰らい下がる。
「正直な所、オレは権力に興味が無い。出来る事なら皇帝の座なんて誰かに譲ってしまいたい程だ。そして今回の件はスフィアが悪いと思ってるんだろ?」
「それは・・・はい。」
「だったらオレが素直に従う道理もない訳だ?」
「・・・おっしゃる通りです。」
スフィアならば言い返す事は出来るだろう。口撃力であれば、恐らくスフィアが最強なのだから。しかしここでそんな真似をすれば、ルークは2度と戻らないかもしれない。そう思ったからこそ、スフィアは大人しくするしかなかった。
「まぁ、スフィアを懲らしめる為に他のみんなまで巻き込むのは気が引けるから、そこは妥協点を探ろう。そうだな・・・労働、は充分過ぎる程してるからなぁ。う~ん、戦闘・・・ならこうしよう!スフィアには戦闘訓練を受けて貰う。期限は定めない。だが単独でCランクの魔物を倒せるようになるまで終わらない。それで良ければ数日おきに城へ顔を出すと約束する。」
「ルーク様!それは無茶です!!」
「そうですよ!下手したら死ぬまで終わらないじゃないですか!!」
ルークの提案に対し、真っ先に異を唱えたのはセラとシェリーである。残念な事に、スフィアの運動神経が壊滅的な事実を誰よりも知っている。だからこそ真っ先に声を上げたのだ。
しかしルークも鬼ではない。人間何がキッカケで目覚めるのかわからない。それに、Cランクの魔物であれば不可能とは言えなかった。どんなに才能が無くとも、Cランクであれば倒せるようにはなる。だがそれにも条件はある。普通、幼少の時分より鍛錬に明け暮れる。スフィアの場合は20代後半。肉体は今後衰えるだろう。そうなれば現状維持もままならないのだ。
ヒト種である以上、時間に制約があった。ただしその制約に当てはまらないのがルークの妻、つまりは加護を受けた者達である。その事に気付いた面々が呟く。
「Cランクならすぐじゃない?」
「そうね。幸いにも、私達にはルークの加護があるんだし。」
ドーピングと言うか、気持ち程度のチートである。加護によるレベルの上乗せ。それを加味すればすぐにでも戦えるだろう。しかしそれに待ったをかけたのはルークである。
「残念だけど加護は与えない。当然夜の相手もしない。これはカレンも同様だな。」
「「「「「なっ!?」」」」」
「何故です!?」
この発言には全員が驚き、納得のいかないカレンが声を張り上げる。自分が一体何をしたというのか、その理由がわからないままだったからだ。
「悪いがカレンに対しても思う所がある。」
「それはルークの加護を失う程の物ですか?」
「あぁ。そもそもオレが加護を与えられるのに、カレンから何の加護を受けていないのは何故だ?」
「「「「「え?」」」」」
これは初耳だったのだろう。嫁達も驚いている。詳しい話は聞かされていなかったが、普通に考えれば互いに加護を与え合う事が出来ると思うだろう。しかしそれが一方通行だったと聞かされれば、当然耳を疑う。そんな嫁達を一瞥してルークは続ける。
「悪いけど信用出来ないんだよ。どうしても加護が欲しい訳じゃないけど、正直納得が行かない。オレが我慢すればいいと思っていたけど、今回のような事が度々起こっても困る。だから今回は徹底的に、オレが満足する方法を取らせて貰う事にした。異論があるなら結構。オレの好きにさせて貰うんだから、みんなも好きにするといい。誰が何処で何をしようと構わない。オレの下を去ると言うなら受け入れる。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
突然別れを切り出した恋人同士のような空気となり、その場に居た全員が黙り込む。しかしスフィアとカレン以外は完全なとばっちりである。重苦しい雰囲気となったのは、スフィアとカレンを気遣っての事だった。
「・・・わかりました。私はルークの提示した条件を受け入れます。」
「「スフィア様!」」
「構いません。今の立場を守り抜く事に必死で、ルークの気持ちを考えていませんでした。これではルークの隣に立つ資格がありませんよ。」
完全に吹っ切れたのか、清々しい表情のスフィアに嫁達が声を掛ける。
「はぁ・・・仕方ないわね。協力してあげる。」
「思い切り鍛えてあげるわ。」
「「私も!」」
「ルビアさん、フィーナさん、みなさん・・・ありがとうございます!!」
犬猿の仲であるルビアが真っ先に協力を申し出た事で、他の者達も次々と協力を申し出た。感激のあまり、スフィアの瞳にはうっすらと涙が。全員が笑顔でスフィアの下に駆け寄る中、ふと視線を移したナディアが声を掛ける。
「カレンはどうするの?」
「私は・・・少しだけ時間を頂けますか?」
何か思う所があるのだろう。この場での決断を避け、カレンは猶予を求めた。当然ルークに急がせるつもりはない。何日でも何年でも構わないと思っていた。
「カレンの思う通りにするといいよ。」
「ありがとうございます。先に城へ戻りますね。」
複雑そうな表情を浮かべて一礼し、カレンは部屋を後にした。他の者達は声を掛け辛かったようで、黙って見守るのだった。
嫁側の問題が片付き、次はルークの抱える問題である。今まで無言を貫いていた鬼軍曹がルークに向き直る。
「で?シノンとカノンについての説明は?」
「はい!それにつきましてはーーーーー」
恐縮しっ放しのルークであったが、何とか事情を説明する。すると納得したのか、鬼軍曹も鳴りを潜めたいつものティナさんの姿がそこにはあった。
「そういう事情でしたか。ですが、女の子の面倒をルークに任せる訳にもいきませんね。」
「で、でもさ、城に連れて行くのはナシだからね!?2人には普通に育って欲しいんだ!!」
「「「「「・・・・・。」」」」」
一体どの口が物を言うのか。お前が普通を語るなとばかりに、嫁達が冷ややかな視線をぶつける。勿論ルークも、自分が城に戻る事を拒絶して言っている訳ではない。偶々2人を保護したが、そんな事で城へと招き入れては大変な事になる。それを理解しているからこそ、嫁達も口を閉ざしているのだ。
「そうですね・・・では私が一緒に暮らします。」
「ちょ、ズルいわよ!」
「それなら私も!」
「ルビアとフィーナはスフィアを鍛えるんでしょ!?なら私が!」
「ナディアは竜王達の相手があるでしょ!」
ティナの言葉を皮切りに、他の嫁達が自分もと声を上げる。しかし誰もが何らかの仕事を抱えている。そういった意味で、自給自足のティナ以外は共に暮らす訳にもいかないだろう。収拾がつかなくなりつつある中、スフィアが全員を窘める。
「お静かに!皆さんの言い分は最もです。ですからここは、手を挙げられない私が取り纏めます。宜しいですね?」
「「「「「・・・はい。」」」」」
別にスフィアは再び調子に乗り始めた訳ではない。色々と吹っ切れた事で、普段のスフィアに戻っただけの話である。みんなの纏め役であるスフィアの提案に、全員が渋々頷く。
「まず、ルビアさんは地下農園があります。フィーナさんは・・・私の訓練ですか。ナディアさんは竜王達の相手。リリエルさん達は置いておくとして、残るはティナさん、セラ、シェリー、エミリアさんですね。」
「私はスフィア様の訓練をお手伝いします。」
「あ、私も!」
スフィアの呟きに、セラとシェリーは辞退を申し出る。今までスフィアに仕えて来た為、この3人を離す必要は無い。子供の教育や商売に向いていないからではない。という事にしておこう。
「そうですか?では宜しくお願いしますね。でしたらティナさんとフィーナさんにお任せしましょうか。」
「「「意義アリ!」」」
「ちょっと~!何でなの!!」
当然の如く、ナディアとルビアが意義を申し立てた。色んな意味で意外だったのがリリエルである。普段面倒な事は逃げるのだが、今回は何だか積極的である。
「ですからルビアさんは地下農園、ナディアさんも竜王達の相手。エミリアさんは次期聖女として、この国では有名ですよね?リリエルさんは・・・翼が邪魔!」
「「「くっ!」」」
「ガーン!!」
あまりにも簡潔な説明ではあるが、全員が自覚していたのか崩れ落ちる。翼が邪魔だと言われたリリエルに至っては、この世の終わりといった表情であった。
翼の生えた人間などいない為、彼女達の翼はある方法で見えなくしている。しかしそれは見えないだけで、器用に折り畳まれているのだ。確かに存在しているのだから、狭い屋内では邪魔にしかならない。それ以外にも、常識に疎い彼女達に子供の世話を任せられないといった理由が存在する。
無駄な抵抗もせず大人しくなった者達に夕食を振る舞ってから帝国へと送り届け、ルークはラミスの拠点へと戻った。単純にシノンとカノンが心配だったからである。いや、ティナ、フィーナと結託される事が心配だったと言える。
「「お帰りなさいなの!」」
「ただいま。」
嫁達の同意を得られた為、ティナとフィーナが2人に転移魔法の説明を行っていた。とは言っても、情報の取扱に関してのみではあるが。そんな数秒で済む説明にルークが勝てるはずもなく、4人は一緒にお風呂を楽しんでいたようだ。
「ルークのお出迎えも終わった事ですし、シノンとカノンは寝ましょうか。」
「おやすみなさいなの!」
「おやすみなの!お姉ちゃん、一緒に寝るの!!」
「あぁ、おやすみ。」
ティナに促され、2人は素直に自室へと向かって行った。残っていたフィーナの正面に座り、ルークはニヤニヤしながら今後の相談をする。ちょっと気持ち悪いのだが、フィーナも同じ気持ちである為何も言わない。
「明日からティナとフィーナは、2人のサポートって事でいいかな?」
「そうね。あまり表立って働くのもどうかと思うし。あの子達がここで生きる為の目的を奪うのも、ね?ルークはそう考えてたんでしょ?」
「あぁ。正直助かるよ。それで2人と交渉したと?」
「えぇ、お風呂でね。だから私達は陰ながらお手伝い。」
赤の他人であるシノンとカノンがルークと共に暮らす条件、働かざる者食うべからず。ティナとフィーナがこの店を手伝えば、2人は追い出されるかもしれない。そう考えた2人は最初、彼女達の助力を拒んだ。
しかしこのままではいずれ倒れてしまう。そう考えたティナ達が譲歩する形を取ったのだ。自分達は只のお手伝いさんです、仕事は取りませんよ、と。自分達を脅かす存在でないと理解した2人が、ティナ達を信用するのに時間は掛からなかった。
2人を寝かし付けたティナがリビングに戻って来る。フィーナとの話を打ち切り、ルークは話題を変えるのだった。そう、先日目撃したリューとサラの件へと。
「ーーーと言う訳なのです。本当に申し訳ありませんでした!ですから城へ戻って頂けないでしょうか!?」
「・・・事情は理解した。でも、帰るつもりは無い。」
「そんな!?」
スフィアの説明を受け、可哀想だとは思ったものの帰る気にはならない。そう告げるルークの言葉に、納得の行かないスフィアが喰らい下がる。
「正直な所、オレは権力に興味が無い。出来る事なら皇帝の座なんて誰かに譲ってしまいたい程だ。そして今回の件はスフィアが悪いと思ってるんだろ?」
「それは・・・はい。」
「だったらオレが素直に従う道理もない訳だ?」
「・・・おっしゃる通りです。」
スフィアならば言い返す事は出来るだろう。口撃力であれば、恐らくスフィアが最強なのだから。しかしここでそんな真似をすれば、ルークは2度と戻らないかもしれない。そう思ったからこそ、スフィアは大人しくするしかなかった。
「まぁ、スフィアを懲らしめる為に他のみんなまで巻き込むのは気が引けるから、そこは妥協点を探ろう。そうだな・・・労働、は充分過ぎる程してるからなぁ。う~ん、戦闘・・・ならこうしよう!スフィアには戦闘訓練を受けて貰う。期限は定めない。だが単独でCランクの魔物を倒せるようになるまで終わらない。それで良ければ数日おきに城へ顔を出すと約束する。」
「ルーク様!それは無茶です!!」
「そうですよ!下手したら死ぬまで終わらないじゃないですか!!」
ルークの提案に対し、真っ先に異を唱えたのはセラとシェリーである。残念な事に、スフィアの運動神経が壊滅的な事実を誰よりも知っている。だからこそ真っ先に声を上げたのだ。
しかしルークも鬼ではない。人間何がキッカケで目覚めるのかわからない。それに、Cランクの魔物であれば不可能とは言えなかった。どんなに才能が無くとも、Cランクであれば倒せるようにはなる。だがそれにも条件はある。普通、幼少の時分より鍛錬に明け暮れる。スフィアの場合は20代後半。肉体は今後衰えるだろう。そうなれば現状維持もままならないのだ。
ヒト種である以上、時間に制約があった。ただしその制約に当てはまらないのがルークの妻、つまりは加護を受けた者達である。その事に気付いた面々が呟く。
「Cランクならすぐじゃない?」
「そうね。幸いにも、私達にはルークの加護があるんだし。」
ドーピングと言うか、気持ち程度のチートである。加護によるレベルの上乗せ。それを加味すればすぐにでも戦えるだろう。しかしそれに待ったをかけたのはルークである。
「残念だけど加護は与えない。当然夜の相手もしない。これはカレンも同様だな。」
「「「「「なっ!?」」」」」
「何故です!?」
この発言には全員が驚き、納得のいかないカレンが声を張り上げる。自分が一体何をしたというのか、その理由がわからないままだったからだ。
「悪いがカレンに対しても思う所がある。」
「それはルークの加護を失う程の物ですか?」
「あぁ。そもそもオレが加護を与えられるのに、カレンから何の加護を受けていないのは何故だ?」
「「「「「え?」」」」」
これは初耳だったのだろう。嫁達も驚いている。詳しい話は聞かされていなかったが、普通に考えれば互いに加護を与え合う事が出来ると思うだろう。しかしそれが一方通行だったと聞かされれば、当然耳を疑う。そんな嫁達を一瞥してルークは続ける。
「悪いけど信用出来ないんだよ。どうしても加護が欲しい訳じゃないけど、正直納得が行かない。オレが我慢すればいいと思っていたけど、今回のような事が度々起こっても困る。だから今回は徹底的に、オレが満足する方法を取らせて貰う事にした。異論があるなら結構。オレの好きにさせて貰うんだから、みんなも好きにするといい。誰が何処で何をしようと構わない。オレの下を去ると言うなら受け入れる。」
「「「「「・・・・・。」」」」」
突然別れを切り出した恋人同士のような空気となり、その場に居た全員が黙り込む。しかしスフィアとカレン以外は完全なとばっちりである。重苦しい雰囲気となったのは、スフィアとカレンを気遣っての事だった。
「・・・わかりました。私はルークの提示した条件を受け入れます。」
「「スフィア様!」」
「構いません。今の立場を守り抜く事に必死で、ルークの気持ちを考えていませんでした。これではルークの隣に立つ資格がありませんよ。」
完全に吹っ切れたのか、清々しい表情のスフィアに嫁達が声を掛ける。
「はぁ・・・仕方ないわね。協力してあげる。」
「思い切り鍛えてあげるわ。」
「「私も!」」
「ルビアさん、フィーナさん、みなさん・・・ありがとうございます!!」
犬猿の仲であるルビアが真っ先に協力を申し出た事で、他の者達も次々と協力を申し出た。感激のあまり、スフィアの瞳にはうっすらと涙が。全員が笑顔でスフィアの下に駆け寄る中、ふと視線を移したナディアが声を掛ける。
「カレンはどうするの?」
「私は・・・少しだけ時間を頂けますか?」
何か思う所があるのだろう。この場での決断を避け、カレンは猶予を求めた。当然ルークに急がせるつもりはない。何日でも何年でも構わないと思っていた。
「カレンの思う通りにするといいよ。」
「ありがとうございます。先に城へ戻りますね。」
複雑そうな表情を浮かべて一礼し、カレンは部屋を後にした。他の者達は声を掛け辛かったようで、黙って見守るのだった。
嫁側の問題が片付き、次はルークの抱える問題である。今まで無言を貫いていた鬼軍曹がルークに向き直る。
「で?シノンとカノンについての説明は?」
「はい!それにつきましてはーーーーー」
恐縮しっ放しのルークであったが、何とか事情を説明する。すると納得したのか、鬼軍曹も鳴りを潜めたいつものティナさんの姿がそこにはあった。
「そういう事情でしたか。ですが、女の子の面倒をルークに任せる訳にもいきませんね。」
「で、でもさ、城に連れて行くのはナシだからね!?2人には普通に育って欲しいんだ!!」
「「「「「・・・・・。」」」」」
一体どの口が物を言うのか。お前が普通を語るなとばかりに、嫁達が冷ややかな視線をぶつける。勿論ルークも、自分が城に戻る事を拒絶して言っている訳ではない。偶々2人を保護したが、そんな事で城へと招き入れては大変な事になる。それを理解しているからこそ、嫁達も口を閉ざしているのだ。
「そうですね・・・では私が一緒に暮らします。」
「ちょ、ズルいわよ!」
「それなら私も!」
「ルビアとフィーナはスフィアを鍛えるんでしょ!?なら私が!」
「ナディアは竜王達の相手があるでしょ!」
ティナの言葉を皮切りに、他の嫁達が自分もと声を上げる。しかし誰もが何らかの仕事を抱えている。そういった意味で、自給自足のティナ以外は共に暮らす訳にもいかないだろう。収拾がつかなくなりつつある中、スフィアが全員を窘める。
「お静かに!皆さんの言い分は最もです。ですからここは、手を挙げられない私が取り纏めます。宜しいですね?」
「「「「「・・・はい。」」」」」
別にスフィアは再び調子に乗り始めた訳ではない。色々と吹っ切れた事で、普段のスフィアに戻っただけの話である。みんなの纏め役であるスフィアの提案に、全員が渋々頷く。
「まず、ルビアさんは地下農園があります。フィーナさんは・・・私の訓練ですか。ナディアさんは竜王達の相手。リリエルさん達は置いておくとして、残るはティナさん、セラ、シェリー、エミリアさんですね。」
「私はスフィア様の訓練をお手伝いします。」
「あ、私も!」
スフィアの呟きに、セラとシェリーは辞退を申し出る。今までスフィアに仕えて来た為、この3人を離す必要は無い。子供の教育や商売に向いていないからではない。という事にしておこう。
「そうですか?では宜しくお願いしますね。でしたらティナさんとフィーナさんにお任せしましょうか。」
「「「意義アリ!」」」
「ちょっと~!何でなの!!」
当然の如く、ナディアとルビアが意義を申し立てた。色んな意味で意外だったのがリリエルである。普段面倒な事は逃げるのだが、今回は何だか積極的である。
「ですからルビアさんは地下農園、ナディアさんも竜王達の相手。エミリアさんは次期聖女として、この国では有名ですよね?リリエルさんは・・・翼が邪魔!」
「「「くっ!」」」
「ガーン!!」
あまりにも簡潔な説明ではあるが、全員が自覚していたのか崩れ落ちる。翼が邪魔だと言われたリリエルに至っては、この世の終わりといった表情であった。
翼の生えた人間などいない為、彼女達の翼はある方法で見えなくしている。しかしそれは見えないだけで、器用に折り畳まれているのだ。確かに存在しているのだから、狭い屋内では邪魔にしかならない。それ以外にも、常識に疎い彼女達に子供の世話を任せられないといった理由が存在する。
無駄な抵抗もせず大人しくなった者達に夕食を振る舞ってから帝国へと送り届け、ルークはラミスの拠点へと戻った。単純にシノンとカノンが心配だったからである。いや、ティナ、フィーナと結託される事が心配だったと言える。
「「お帰りなさいなの!」」
「ただいま。」
嫁達の同意を得られた為、ティナとフィーナが2人に転移魔法の説明を行っていた。とは言っても、情報の取扱に関してのみではあるが。そんな数秒で済む説明にルークが勝てるはずもなく、4人は一緒にお風呂を楽しんでいたようだ。
「ルークのお出迎えも終わった事ですし、シノンとカノンは寝ましょうか。」
「おやすみなさいなの!」
「おやすみなの!お姉ちゃん、一緒に寝るの!!」
「あぁ、おやすみ。」
ティナに促され、2人は素直に自室へと向かって行った。残っていたフィーナの正面に座り、ルークはニヤニヤしながら今後の相談をする。ちょっと気持ち悪いのだが、フィーナも同じ気持ちである為何も言わない。
「明日からティナとフィーナは、2人のサポートって事でいいかな?」
「そうね。あまり表立って働くのもどうかと思うし。あの子達がここで生きる為の目的を奪うのも、ね?ルークはそう考えてたんでしょ?」
「あぁ。正直助かるよ。それで2人と交渉したと?」
「えぇ、お風呂でね。だから私達は陰ながらお手伝い。」
赤の他人であるシノンとカノンがルークと共に暮らす条件、働かざる者食うべからず。ティナとフィーナがこの店を手伝えば、2人は追い出されるかもしれない。そう考えた2人は最初、彼女達の助力を拒んだ。
しかしこのままではいずれ倒れてしまう。そう考えたティナ達が譲歩する形を取ったのだ。自分達は只のお手伝いさんです、仕事は取りませんよ、と。自分達を脅かす存在でないと理解した2人が、ティナ達を信用するのに時間は掛からなかった。
2人を寝かし付けたティナがリビングに戻って来る。フィーナとの話を打ち切り、ルークは話題を変えるのだった。そう、先日目撃したリューとサラの件へと。
0
あなたにおすすめの小説
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方
tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。
しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。
追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが?
どうなる俺の田舎でのスローライフ???
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる