嫌いなアイツと一緒に○○しないと出れない部屋に閉じ込められたのだが?!

海野(サブ)

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相手に○○って言わないと出れない部屋

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「ライアン…あぁ…」

 シリウスは俺の背中に腕を回した。シリウスの温もりに一安心する。

「…あー。やっぱり2人ともそういう…?」

 後ろには明らかに目線をずらした同期が立っていた。その同期の様子を見て一瞬で今自分が何してるのか把握して顔が熱くなった。

「うわぁぁぁ離れろシリウス!!」

 恥ずかしくなってついシリウスを押し退けてしまった。

「そっちから抱きついてきたけどな。」

「うるさいうるさい!!そ、そそれよりキャスはどうなった?!!」

「あ、あぁ。キャスの奴ならあそこに。」

 同期が指差した先には騎士達がキャスを囲っており、キャスはうなだれていた。手首には俺達がはめた魔法封じの手錠がはめられている。

「あぁ、ちょっといいか?」

 俺はキャスに近づく。キャスは何事だと俺の方に見上げた瞬間、俺はキャスの顔面にストレートパンチを喰らわせた。
 キャスは思いっきり宙で何回転かした後、地面に叩き疲れた。

「今までさんっざん!!!!後3回喰らわせんぞ!!」

「落ち着けライアン!流石に騎士が暴力を振るのはまずいだろ!!」

 シリウスが慌てて俺の肩を後ろから掴んで止めてきた。

「離せシリウス!!!」

 怒りに狂う俺はシリウス含めた騎士達に宥められながら、キャスに関する事件は終結を迎えた。

ーーーーー

 それから数日は経った。キャスはその後、逮捕して牢屋に押し込んだ。彼に対する罪状などは後日決まる。少なくとも軽い罪では済まされないだろうな。
 そしてキャスを捕まえた俺達騎士には功績を認められた。
 特にドラゴンにトドメを刺したシリウスには昇進の話が出たらしい。
 当たり前だ。そもそも彼はもっと上に行ける人材なのだ。今までやる気を見せなかっただけで。
 とまぁそんなシリウスに呼び出された。一度だけ入ったことあるシリウスの部屋の前で俺は立っていた。
 ノックをしようとした瞬間に背中に軽く叩かれた。振り返るとシリウスがそこにいた。

「シリウス…?何故そこに…?」

「ちょっとな、それよりさっそく入ってくれよ。」

「あ、あぁ。」

 シリウスに言われた通りドアを開けて中に入ろうとしたが、その部屋の光景に思わず動揺してしまった。
 窓の無く部屋の中心にはテーブルとベッドしかない空間。その見覚えがある部屋はまさに、キャスが魔術で作り出した部屋そのものだったからだ。

「シリウス!この部屋は一体?!」

「まぁまぁとりあえず入れって。」

「ちょっ押すな!!」

 何が起きたのかわからない俺に対してシリウスは軽く笑いながら俺を部屋に押し入れた。

「どいうことだこれは?!お前の部屋は本が大量にあった筈だと記憶してるが?!」

「あぁ。簡単な話。今この空間はキャスが魔術で作った部屋と全く同じだ。魔術師からお礼として一回だけ使えるようにしてもらったんだ。」

「はぁ?!!何故わざわざそんなことを?!」

「……そこのテーブルの上に書いてある紙を読んでくれ。」

 そう言われて俺はテーブルに置いてある紙を手に取りその内容を見た。

「す、【相手に好きって言わないと出れない部屋】?!!」

 その紙はこの部屋の脱出条件が書かれていたはず。わざわざそれにしたってことは、シリウスの奴、俺に好きって言わせたいのか?!

「き、貴様!どれだけ俺を馬鹿にすれば気が済むんだ?!」

「ははっ、悪いな。つい魔が差して。でも、ドラゴンを倒した訳だし俺が今一番欲しいものを手に入れてもいいだろ?」

「そ、それって……つまり……」

 あの時シリウスに好きだと言われた。その後キャスの事があってあやふやになっていたが、要は恋人になりたいってことなのか?

「あぁ、お前に好きって言ってくれたらオレは満足だ。」

「………は?」

「安心しろ、別に付き合いたいとかは思ってないから。そこまで欲深く考えてないからさ。」

 シリウスはベッドの上に座って、hahahaと乾いた笑いをした。
 何なんだコイツ、俺の気がしれないで。
 こっちはシリウスに抱かれてからずっとずっと、頭を悩ませてきたというのに。

「ふざっけんな!!」

 俺は怒りのあまりシリウスを押し倒した。殴られると察知したのかシリウスは目を瞑った。それがまたムカついて俺はそのままシリウスの唇に自分の唇を当てた。

「?!!」

 予想外のことだったのかシリウスは目を開いた。唇を離すと同時に俺の耳に熱がこもっていることに気づく。

「ら、ライアン?」

「わざわざこんな部屋用意した挙句にくだらねえ内容にしやがって!」

「それは悪かったが…」

「それにこっちはずっとずっと嫌いだった筈のお前に振り回されて頭がどうにかなりそうなんだよ!!身体だって抱かれてからそれを思い出すように自分のケツさえ弄る始末!!どう責任取りやがる?!!」

 怒りのあまり冷静に慣れてないがこのさえ今まで思ってきたことを全てぶつけてしまおう。

「シリウス!!そもそもな話、俺は最初からお前が強いってことは知っていた!!けど真面目に相手にしてくれなくて、悔しかった。」

 シリウスは俺に失望されたくなかったと言っていた。でも俺は真面目にきてくれない方が失望だった。
 けど。

「お前は俺が自分を見てくれているって言ったが、そんなことはない。多分誰よりもお前を見てこなかった。だけど、非常に気に食わないが、キャスをきっかけにお前がどんな人間なのか見えてきた。もちろん今だに本気で手合わせしたいと思っているが、それ以上に。」

ーシリウスと仲を深めたかったー

 あぁ、そうか。ずっと自分のプライドとシリウスに対する憎しみのような感情が邪魔していたんだ。
 モヤモヤの正体はこれだったのだ。

「シリウス、俺は、お前がすっ…」

 次の瞬間、腕を掴まれてそのままベッドに押し倒された。

「なっシリウスおまっ、ムッ!!」

 
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