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514:開発者
しおりを挟む「マリーーー!!」
「はい。テール様。ようこそ、いらっしゃいました。
昨日ぶりですね。うふふふ。」
「そうだな。昨日ぶりだ。ふふふふ。ん?ほかにも客が?」
「ええ。みなで軽く食事をと考えています。
それが終わってから、会談ですね。」
「また、眠ってしまうのではないか?」
「いいんですよ。寝ても。信頼のおける者たちに任せておけばいいのです。
上に立つものは、全体のまとめ役です。
ここは彼らに任せてしまいましょう。人を使うことも覚えなければ。
が、自ら率先して動くことも大事ですがね。今日は彼らに任せましょう。」
「カーチとマーロもそういっていた。そういうことか?」
「そういうことですよ。それに館の引っ越しもありますでしょ?
館内も案内しますよ。」
「飛べる装置があるとか。前回、ここに来た者たちの話を聞いたのだ。
この前は大事な話ばかりだったから聞けなかたんだ。あるのか?」
「飛べる?っぽいものですね。ええ、案内しますよ。」
馬車から飛び降りてきたテール君の相手をしつつ、
今回は館の前にセットしたテーブルに案内した。
すでにいい匂いは漂っている。
おなかが鳴りそうだ。
ファンファンたちもやって来た。
生産院の馬車もだ。派手ですね。
院長と、メディング副院長。
わたしは今はメイドの格好だ。
先に赤い塊だと名乗らなければ、ちょっかいをかけられてしまう。
「ラッシング殿、メディング殿。ようこそ。
モウでございます。人手不足故、今日は給仕をさせていただきます。」
「!!モウ殿か!あああ・・・。」
「ん?」
「あはははは!馬車からモウ殿をみてな、喜んでいたんだよ。
いい女がいるとな。」
「院長!そのような下品なことは言っておりません。
素敵だなと言っただけです。」
「ふふふ。ありがとうございます。さ、こちらに。」
「モウ殿!この匂いは?」
「ええ。今回、生産院の方で隠匿をかける商品ですよ。
先に知っていれば、次の手が打てるとおっしゃっていたとお聞きしましたので。
どうぞ、参考になさってください。
乳酪との組み合わせで、お野菜も売れると思うのですよ。」
「良いお話ですね?」
「もちろんでございます。」
生産院からは御者も入れて5人。
ボルタオネもラルトルガもだ。
生産院は護衛を兼務しているようだが、
ラルトルガの御付きはかなりもめたようだ。
ボルタオネが御者を入れて5人で来ると聞いていたので、
招待できるのは同じ5人だと事前に連絡したのだ。
生産院にも。隠密も来るかと思ったが、
信頼関係をこれからも結んでいかないといけない。
隠匿をかけた商品の売り上げの1%は税とは関係なく
生産院に入るんだ。タオルとゴムを逃したことが痛いはず。
ここでまた個人隠匿にされたらたまったもんじゃない。
6つのテーブルに分かれて座ってもらった。
「皆さま。お忙しい中、お集まり頂いてありがとうございます。
本日は生産院にて隠匿をかけていただく商品を
販売前に楽しんでいただこうかと。
それは食品なのですが、塩や胡椒と同じ、味付けをするものです。
まずはその味を付けた数々の料理をお楽しみください。
なお、野菜は新鮮で味のいいラルトルガ産です。
では、マリー、セバス、ドーガー!お運びして!!」
結局コース料理風醤油尽くし。
ポテトのバター醤油、貝柱の醤油焼。
さやえんどうっぽいものの肉巻き、
大根おろしを添えた和風ステーキ、和風ハンバーグ。
焼き魚、焼きおにぎり。
そして最後が醤油ラーメン。
みんなちょっとずつだけど。
最後の甘味はほうじ茶とみたらし団子。
バター醤油のポテチもある。
トウモロコシは断念。
コットワッツもラルトルガも作っていないからだ。
生のトウモロコシを収穫したときに紹介しよう。
「いかがですか?ラッシング殿、メディング殿?」
「・・・うまいな。肉もそうだが、魚?これがまた。」
「ええ。冷蔵馬車で運べば新鮮さが保てます。
そこから、すこし加工をしないと生臭さはなくならないのですが、
そこにその豆ソースをすこしつければ、味が引き立つのです。」
「これは赤根?」
「ええ。ファンロ殿。豆ソースと赤根のすりおろしたものは相性がいいようで。
あっさり食べれます。いかがですか?乳酪との組み合わせも。」
「塩味だけでないのだな?豆?魚のマムカンに似ているが?」
「さすが本職の方だ。が、生臭さは有りませんでしょ?」
「ああ、これはいいな。」
「これを隠匿にかけると?それではみなに広まらないのでは?」
「いいえ。もとになるものはただのソースです。
そこからは様々なものに使われることでしょう。
価格もこの大きさで1リングと考えております。
王都のソースよりも日持ちはしますし、量が違います。
ああ、王都のソースと混ぜてもおいしいですよ。」
「今買って帰ることはできるのか?」
「ええ、もちろん。15本ほど用意できました。
隠匿の手筈が整いましたら。」
その場で隠匿。
権利はソヤに。豆をベースにしたソース。
「ソヤとは?」
「ええ。このソースの開発者ですね。
彼を中心に量産体制をコットワッツで展開したいと思います。」
「その者は?」
「この場に出るのは辞退したいと。名前があればよろしいでしょ?
虚偽なら隠匿すらできないのですから。」
「そうだな。では、これを。この隠匿は生産院で管理します。
類似品が出る場合は事前に阻止もできましょう。
管理費は売り上げの2%です。」
「1%では?」
「内容が漠然すぎますので。広い範囲で干渉がある。
豆そのものをつぶしたものも豆のソースと呼ばれています。
それと違うのだと判断するには手間がかかりますから。
その分ですね。」
「仕方がありませんね。この豆のソースには必ずこの印をつけるということも
隠匿の条件に。それで、2%です。」
「わかりました。つけていないものは偽造品だとしましょう。」
なんだか条件が逆のような気がするが、
これで、生産院公認。このマークが入っていないものは
認められない。というか、作れない。
どういう仕組みなのかいまいち理解はできないな。
豆のソースを作れるのはソヤとソヤが認めたものだけ。
販売はソヤと契約したコットワッツのみ。
その2者間の契約の方が厳しい。
ソヤは勝手に売れないし、コットワッツもソヤを通さないと作れない。
双方同意のもとに解約もできる。
方向性の違いという奴だ。
その時は投資したものは返還、作り方は全て公開。
ソヤがよりよくお醤油を作れる、もっと違った作り方で作れるとなった時、
コットワッツの手を借りたくないとなった時に、解約ができるのだ。
解約はできるが、その時点ですべて公開。
この契約だとソヤに不利なようだが、
設備投資はすべてコットワッツだ。軌道に乗れば、
ほっておいても5%の収入は入る。それを元手に
違う仕事をしてもいい。
ソヤは最初からそのつもりのようだ。
権利を手に入れたのだ。
もちろん、引き抜きはあるだろう。
断れば命の危険もあるかもしれない。
が、そうならないよう守るのもコットワッツだ。
権利者が死ねば生産院で公開するだろう。
マヨネーズのように。だから、ソヤだけが知っているということが大事なのだ。
コットワッツは情を抜きにすれば、
ソヤをないがしろにしないし、丁寧に扱うだろう。
ソヤは勝手に入ってくる売り上げを捨てることはない。
その売り上げも毎年更新するのだから。
一番怖いのはコットワッツに嫌がらせの為だけにソヤに危険が行くこと。
これは何としてもコットワッツが守る。
それを見越してソヤは謎の人物ということだ。
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