いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
515 / 869

515:寝言

しおりを挟む
結局、各自が1本ずつ買っていった。
生産院、ボルタオネ、ラルトルガとして
5本ずつ確保したかったようだが、
個人でまず楽しみたいという欲求のほうが強かったようだ。
醤油さしも気に入ってもらえたようだ。

メディングの食レポはなかなかに楽しかった。
乗りがいいのだ。
うまそうに食べる。
食いしん坊万歳。
みんなが笑いながら楽しんだ。

食品開発部か、販売促進部を作ればいいと思う。
昆布と海苔のことを相談してみようかな。


生産院とラルトルガ一行はこれでお帰りに。
ソヤもドーガーと一緒にコットワッツに。


「まずは館を案内しましょうか?」

ジャングル風呂は普通のお風呂に。
ポンプで水をくみ上げる方式なのだから画期的だろう。
それに砂漠石か、樹石を入れて沸かしてほしい。
排水も考えてある。
汚物の回収は改めて契約してほしいと念押し。
匂いが上がってこないように砂漠石で風を起こしていると説明した。
小さな石で事足りるのだから、
便座開発と言わずに便所の開発をしてもらいたい。
後は屋上に。
トランポリンはそのまま。ハンモックも。
この上に高さを倍にした屋根を戻したので、濡れることはないだろう。
まっすぐの雨しか降らないようだから。

「これ?」
「ええ、思っていたのとは違いますか?」
「・・・違う。」

テール君のがっかり顔がかわいい。
どんなものを想像していたんだろうか?



「では一緒に飛んでみましょうか?」
「え?ふわふわする。」

靴を脱いで手を繋いで、真ん中に。

「行きますよー。」

「うわ!は!!あは!」

おお!と大人たちも驚いている。

「ゴムを張っています。そのままお使いください。」
「よろしいのですか?」
「ええ。ゴムの宣伝にもなりますでしょ?」
「はは!なるほど。それに、、この木材の使い方がいいですね。」
「亡きイスナ殿にもお褒め頂きましたよ。」
「ああ、イスナが喜びそうだ。」
「それで?お話というのはこの館のこと?」
「いえ。」
「テール殿は?」
「できれば、おやすみになってもらうほうがいい。」
「わかりました。マリー!我らは下に。後は頼む。」
「はい。さ、テール様、お二人に激励を。」 
「うむ。2人とも後は任せたぞ。」
「「はい、お任せを。」」


2人は下りていき、もう2人、御者と料理人は下で
檜のおひつについてマティスと話している。
窯の使い方も説明。赤い海峡石は外して、樹石にしている。
もうひとりは御者もするし、木工加工もできる人らしい。
その2人は引っ越しの準備もあるので先に帰っていった。
荷物を持ってこないといけない。

「テール様、お昼寝しましょうか?
あのハンモックに揺られるのは気持ちがいいですよ?」
「マリーは?」
「わたしも少し寝ちゃいましょうかね。内緒ですよ?」

2人でハンモックに乗るのに苦労したが、
子守唄をうたいながらポンポンすればあっという間だ。
抱きかかえて、下に降りていこう。
悲しい寝言を言っている。
会談の隣の部屋で寝てもらえばいい。

各部屋の案内も終わったようだ。


「寝たのか? 」
「ええ。わたしも同席させてもらっても?」
「頼む。」


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘





こちらはセサミン以下3人。
向こうはカーチとマーロ。
テールは隣の部屋で眠っている。


「さて、お話というのは?」
「・・・イスナはどこにいますか?」
「石におなりでは?場所は存じ上げません。」
「ドーガー殿がいらっしゃった。マティス殿も、モウ殿も。」
「なんのお話で?」
「2人の姫は?フックは?」
「カーチ殿?話が見えませんが?」
「・・・ここに寄せてもらってから、常に緑茶とガムと飴と。
籠に入った炭を寝床に。館内で香木のように茶を焚いています。」
「本当に話が分からない。」
「セサミナ様?わからない話ついでにわたしから少しお聞きしても?」
「かまいせんか?マーロ殿?カーチ殿?」
「ええ。」
「テール殿の母君はどこの出身の方ですか?」
「・・・王都です。天文院院長の遠縁の方だと。」

これはカーチ。

「今は?」
「わたしの判断で、別の館街に。」

これはマーロが答えた。

「ご病気?隔離?幽閉?」
「・・・・。」
「良き母ではないと?」
「何が良い母だと判断するのかが分かりませんが、
一度も抱き上げたことがないとだけ。」
「それは偏見だな。」
「モウ殿?」
「子を産んだから母になるわけではない。
いつか取られるものをどうして慈しむことが出来る?
それでも母というものは必ず子を守ると?
は!幻想だ。子が育つように母も育つ、成長するんだ。
逆にダメなものはダメなんだ。必ずとか、絶対はない。
が、その機会すら与えずに、
勝手に引き離しておいてよく言う。
お前の問題はそこか?
ああ、失礼。言葉が過ぎました。」
「・・・。」
「失礼ついでにもう一つ。なぜ自分たちに兄弟がいるのか?
考えたことがあるか?
争いの元にもなるだろうが、
大抵は、必要だからだ。必要だからいるんだ。」
「・・・影となっても?」
「逆の立場になっていたら?同じだろ?
なんで相手の立場になって考えないんだ?想像しろよ?
自分がされて嫌なことはするなってことだ。
自分がしたことは自分にされても、されたことに対して文句は言うな。
が、立ち向かうのは自分の力量だな。
あるかどうかは別の話だ。」
「モウ、控えろ。」
「申し訳ありません。
なにぶん、テール様がわたしの耳元で母様とつぶやきましたので。
少し感情的に。」
「・・・・。」
「お互いがなんの話をしているのかわからないですね。カーチ殿?」

「わたしは、わたしは・・・・。」

なにを思って涙を流しているんだろう?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

処理中です...