516 / 869
516:案内
しおりを挟む
「カーチ!!」
テール君が起きてしまった。
「セサミナ殿!カーチをなぜ泣かす!」
カーチの涙をみてテール君が激高している。
前に立ちカーチとマーロをかばうように
セサミンに威圧をかける。
なるほど、領主なのだ。
「テール殿。泣かせているわけではないのですよ?
話の中でね、なにかこみ上げてくることがあったのでしょう。
誰もカーチ殿を責めてもいないし、いじめているわけでもない。
もちろん、マーロ殿もだ。それぞれに役割があり、その時の最善を選択したはず。
それが後になって、ああすればよかったと思うこともあるでしょ?
それを悔いているのですよ。過去は変えられない。
これは絶対です。が、これからは、これからなんですよ。
これからまた頑張ればいい。そういう話をしていたんですよ。」
「?カーチ?なにか失敗したのか?大丈夫だ。
皆で頑張っていこう?マーロも泣いているのか?
マーロも大丈夫だ。何も心配することはない。
前領主のようにはいかないかもしれないが、みなで頑張ろう?な?」
「ええ、もちろん。テール様。」
「そうですよ。頑張りましょうね。テール様。」
前領主。
父上とは呼ばないか。
なんだかなー。
3歳の子が領主っていうのは。
しきたりがあると言っても、無理があるよね。
それは誰が見てもわかる。
イスナもカーチもわかっていたはず。
なのに、無理矢理だ。
イスナは自分の娘たちのことだけ。
カーチは自分の立場を憂い、
マーロは国の安泰のためなら、個人の犠牲は当たり前。
なるほど、コクが言うようにそれぞれ問題があるよね。
カーチが外部から操られたというよりも、
すべてだ。
己の欲望に囚われたということか。
テールが生まれる前から。
4年?もっとか。
ペリフロが女として生まれたときから?
男子が生まれれば、それをどうにかするつもりだったとか?
いや、もっと前だ。
コクが香木を探せなくなってから。
それはいつ?
「話という話はできませんでしたね。
我々もここを出立しなければなりません。
荷はすでに運んでいます。
それで、この館は外部から出入りができる入り口が2ヵ所。
柱の横の空洞を利用して上に上がれます。
ご存じですか?」
「ここはかなり昔にボルタオネが建造したと。図面が出てきました。」
「それはすごいですね?出てきたのはいつ頃ですか?」
「かなり前ですね。が、それがここの館のことだと気付いたのは、
前回こちらにお邪魔させもらった者の一人で。
屋上はなかったのですが、階段に見覚えがあったとか。」
あのケガをしていた5人の誰か?
なるほど。そいつこそが草か?
いやいや、何でも疑ってはいかんな。
それはイスナかもしれないし、フックかもしれない。
ペリフロの2人かもしれないのだ。
が、話の端に上がったことを
確かめ、実際にこの館に入り込んだ。
「そうですか。我々は最近気づきましてね。
が、もうここはボルタオネが管理なさる。
封印するなりなんなりしてもらったほうがいいですね。
我々が知っているからとそこから中に入ることはあり得ませんが、
いらぬ疑いをかけられたくはない。
どうぞ、隅々までお確かめ下さい。
それと?モウ?」
「ええ、ボルタオネの黒馬をコットワッツにて預かっています。
こちらにも連れてきていますので、会って見ますか?
馬は己で居場所を決めると聞きましたので。」
「あの香馬!いえ、黒馬ですね。」
「香馬ともいうのですね。それはイスナ殿からお聞きしましたよ?
ルポイドが使う早馬は未馬というそうで、
香木をまだ見つけていないという意味の。見つければ香馬と呼ぶそうですね。」
「未馬もご存じですか。そうですか。
あの黒馬はかなり昔に見つけたとは聞いています。
が、近年は全く。新領主の最初の仕事は香木を見つけること。
その儀式もここ何代と行なっていないのです。それで、黒馬は?」
「呼びましょう。テール様が呼んでみますか?」
「あの黒い馬?」
「ええ、そうですよ。なんと呼んでいたんですか?」
「?黒馬?」
「そうですか。コクと呼んでいます。呼んであげてください。コクと。」
「呼べば来る?」
「ええ。わたしもいっしょに呼びましょうか?」
「一緒に!」
「では外に行きましょうか?」
「・・・捕まえなければ。」
そう小さく呟いたのはマーロだ。
「さ、テール様?呼んでみましょうか?
近くで散歩していると思いますから。」
「なんと?」
「名前を呼んで、ここに来てほしいと。」
「うん。」
「コク!ここ来てほしい!」
あら?普通に森から来たわ。
「うわー!」
かなり見上げる格好になるので、わたしが抱き上げることした。
「まじかで見るのは初めてですか?」
「いつも遠くからだ。おおきい!!」
「そうですね。あの木のおもちゃはコクなのですよ?」
「!ほんとだ!似てる!」
「でしょ?なかなかにうまくできたと思っています。
ここ、この鬣のはね具合が。こだわりました。」
「あれはマリーが作ったの?」
「もちろん。木彫りは得意な方です。」
ほとんど”お願い”だが。
「挨拶をしないと。下してくれ。」
「はい。」
「こうして話をするのは初めてだな。
此度、ボルタオネ領国、領主を拝命したテールという。
貴殿は我が領国の香馬と聞く。
名前はコクと。
これからもそう呼んでいいだろうか?
香馬はボルタオネの守護なるもの。
できればボルタオネに一緒に帰って来てほしい。」
テール君は少し改まって挨拶を始めた。
その後ろにカーチとマーロも控える。
やはり香馬。
神聖な馬なのだ。
コクが嘶く。
テール君が起きてしまった。
「セサミナ殿!カーチをなぜ泣かす!」
カーチの涙をみてテール君が激高している。
前に立ちカーチとマーロをかばうように
セサミンに威圧をかける。
なるほど、領主なのだ。
「テール殿。泣かせているわけではないのですよ?
話の中でね、なにかこみ上げてくることがあったのでしょう。
誰もカーチ殿を責めてもいないし、いじめているわけでもない。
もちろん、マーロ殿もだ。それぞれに役割があり、その時の最善を選択したはず。
それが後になって、ああすればよかったと思うこともあるでしょ?
それを悔いているのですよ。過去は変えられない。
これは絶対です。が、これからは、これからなんですよ。
これからまた頑張ればいい。そういう話をしていたんですよ。」
「?カーチ?なにか失敗したのか?大丈夫だ。
皆で頑張っていこう?マーロも泣いているのか?
マーロも大丈夫だ。何も心配することはない。
前領主のようにはいかないかもしれないが、みなで頑張ろう?な?」
「ええ、もちろん。テール様。」
「そうですよ。頑張りましょうね。テール様。」
前領主。
父上とは呼ばないか。
なんだかなー。
3歳の子が領主っていうのは。
しきたりがあると言っても、無理があるよね。
それは誰が見てもわかる。
イスナもカーチもわかっていたはず。
なのに、無理矢理だ。
イスナは自分の娘たちのことだけ。
カーチは自分の立場を憂い、
マーロは国の安泰のためなら、個人の犠牲は当たり前。
なるほど、コクが言うようにそれぞれ問題があるよね。
カーチが外部から操られたというよりも、
すべてだ。
己の欲望に囚われたということか。
テールが生まれる前から。
4年?もっとか。
ペリフロが女として生まれたときから?
男子が生まれれば、それをどうにかするつもりだったとか?
いや、もっと前だ。
コクが香木を探せなくなってから。
それはいつ?
「話という話はできませんでしたね。
我々もここを出立しなければなりません。
荷はすでに運んでいます。
それで、この館は外部から出入りができる入り口が2ヵ所。
柱の横の空洞を利用して上に上がれます。
ご存じですか?」
「ここはかなり昔にボルタオネが建造したと。図面が出てきました。」
「それはすごいですね?出てきたのはいつ頃ですか?」
「かなり前ですね。が、それがここの館のことだと気付いたのは、
前回こちらにお邪魔させもらった者の一人で。
屋上はなかったのですが、階段に見覚えがあったとか。」
あのケガをしていた5人の誰か?
なるほど。そいつこそが草か?
いやいや、何でも疑ってはいかんな。
それはイスナかもしれないし、フックかもしれない。
ペリフロの2人かもしれないのだ。
が、話の端に上がったことを
確かめ、実際にこの館に入り込んだ。
「そうですか。我々は最近気づきましてね。
が、もうここはボルタオネが管理なさる。
封印するなりなんなりしてもらったほうがいいですね。
我々が知っているからとそこから中に入ることはあり得ませんが、
いらぬ疑いをかけられたくはない。
どうぞ、隅々までお確かめ下さい。
それと?モウ?」
「ええ、ボルタオネの黒馬をコットワッツにて預かっています。
こちらにも連れてきていますので、会って見ますか?
馬は己で居場所を決めると聞きましたので。」
「あの香馬!いえ、黒馬ですね。」
「香馬ともいうのですね。それはイスナ殿からお聞きしましたよ?
ルポイドが使う早馬は未馬というそうで、
香木をまだ見つけていないという意味の。見つければ香馬と呼ぶそうですね。」
「未馬もご存じですか。そうですか。
あの黒馬はかなり昔に見つけたとは聞いています。
が、近年は全く。新領主の最初の仕事は香木を見つけること。
その儀式もここ何代と行なっていないのです。それで、黒馬は?」
「呼びましょう。テール様が呼んでみますか?」
「あの黒い馬?」
「ええ、そうですよ。なんと呼んでいたんですか?」
「?黒馬?」
「そうですか。コクと呼んでいます。呼んであげてください。コクと。」
「呼べば来る?」
「ええ。わたしもいっしょに呼びましょうか?」
「一緒に!」
「では外に行きましょうか?」
「・・・捕まえなければ。」
そう小さく呟いたのはマーロだ。
「さ、テール様?呼んでみましょうか?
近くで散歩していると思いますから。」
「なんと?」
「名前を呼んで、ここに来てほしいと。」
「うん。」
「コク!ここ来てほしい!」
あら?普通に森から来たわ。
「うわー!」
かなり見上げる格好になるので、わたしが抱き上げることした。
「まじかで見るのは初めてですか?」
「いつも遠くからだ。おおきい!!」
「そうですね。あの木のおもちゃはコクなのですよ?」
「!ほんとだ!似てる!」
「でしょ?なかなかにうまくできたと思っています。
ここ、この鬣のはね具合が。こだわりました。」
「あれはマリーが作ったの?」
「もちろん。木彫りは得意な方です。」
ほとんど”お願い”だが。
「挨拶をしないと。下してくれ。」
「はい。」
「こうして話をするのは初めてだな。
此度、ボルタオネ領国、領主を拝命したテールという。
貴殿は我が領国の香馬と聞く。
名前はコクと。
これからもそう呼んでいいだろうか?
香馬はボルタオネの守護なるもの。
できればボルタオネに一緒に帰って来てほしい。」
テール君は少し改まって挨拶を始めた。
その後ろにカーチとマーロも控える。
やはり香馬。
神聖な馬なのだ。
コクが嘶く。
13
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる