姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

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1章 変わる日常

2話 姉の婚約(2)

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 私、ウェルカ・ティー・バーセリクはタリベアン王国において侯爵位を賜っているバーセリク家の次女だ。私の家族は現在お父様とお姉様。お母様は私が5歳のときに病気で亡くなってしまった。おっとりとした優しい方で本当に大好きだったため、お母様が亡くなった時は何日も泣き続けたのを覚えている。それが今から約4年前のことだ。

 ちなみにこれはバーセリク家の構成としては少々異なる。当主である父、母亡き後すぐに後妻となった子爵家の愛人の娘であった義母、そして彼女の連れ子(父の本当の子と思われる)の義妹、再婚後にできた嫡男である義弟、この6人でできている。よくある話ではあるが、義母は前妻の子である母によく似た私たちが気に入らないようで義妹と共に軽くいじめてきていた。まあ、ろくにご飯を上げないとか、十分な服を与えない、そういった類のものであったが。

 ちなみに父は本当に当てにならない、というよりも誰よりもそんな義母に夢中であった。誰が見ても浮気をしていたとわかる義妹を見た王族に連なる公爵家である母の実家は、私たちのことも見ずにすぐに我が家との縁を切ったため、そちらもあてにはならないと思っている。
 
 さて、長々と説明してきたわけだが今の状態はそこまで悪いわけではない。私もお姉様も宝石やドレスにそこまでの興味はなかったし、食事もお母様の生前、または公爵家にいたときより務めている方がこっそりと持ってきてくださるから。

「ウェルカ、何か飲みたいものはある?
 最近ベスに頼んで隣国の茶葉をいくつか取り寄せたのよ」

 少し声を潜めてお姉様が言う。その言葉に私は目を輝かせた。新しい茶葉なんて最近飲めていない。お部屋で選んでもいいですか? と聞くとお姉様は優しくうなずいた。お父様からの衝撃的な発言からお姉様のおかげでだいぶ回復したころで嫌な奴の姿が目に入った。

「あらぁ、アゼリア姉さまとウェルカ姉さまじゃない」

 ねっとりとした言い方、いっそ悪趣味なほど飾り立てられたド派手なピンク色のドレス。義妹のアンティーナだ。いつも通り義母譲りの癖の強い茶髪、父譲りの若葉色の瞳。この目が吊り上がっていなければ気の強そうな印象はやわらげたかもしれないが、性格がこうであれば仕方がない。そんな風に現実逃避をしているがこの義妹は目の前からどきそうない。

「アンティーナ、何か用事でも?」

「ああ、アゼリア姉さまご婚約おめでとうございます。
 せいぜい我が家の恥とならないでくださいね。
 それにしても……。
 フフッ、アハハ!
 ウェルカ姉さまがアゼリア姉さまの侍女なんて」

 心底おかしいというように笑うアンティーナに私もお姉様も思わずいぶかし気な目をそちらに向ける。幸運なことに我が義妹はそれに気が付いていないようだ。

「もう姉さま、なんて呼ばなくていいかしら」

 そうして笑ったまま横をとおりすぎていった。アンティーナ付きの侍女は申し訳なさそうな顔をしつつ通り過ぎていく。こんなことを思うべきではないが、後から入ってきた身、しかも母の立場もしっかりしたものとはいいにくい義妹にバカにされる筋合いなどないのだが?

「行きましょう、ウェルカ」

 深いため息をついた後にお姉様はそう言った。
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