姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

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2章 学園生活

96話 校外学習(13)

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 うーん……、セイットがうつむいたまま動かない。どうしたらいいかな。ただセイットをおろおろとみていることしかできないでいると、どこかからかすかに声が聞こえた。耳を澄ませてみるとようやく何を言っているのか聞こえてくる。

「み、みず……」

 水? どの人が言ってるんだろうか。患者たちのゆっくりと歩いていく。するとようやくその声を発している人が分かった。近くにおいてあった水差しを口元に持っていくも寝たままだとやっぱり飲みにくそうでむせてしまっていた。
これは少し体を持ち上げたほうがいいかなでも私にそんな力があるわけがない。悩んだ末に結局風魔法を使ってみることにした。確か、こうふわりと風で持ち上げるようにして……。
決して患者を傷つけないようにと注意を払いつつ、魔法を使うとゆっくりと患者の上半身は起き上がった。そしてようやく水を飲ませるとほっとした顔をしてまた眠りについた。

「失礼します。
 こちらはどんな様子ですか?」

 またゆっくりと体を倒そうとしているとき、そういってカラスベル様が部屋へと入ってくる。そしてすぐにおどろいたような顔をした。

「さすが神子様ですね。
 ずいぶんと患者が回復している……。
 ええと、ウェルカ様?
 セイット様は休憩室へ運びますので、ウェルカ様もそちらで休まれてください」

 神子様? セイットが? 困惑している間にもカラスベル様はよいしょとセイットを抱きかかえる。そして部屋を出ていったので慌ててそのあとを追いかけた。

 向かった先の部屋は多くの人が休んでいた。そのうちの開いていたベッドへとセイットを下す。部屋は日の光がよく入る明るいところで、なんだかここにいるだけで心が安らぐ気がする。

 先ほどの神子様、という発言が気になってカラスベル様に声をかけようとしたとき、ずどん! という大きな音とともに教会全体が大きく揺れた。

「これは⁉」

「魔獣が結界に体当たりをしたのでしょう。
 強固に結界を張ったので大丈夫だとは思いますが、様子を見てきます」

 魔獣が、ここに? 恐怖はある。しかし、なんとなく気になってしまい私はカラスベル様のあとを追いかけた。

 追いかけた先にはここに来た時一番最初に入った部屋に辿りついた。所狭しと人が並んでいるのは変わらないが、今は治療にあたっている人が誰もいない。だが、うめき声はいまだに聞こえてくる。そして、中には先ほどの振動におびえている人もいた。これはさすがに通り過ぎるわけにはいかないよね。

 でも人数が多すぎてどこから治していけばいいのかもわからない。……、セイットが使っていた魔法、私も使えるだろうか。確かヒールをエリア指定でかけていたよね。なんとなくだけど、魔力はまだ足りそうだし、やってみてもいいかもしれない。
 そう決めると魔力を魔法を使える状態にしようと集中する。そしてまさに魔法を発動しようとしていた時、誰かに肩をつかまれた。

「何を、しようとしていたんですか!」

 振り返った先にいたのは、真剣な顔に怒気をにじませたセイットがいた。
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