184 / 193
2章 学園生活
184話 王宮通い(2)
しおりを挟む
魔法師団は早めに切り上げて、お姉様の部屋へと向かう。魔法師団の人にはもう寮に帰るといって出て、そのままお姉様の部屋に向かうのだ。
「お姉様、お加減はいかがですか?」
「今日も来てくれたのね。
今日は気分がいいのよ」
最近はつわりもきついようで顔色が悪いことが多かったのだが、今日は確かに顔色もいい。よかった。
ちなみに、前回の事件を踏まえて王宮は急遽お姉様の部屋に専属のキッチンを作った。料理人も専属で、持ち込むものには厳しい制限がかけられているらしい。出入りする人も厳しく制限しているみたいだ。侍女もベスと古くから王家に仕えている人が2,3人、それだけだ。とにかく後継ぎが欲しい王宮は必至である、と。
そうだ、あともう一人。
「あら、ウェルカ様がいらっしゃったのなら私はお暇しましょうかしら」
「ごきげんよう、クルトラ子爵夫人。
ぜひ私ともお茶をしてくださいな」
現在大きくなってきたおなかを抱えたクルトラ子爵夫人。生まれてくる子の乳母となる予定の人だ。ぜひ私とも仲良くしてもらいたい。
「そうかしら?
ではもう少しだけ」
「なんの話をされていたのですか?」
「いえね、生まれてくる子にどんな服を作ろうかと話していたの」
なるほど……。服はもちろん針子が作るものだ。でも、最初の着る服である産着、お披露目の服は母親が作るのだ。どんな服を作るか、確かに悩みどころだろう。
「私はもう作り始めなくてはいけないのよ。
でもなかなか決められなくて」
「きっと愛情をこめて作ったものなら、どんなものでもかわいらしいと思いますよ。
とても楽しみにしています」
うん、楽しみ! とにこにこしていると、なんだか苦笑されてしまいました。まあ、私は作らないものね。
「どうぞ、ウェルカ様。
お菓子の方も焼きあがりましたよ」
「ありがとう」
ふわりとお菓子の甘い香りが漂う。おいしそう。このにおいは大丈夫なのかな、とちらりとお姉様をみると変わらずにほほ笑んでいる。クルトラ子爵夫人もお菓子を手に取っているから大丈夫そう。そこまで確認して、私はようやく安心して食べることができた。
「ふふ、なんだか賑やかで楽しいわ。
前の時は隠さなきゃと必死で、笑うことなんて忘れていたもの」
確かに一切を遮断していた感じがしたものね。でも。
「お姉様が笑っていてくださる方が、私もうれしいわ」
「そうですね。
アゼリア様は笑顔が似合いますもの」
「まあ。
ありがとうございます」
ジェラミア様のこと、お姉様の子のこと、不安なことはあるけれどやっぱりこうして笑っていられるのは楽しいな、なんて思いました。
「お姉様、お加減はいかがですか?」
「今日も来てくれたのね。
今日は気分がいいのよ」
最近はつわりもきついようで顔色が悪いことが多かったのだが、今日は確かに顔色もいい。よかった。
ちなみに、前回の事件を踏まえて王宮は急遽お姉様の部屋に専属のキッチンを作った。料理人も専属で、持ち込むものには厳しい制限がかけられているらしい。出入りする人も厳しく制限しているみたいだ。侍女もベスと古くから王家に仕えている人が2,3人、それだけだ。とにかく後継ぎが欲しい王宮は必至である、と。
そうだ、あともう一人。
「あら、ウェルカ様がいらっしゃったのなら私はお暇しましょうかしら」
「ごきげんよう、クルトラ子爵夫人。
ぜひ私ともお茶をしてくださいな」
現在大きくなってきたおなかを抱えたクルトラ子爵夫人。生まれてくる子の乳母となる予定の人だ。ぜひ私とも仲良くしてもらいたい。
「そうかしら?
ではもう少しだけ」
「なんの話をされていたのですか?」
「いえね、生まれてくる子にどんな服を作ろうかと話していたの」
なるほど……。服はもちろん針子が作るものだ。でも、最初の着る服である産着、お披露目の服は母親が作るのだ。どんな服を作るか、確かに悩みどころだろう。
「私はもう作り始めなくてはいけないのよ。
でもなかなか決められなくて」
「きっと愛情をこめて作ったものなら、どんなものでもかわいらしいと思いますよ。
とても楽しみにしています」
うん、楽しみ! とにこにこしていると、なんだか苦笑されてしまいました。まあ、私は作らないものね。
「どうぞ、ウェルカ様。
お菓子の方も焼きあがりましたよ」
「ありがとう」
ふわりとお菓子の甘い香りが漂う。おいしそう。このにおいは大丈夫なのかな、とちらりとお姉様をみると変わらずにほほ笑んでいる。クルトラ子爵夫人もお菓子を手に取っているから大丈夫そう。そこまで確認して、私はようやく安心して食べることができた。
「ふふ、なんだか賑やかで楽しいわ。
前の時は隠さなきゃと必死で、笑うことなんて忘れていたもの」
確かに一切を遮断していた感じがしたものね。でも。
「お姉様が笑っていてくださる方が、私もうれしいわ」
「そうですね。
アゼリア様は笑顔が似合いますもの」
「まあ。
ありがとうございます」
ジェラミア様のこと、お姉様の子のこと、不安なことはあるけれどやっぱりこうして笑っていられるのは楽しいな、なんて思いました。
12
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!
白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、
《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。
しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、
義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった!
バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、
前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??
異世界転生:恋愛 ※魔法無し
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。
buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ?
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる