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この世で最も幸せな、3分間の出来事
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しおりを挟む[side 沢木]
「ふぅん、そうか」
新年度が来た、4月。
講師の連絡網で、俺が去年教壇に立った学校からジュースが出たと報告を受けた。
ジュースだったのは、その高校を卒業する3年生の生徒。
卒業式の日に自分のアイスを溶かしたという。
(あいつ、ギリギリまで持ったんだな)
すげぇ精神力。
きっと何度も運命が言葉にさせようとしてきたはずなのに。
「でもまぁ、いい顔で笑ってんじゃん」
同じくらいに俺宛に届いた、1通の手紙。
同封されていた写真には、大学へ入学した清尾が清々しい顔で笑っている姿が写っている。
(きっと、いい3分間を過ごしたんだろう)
そしてあいつはこれから先…もっともっと幸せになれる。
だから安心しろ、清尾のアイス。
「ま、俺は厳しいけどな?」
〝沢木さんの後輩になりました、ご指導よろしくお願いします〟と書かれた手紙。
クスリと笑って自宅の自分の机にしまう。
「オギャー!オギャー!!」
「パパー? 私手が離せないから見てあげてー!」
「はいはい今行く!」
幸せな家庭に響く、幸せな声。
今日を、この瞬間を生きられることに感謝して
俺は…俺たちはきっと これからもめいいっぱい生きていくんだろう──
〝たかが3分間のために生きるとはなんて滑稽な〟
と、人は言う。
だが、例えば そのカップラーメンができるまでの時間で
歯磨きをする時間帯だけで
人は、どれだけの「愛してる」を伝えることができるのだろうか?
きっと、〝俺たち〟以上にそれを伝えることは
──できないだろう。
(嗚呼 本当、この世界はなんて残酷で)
(なんて……愛に溢れた世界なんだろうか)
(なぁ? ──雫)
fin.
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