それは、キラキラ光る宝箱

花町 シュガー

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友人Aの独白

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【どうか一度だけ……ここでだけでいいから、

 ──吐かせてくれないか?】










「よ、おつかれ」

「おーおつ」


 馴染みのバーのカウンター席。
 久しぶりに「呑もうぜ」とLINEが来て、仕事帰りに落ち合った。

「なんにする? いつもの?」

「ん」

「オッケー」

 隣のこいつは学生時代からの友人。
 社会人になった今でも、こうして時々会っている。

「でも今回は本当久しぶりだよな、どんくらい空いた?」

「んー半年ぶり? あんま覚えてねぇ……なんか変わったか?」

「いやなーんにも。毎日ただただ会社と家往復するだけの社畜に成り下がっております~……ってか、それ俺のセリフだろ!

ハガキ届いた、お前結婚するんだって!?」


 ついこの前郵便受けに入っていた招待状。
 名前を見れば、それは最近会ってないこいつからだった。

「相手の子知らなかったけど、社会人になってから出会った感じ? もしかして社内とか?」

「いや社内はねぇわ。社外の……
まぁ俗に言う、友人紹介という名の合コンだな」

「はいきたーまじか。なに、初めましてで一目惚れした系?
写真とかねぇのくっそ見てぇんだけど!同い年? それとも年上? どっちから告った? 交際どんくらいでゴール? プロポーズの決め台詞とかは──」

「あーあー黙れうっせぇ!お前質問しすぎだろ!!」

「いやしょうがねぇって~」

 だってもう何年の付き合いになると思ってんだ?
 こうなることくらいお前もわかってんだろ? 逆ギレすんなよ。

「まぁまぁ、とりあえず今日は呑もうぜ!
パーっとお祝いすっかぁ!いやまじめでたい!!」


 ポツリ
「…んなことねぇよ」


「?」


「お待たせしました」


 なにか呟かれたが、丁度タイミングよく酒が目の前に置かれて聞き取れなかった。

 (なんだろ……こいつ、こんな感じだったっけ?)

 昔からとにかく元気な奴で、社会人になっても変なこと言ってはゲラゲラ笑い合ってた。
 こんなに静かで落ち着いた姿を見るのは初めてなんじゃないかレベル。

 (マリッジブルーってやつ?
 男にもあるんだっけ、知らねぇけど)

 でも結婚式前のこのタイミングで誘われてるし、なにかナーバスになってるものがあるかもしれない。

 (しょうがねぇなぁ。話…聞いてやるか)


「……なぁ、あのs」


「これから話すことは、全部俺の独り言だ」


「…………は?」


 (独り言、って)

 いやいや俺隣いんじゃん。
 なに言ってんのこいつ?

 カウンターに肘をつき俯いているため、顔は見えない。
 けど、丸まった頼りない背中や掠れている声が…今にも消えてしまいそうで。

「……わかった、わーったよ、ったく…
お前が今から話すのは全部独り言な。俺が勝手にそれに相槌打つから、それでいいんだろ?」

「っ、すまん……」

「いーって謝んな気持ち悪りい」

 バシッと背中を叩いて笑ってやると、少し安心したような声。


 そのまま、ボソリボソリ呟くように ゆっくりと口を開きはじめた──





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