獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき

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いち

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 褐色の肌。深い緑がうねるように靡く茶色の髪。緋色の目玉はツルリとした硝子玉のようでもあり、縁日の特別な飴玉のようでもある。鍛えられた肉体はしなやかな肉食動物を思わせる。そんな体格の良い、野性味のある男は四肢を弛緩させて湯船に浸かっていた。もちろん全裸である。

 まさに寛ぎの最中。そこに、まさか、真上から人間が降ってくる日が来るなんて、誰も思わないだろう。バッシャーンっと派手な水音を立てて盛大に落ちてきた人間を、浴槽の主は咄嗟に抱き留める。というか、真上から降ってきたので、下敷きにならざるを得なかっただけともいう。

 降ってきた人間は、細身の少年。見たことも無い象牙色の肌に、見たことも無い白い布で上半身を覆っている。下半身は薄い無防備な布切れで腰周りを覆っているだけのようだ。

 大丈夫かと話しかけるが、落ちた衝撃で目を白黒させるばかりで返答はない。浴室の外から声をかけてける護衛に「問題ない」と声を張り上げて返すと、腕の中の人物は怯えるように身体を震わせた。顎を掴んで目を合わせると、黒い瞳が揺れている。色づく唇が、美味しそうで。

 誘われるまま、男は目の前の唇に噛み付き、貪った。

「ん"ん"ん"ん"ん"!!!!!」

 暴れ出した華奢な身体を抑え込むのは容易だ。逃げる舌を追いかけるのが楽しい。弄びながら口移しで魔力を流し込む。

 たまにあるのだ、この世界には。突然異界人が現れる。まさか浴室に現れるとは思わなかったし、聞いたこともないが。

 家族以外の魔力には拒絶反応を起こすのが普通だ。抵抗なく受け入れる空っぽの身体が、この世界の住人ではない何よりの証拠。

「ふ、はぁ、はぁ…」

 全身をほんのりと紅潮させ、息を乱して、暴れるのをやめたのを確認して唇を解放してやる。魔力で酔ったのか、少年はトロンとした目で男を仰いだ。張り付いた布越しに、少年の胸元が透けて突起が主張しているのが男の目に入る。表情といい、その姿と言い、扇情的で、男の欲を煽るには十分だった。

「ぁ、なに…」

 対面座位と呼ばれる体勢でくっついているせいで、男の怒張する欲で尻を撫でられた少年は戸惑い、瞠目する。

「───お前、歳は?」

「へ、26」

「───16の間違いではなく?」

「はぁ!?誰がだよ!!そんな童顔に見えんのか?今まで言われたことねぇんだけど!!」

 異界人の主張によると、彼の世界の基準では年相応で、彼も決して細身ではなく、中肉中背らしい。むしろガタイが良い方なんだとか。

 …なるほど、人種の差か。男は納得したし、一番の懸念事項も解決したと頷く。

「なら、問題はないな」

「な、何が…」

 自身がこの世界の言葉を話せていることにも気づかない、置かれている状況もよく分かっていない、そんな無防備な様はやはり幼く見える。だが、子供ではないなら問題はない。

 男は布越しに異界人の胸元の突起を指で弾いてやる。んんッと声を押し殺して身を捩った異界人の首元に軽く噛み付いた。いや、とか、やめろとか、否定の言葉と共に男を突き放そうとする。その力は彼なりに全力なのだろうが、この世界の基準では弱いとしか言えない。

 甘噛みして、ぺろぺろと噛み跡を舐めながら、指で絶え間なく虐めてやる。敏感なのか経験があるのか、魔力酔いのせいか、乳首だけで身体を震わせ、息を殺したまま絶頂を迎える。意地で声を出さない強情ぶりが、ますます男の征服欲を煽るのだとわからないらしい。男はうっそりと笑った。

「気に入った」

 湯に濡れた布を軽々と引き裂いて。現れた肌の白さに、腰のしっかりした肉付きでありながら腕に収まる細さに、これは俺のものだという確信が芽生えて。胸に吸い付きながら、臀部をやわやわと揉みしだく。その間も必死に身を捩っていた異界人の吐息が次第に甘くなっていく。異界人の陰茎は、陰毛が薄く、子供に無体を働いているような罪悪感を覚えさせたが、それが快感に震える様は愛しい。指でピンッと弾くと「ひゃあッ」と可愛らしく鳴いて先から白濁を零して見せた。

「も、やめてくれ」

「俺の昂りを鎮めるまでは終われない」

 脇を舐められることに羞恥心があるらしく、イヤイヤと首を横に振るが、同時に尻穴に指を差しいれると、ビクンっと跳ねて大人しくなる。

「だめ、それだけは、勘弁してくれ」

 表情を硬直させる様は今までと異なる。ふむ、と男は指を引き抜いた。

「処女か。仕方ない。ならば、お前の手を貸せ」

 異界人の手に、男は怒張する欲を握らせた。

「でか!ぐろ!」

「感想はいい。貫かれたくなければ俺をイかせろ。それとも実は期待していたか?」

 意地悪く笑って尻を揉めば、異界人は身体を硬直させ、やや青ざめながら首を左右に振る。そして恐る恐る手に握った男の凶悪な陰茎を両手で包み直し、上下に扱き始める。

 会ったばかりの人間に急所を握らせている。そのことに男は自嘲しつつ、素直に息を荒らげた。

「え、まだデカくなんの」

「ははっ」



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