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第二章 華燭
64 蒼龍の居場所
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「先生!」
声もかけず、乱暴に縁側の引き戸を開け放った小蘭に、春明はギョッとして振り向いた。
「――小蘭?」
それもそのはず、あたりはもう、すっかり日が暮れている。いくら宦官とはいえ、太子の妃が、たったひとりで訪れてよいはずもない。
「あなたね、いい加減に……わぷっ」
〝ご自覚なさい〟そう諫めようとした口は、金色の頭で塞がれてしまった。
*
「やれやれ、一体どうしたというのですか」
「……ごめんなさい」
興奮する小蘭を何とか落ち着かせ、座椅子に着かせた。
文机に茶を置いてやると、小蘭は形ばかり口をつけて、すぐにそれを戻した。
「全く、宦官とはいえ、みだりに男性に抱きついたりしてはいけませんよ。私が、蒼太子に首をはねられてしまう」
冗談じみて言いながら、春明は、木の実や葉っぱの入った麻袋を開け、桟敷に中身をざらりと広げた。
「蒼龍は、そんなことしないわ。……私のこと、好きかどうかも分からないのに」
「おや、まだそんな事を言っているのですか。……こないだの夜は、随分と熱く語らっていらっしゃったのに」
「え! いやだ先生、あれ、聞いてたの?」
木の実と葉を皿により分けながら、サラリと告げた言葉に、小蘭は真っ赤になって反応した。
「そりゃあ、隣であれだけ騒がれたら、否が応でも耳に入ってきてしまいますよ――しかし、あなたにも困ったものだ。戦の前に、蒼太子に逢いたいなどと」
「だって。怖い夢ばかりを見るんだもの」
「それで門番と渡り合おうなどと、よくも考えたものですね。まったく、肝が冷える」
「だって、先生がいなかったから――それ、戦の為のお薬?」
中央に、たくさん積まれた麻袋。
椅子から離れ、隣に身を寄せた小蘭に、春明はそれをひとつ渡した。
「ええそう、兵士のための傷薬。ここへ来たのなら手伝ってください」
小蘭は、半ば無意識に、麻袋の中身を桟敷に広げた。
薬の元になる木の実や葉、木片を、小さなザルに選り分けていく作業は、手先の器用な小蘭の得意とするところだ。
――春明の返事を待つ間の沈黙。
それでも、部屋に漂う草木の香りと、黙々と作業を続ける春明の横顔は、不安だった胸の震えを止めてくれた。
ここしばらく、春明が宮中を離れていた理由を、小蘭はあえて聞かなかった。
聞けば、今の自分では受け止めきれない気がして。
ややあって。
「小蘭――聡明なあなたなら、分かりきったことだが」
次に口を開こうとして、一瞬、ためらう。
「それは……戦に向かう兵たちを想う者が、皆、胸に抱く不安と同じものです」
指先が、ひくりと動く。
「その無数の想いを背負って立たれるのが、蒼太子。――そう考えれば、彼があなたに会わぬ理由には、見当がつくのではないですか?」
小蘭は、そっとまつ毛を伏せた。
手に取った、赤い木の実をぼんやり見つめる。
「……うん。でもそれは、私が背負わせたものかもしれない――先生は、あの夜の話を聞いていたのよね?」
「……まあ、聞こうとして聞いたわけではないですが」
言い訳じみて言った春明に、小蘭はばっと顔を上げた。
「あのね、先生。もちろん〝戦〟そのものの心配もあるわ。でも……もっと怖いのは、私と凛麗のことが」
一拍。
「蒼龍に、〝曹丞相に喧嘩を売らせてしまった〟んじゃないかってこと」
春明が、手を止めた。
目を見開き、小蘭を見つめる。
「私、彼に、凛麗を正妃にするのが嫌だって言った! そんなの蒼龍じゃないって発破をかけた! ……凛麗の父、曹丞相は狡猾な野心家だと聞いたわ。もし、そのせいで蒼龍が危険な目に遭ったらって……そう思ったら……私」
「何とまあ、そこまで考えて……」
再び顔を伏せた小蘭に、春明は小さく呟いた。
少し考えて――。
春明は、小蘭の頭をふわりと撫でた。
「ねえ、小蘭。おまえは今、言わなければよかったと、自分の言葉を後悔している?」
小蘭は小さく首を横に振った。
「……分からない。でも、もし、蒼龍に何かあったら、きっと後悔すると思う」
「そうか――。でも私はね、小蘭が蒼太子にそう言ってくれて、良かったと思っているよ?」
「え――」
顔を上げた小蘭に、春明は柔らかく微笑んだ。
「小蘭――蒼太子が、国を継ぐ大望を抱くものならば――その決意は、必ずどこかでしなくてはならなかった」
小さな頭を、そっと懐に抱き寄せる。
「そして、それを望むものが、宮中には大勢いる――この私も含めて、ね。けれど小蘭、我々がいくら言っても、あの方の心に決意をもたらすことはできなかった」
小蘭は、春明の白く長い指を、いつしか強く握っていた。
――不安だった。
「私、間違ってはいない?」
ええ、と春明は言い、その手をそっと指から剥がした。
「これまで何度か言いましたが――あなたは、もう少し自分に自信を持つべきだ」
「自信?」
「あなたは、間違ったことは言っていない。それは、あの方が皇帝を目指すのなら――いつか必ず、向き合わねばならぬ事だった」
小蘭の、震える指先を包み直すと、柔らかく微笑んだ。
「あなたが太子の隣に立つものとして――もっと自覚をお持ちになれば、取るべき道は自ずと決まる。蒼太子が、〝会わずに行く〟と、そう決めたのならば――」
「信じて――待つべき?」
春明は、にこりと微笑んだ。
「やはりあなたは、聡明な方だ」
「……分かった。……私は、蒼龍の決めたことを信じる」
喉を詰まらせた小蘭は、春明の手をそっと離した。
再び、沈黙。
しかし、選り分ける作業をこなす小蘭の手は、やはり何度も止まってしまう。
ふと春明が顔を上げると、胸の黒曜石をしきりに触っている。
春明は、静かに息を吐いた。
「まったく、仕方がありませんね……小蘭」
「――え?」
呼ばれてはたと顔を上げる。
「ひとつ、思い出しました。手伝ってくれたお礼です。――そっと教えてあげましょう」
春明は、一息おくと、小蘭の耳に唇を寄せた。
「今宵は十五夜。月がとても綺麗です。ひとつ――李園の方に足を向けてみては? ひょっとすると、思わぬ出会いがあるかも知れませんよ」
小蘭のまつ毛が、一瞬震える。
「――それって」
春明は、しっと口に指をあてた。
「さあ、ここはもういい。早くお行きなさい。二度とないであろう機会を逃してしまう前に」
「――うん!」
小蘭は、ぱっと立ち上がった。
潤んだ眼を春明に向けると、ぱっと花が咲いたように笑う。
「謝謝、先生!」
かと思うと、入ってきた扉をめいっぱいに開き――
次の瞬間には、月夜の薄明かりの中に消えていった。
「……やれやれ、困った妃だ」
開きっぱなしの扉を締めに、春明はゆっくりと立ち上がる。
小蘭――まるで、今宵の満月のように白く清純な光を放つ娘。
蒼太子は、今は誰の隣にも立たず、
それでも確かに、戻るべき場所を探している――
その隣には、やはり小蘭のような存在が必要だ。
次に彼は、満月にそっと寄り添いながらひときわ瞬く、惑い星に目を止めた。
小さなため息。
ーー報われる想いもあれば、報われなかった想いもある。
蒼太子、今はきっとおつらいでしょう。
それでも貴方は振り返らずに、前に進まなくてはいけない。
そのいたみが、小蘭を差し向けることで、少しでも癒されるならば――私はそれを厭わない。
たとえそれが、貴方とあの子の意に沿わぬことであったとしても――。
高い空に、ひょうと夜風が哀しく鳴いた。
声もかけず、乱暴に縁側の引き戸を開け放った小蘭に、春明はギョッとして振り向いた。
「――小蘭?」
それもそのはず、あたりはもう、すっかり日が暮れている。いくら宦官とはいえ、太子の妃が、たったひとりで訪れてよいはずもない。
「あなたね、いい加減に……わぷっ」
〝ご自覚なさい〟そう諫めようとした口は、金色の頭で塞がれてしまった。
*
「やれやれ、一体どうしたというのですか」
「……ごめんなさい」
興奮する小蘭を何とか落ち着かせ、座椅子に着かせた。
文机に茶を置いてやると、小蘭は形ばかり口をつけて、すぐにそれを戻した。
「全く、宦官とはいえ、みだりに男性に抱きついたりしてはいけませんよ。私が、蒼太子に首をはねられてしまう」
冗談じみて言いながら、春明は、木の実や葉っぱの入った麻袋を開け、桟敷に中身をざらりと広げた。
「蒼龍は、そんなことしないわ。……私のこと、好きかどうかも分からないのに」
「おや、まだそんな事を言っているのですか。……こないだの夜は、随分と熱く語らっていらっしゃったのに」
「え! いやだ先生、あれ、聞いてたの?」
木の実と葉を皿により分けながら、サラリと告げた言葉に、小蘭は真っ赤になって反応した。
「そりゃあ、隣であれだけ騒がれたら、否が応でも耳に入ってきてしまいますよ――しかし、あなたにも困ったものだ。戦の前に、蒼太子に逢いたいなどと」
「だって。怖い夢ばかりを見るんだもの」
「それで門番と渡り合おうなどと、よくも考えたものですね。まったく、肝が冷える」
「だって、先生がいなかったから――それ、戦の為のお薬?」
中央に、たくさん積まれた麻袋。
椅子から離れ、隣に身を寄せた小蘭に、春明はそれをひとつ渡した。
「ええそう、兵士のための傷薬。ここへ来たのなら手伝ってください」
小蘭は、半ば無意識に、麻袋の中身を桟敷に広げた。
薬の元になる木の実や葉、木片を、小さなザルに選り分けていく作業は、手先の器用な小蘭の得意とするところだ。
――春明の返事を待つ間の沈黙。
それでも、部屋に漂う草木の香りと、黙々と作業を続ける春明の横顔は、不安だった胸の震えを止めてくれた。
ここしばらく、春明が宮中を離れていた理由を、小蘭はあえて聞かなかった。
聞けば、今の自分では受け止めきれない気がして。
ややあって。
「小蘭――聡明なあなたなら、分かりきったことだが」
次に口を開こうとして、一瞬、ためらう。
「それは……戦に向かう兵たちを想う者が、皆、胸に抱く不安と同じものです」
指先が、ひくりと動く。
「その無数の想いを背負って立たれるのが、蒼太子。――そう考えれば、彼があなたに会わぬ理由には、見当がつくのではないですか?」
小蘭は、そっとまつ毛を伏せた。
手に取った、赤い木の実をぼんやり見つめる。
「……うん。でもそれは、私が背負わせたものかもしれない――先生は、あの夜の話を聞いていたのよね?」
「……まあ、聞こうとして聞いたわけではないですが」
言い訳じみて言った春明に、小蘭はばっと顔を上げた。
「あのね、先生。もちろん〝戦〟そのものの心配もあるわ。でも……もっと怖いのは、私と凛麗のことが」
一拍。
「蒼龍に、〝曹丞相に喧嘩を売らせてしまった〟んじゃないかってこと」
春明が、手を止めた。
目を見開き、小蘭を見つめる。
「私、彼に、凛麗を正妃にするのが嫌だって言った! そんなの蒼龍じゃないって発破をかけた! ……凛麗の父、曹丞相は狡猾な野心家だと聞いたわ。もし、そのせいで蒼龍が危険な目に遭ったらって……そう思ったら……私」
「何とまあ、そこまで考えて……」
再び顔を伏せた小蘭に、春明は小さく呟いた。
少し考えて――。
春明は、小蘭の頭をふわりと撫でた。
「ねえ、小蘭。おまえは今、言わなければよかったと、自分の言葉を後悔している?」
小蘭は小さく首を横に振った。
「……分からない。でも、もし、蒼龍に何かあったら、きっと後悔すると思う」
「そうか――。でも私はね、小蘭が蒼太子にそう言ってくれて、良かったと思っているよ?」
「え――」
顔を上げた小蘭に、春明は柔らかく微笑んだ。
「小蘭――蒼太子が、国を継ぐ大望を抱くものならば――その決意は、必ずどこかでしなくてはならなかった」
小さな頭を、そっと懐に抱き寄せる。
「そして、それを望むものが、宮中には大勢いる――この私も含めて、ね。けれど小蘭、我々がいくら言っても、あの方の心に決意をもたらすことはできなかった」
小蘭は、春明の白く長い指を、いつしか強く握っていた。
――不安だった。
「私、間違ってはいない?」
ええ、と春明は言い、その手をそっと指から剥がした。
「これまで何度か言いましたが――あなたは、もう少し自分に自信を持つべきだ」
「自信?」
「あなたは、間違ったことは言っていない。それは、あの方が皇帝を目指すのなら――いつか必ず、向き合わねばならぬ事だった」
小蘭の、震える指先を包み直すと、柔らかく微笑んだ。
「あなたが太子の隣に立つものとして――もっと自覚をお持ちになれば、取るべき道は自ずと決まる。蒼太子が、〝会わずに行く〟と、そう決めたのならば――」
「信じて――待つべき?」
春明は、にこりと微笑んだ。
「やはりあなたは、聡明な方だ」
「……分かった。……私は、蒼龍の決めたことを信じる」
喉を詰まらせた小蘭は、春明の手をそっと離した。
再び、沈黙。
しかし、選り分ける作業をこなす小蘭の手は、やはり何度も止まってしまう。
ふと春明が顔を上げると、胸の黒曜石をしきりに触っている。
春明は、静かに息を吐いた。
「まったく、仕方がありませんね……小蘭」
「――え?」
呼ばれてはたと顔を上げる。
「ひとつ、思い出しました。手伝ってくれたお礼です。――そっと教えてあげましょう」
春明は、一息おくと、小蘭の耳に唇を寄せた。
「今宵は十五夜。月がとても綺麗です。ひとつ――李園の方に足を向けてみては? ひょっとすると、思わぬ出会いがあるかも知れませんよ」
小蘭のまつ毛が、一瞬震える。
「――それって」
春明は、しっと口に指をあてた。
「さあ、ここはもういい。早くお行きなさい。二度とないであろう機会を逃してしまう前に」
「――うん!」
小蘭は、ぱっと立ち上がった。
潤んだ眼を春明に向けると、ぱっと花が咲いたように笑う。
「謝謝、先生!」
かと思うと、入ってきた扉をめいっぱいに開き――
次の瞬間には、月夜の薄明かりの中に消えていった。
「……やれやれ、困った妃だ」
開きっぱなしの扉を締めに、春明はゆっくりと立ち上がる。
小蘭――まるで、今宵の満月のように白く清純な光を放つ娘。
蒼太子は、今は誰の隣にも立たず、
それでも確かに、戻るべき場所を探している――
その隣には、やはり小蘭のような存在が必要だ。
次に彼は、満月にそっと寄り添いながらひときわ瞬く、惑い星に目を止めた。
小さなため息。
ーー報われる想いもあれば、報われなかった想いもある。
蒼太子、今はきっとおつらいでしょう。
それでも貴方は振り返らずに、前に進まなくてはいけない。
そのいたみが、小蘭を差し向けることで、少しでも癒されるならば――私はそれを厭わない。
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