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後宮に鬼が出た。
その史書官が記したのは、真実ではなかった。
夏国の後宮では、青白い鬼火が女たちを怯えさせていた。
女官長補佐・桂瑶の依頼でやって来たのは、怠惰な史書官・宝樹だった。
面倒くさがりで口の悪い宝樹を、気丈な桂瑶は容赦なく働かせる。
反発し合いながらも妙に息の合う二人は、「月の見えない庭で、高い月を見た」という証言の矛盾から、鬼の正体を追い始める。
だが、怪異の陰に隠されていたのは、人ならぬものより悲しい人の声や切なる願いだった。
ほかにも、消えた獅子犬、先帝の落胤ーー。
事件を解くほど、二人は後宮の最奥に潜む大きな罪へ近づいていく。
いがみ合っていたはずの二人の距離も、少しずつ変わり始める。
史書官の務めは、真実を後世へ残すこと。
それでも宝樹は、誰かを守るために「真実ではない記録」を選ぶ。
後宮サスペンス×謎解き×じれ恋バディ。
これは、正史から消された後宮の、本当の記録。
文字数 12,773
最終更新日 2026.09.14
登録日 2026.09.04
老舗製糸屋・両口屋家のひとり娘、陽毬(17)は、父の事業失敗の責任を負う形で、成金の物産商・権藤家へ嫁いだ。
それは恋ではなく、家を救うための契約の婚姻。
しかも、夫となる権藤宿禰(26)は病のため人前に出られず、屋敷の地下で暗闇に閉ざされて暮らしているという。
不安と恐れを胸に、初めて対面した夜。
陽毬が出会ったのは、噂とはまるで違う、知的で誰より暖かい心を持つ夫だった。
契約から始まった夫婦は、言葉を交わし、寄り添い、少しずつ心を育んでいく。
これは、温かな闇の中で選び合う、切なくも、けなげな愛の物語。
文字数 287,922
最終更新日 2026.09.04
登録日 2025.12.27
冷徹無比の毒舌家と恐れられる、新進気鋭のベンチャー企業ワンマン社長、
天地翔(あまち かける)(28)と、
要領が悪く地味で目立たない平社員の
東洸(あずま ひかる)(28)。
同じ会社にいながら、全く接点のないふたり。
洸はある日、職場でのいじめに耐えられず、初めての有給休暇を取って、ひとり海に向かう。
もう、全てを終わりにしたい。
そう思っていたはずなのに——
洸を引き止めたのは、誰にも優しくないはずの社長・翔だった。
最初は、ただの気まぐれだった。
なのに何故か、翔は洸を放っておけない。
「死ぬなんてもったいない、それならおれのそばにいろ」
冷たくて、口が悪くて強引で。
その癖、たまらなく甘い翔の、時折見せる不器用な優しさに、洸はいつしか、心も身体も溶かされていく。
文字数 86,066
最終更新日 2026.06.17
登録日 2026.05.02
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