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しおりを挟む別の日、いつものように謁見を終えたレイはクールな無表情モードを解除して嘆いていた。
「魔族ってなんであんな怖いの??」
ううっと瞳を潤ませ、ぎゅうぎゅうとクッションを抱きつぶす。
自分がそんな魔族の王であることは完全に棚上げだ。
「そもそもムダに好戦的な種族多すぎじゃない?ゼットとかなんであんな毎回突っかかってくるの?下剋上?下剋上狙いなの??」
実力主義の魔族たちにとって弱肉強食は世の掟。
それこそレイが魔王モードを演じている最大の理由だ。
あのディードリッヒの息子であるという点と、ジェラルドが侍っている事実。その2枚看板によってレイは魔王としての地位を確立させているが…………。
「もう魔王ヤダーー!!」
その中身がこんなポンコツだと知れ渡った日には下剋上を狙う者たちが殺到する。
ヤレヤレ、と片眼鏡を指で押さえたジェラルドは部屋に控えていた使用人たちを退出させ、そのままレイの隣へと座る。
「レイ様」
静かに名を呼べば、ピクリと華奢な肩が揺れた。
不自然に彷徨う瞳、だけどジェラルドはそれを許さない。
失礼、と軽く声をかけ、細い腰へと手を伸ばす。
ほんの少し体が浮いたかと思えばジェラルドの膝の上に座らされていた。
「……まだ、大丈夫…………」
「ダメです」
さらりと零れる髪を撫でつつ「お腹が空いてる癖に」と耳元で低く囁けば、唇を尖らせたレイは俯く。
その様子にクスリと笑みを漏らしたジェラルドは黒ネクタイをしゅるりと引き抜き、プチプチとボタンを外していく。首元を寛げ、さぁと蠱惑的に囁いた。
白い首筋に目をやったレイの喉がコクリと鳴る。
「上手におねだりできるでしょう?」
目線を外せないままレイは葛藤する。
吸血鬼にとって吸血は本能であり命の糧だ。
だがレイはあまりその行為が好きでない。結果、主食をチョコレート(※主にチョコケーキ)で代用している。
本人曰く「どっちも甘い」。
それでも…………体が血を求めるのは止めようがない。
ましてや甘く、極上なジェラルドの血ならなおさらのこと。
結局飢えた体と本能に抗うことなどできず、レイはジェラルドの胸元をぎゅっと握りしめた。
「…………ちょうだい」
いっそ毒のような甘い甘い笑みを向けられると同時に、レイはその白い首筋へと噛みついた。
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