魔王さまのヒミツ♡

黒木  鳴

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「おねだりは私だけにしてくださいね」

チョン、とレイの唇を指で突きつつ美しい悪魔は微笑む。

相手を堕落させるような甘い甘い笑みを浮かべて。
そのくせ焦がれて已まない抑えきれない熱をその瞳に浮かべて。

誘惑する者の声音で、誘惑されきった融けた眼差しで。

「私の血なら、全てあなたにあげてもかまわない」

脳を焦がすような甘いその言葉と共に晒された首筋。

立て続けに血を摂取したから飢えてはいない。それでもその首筋から視線を離すことができなかった。

ジェラルドの甘い血の味を知っている。

薄い腹の奥からグルグルと沸き立つような感情が湧き上がる。
本能が “欲しい” そうレイを急き立てていた。劣情にも似たその感情にコクリと小さく喉がなった。

本能に飲まれてしまう前に、湧き上がるそれをほんの僅か抑え込み「ダメ」と唇を尖らせた。

「僕のことはお前が守るんだろ?だからその血を飲み干してお前を食い殺したりもしない。傀儡の眷属もいらない。お前は、お前の意思で僕のそばに居て僕を守れ」

どこか拗ねた色を含ませたその至上の命令に、ジェラルドは喜色を綻ばせレイを強く抱きしめた。

「仰せのままに」

躊躇いなく紡がれたその応えにレイも口元を緩めて両腕を伸ばす。首に腕を回すように絡みつき、舌で首筋を愛撫するようになぞる。

冷たく鋭い牙が首筋に触れる感覚を感じながら、ジェラルドは腕の中の愛しい支配者へと身を委ねた。

「ならば、この血のかわりに……私の愛は全てあなたに捧ぐことをお赦しください」

それに応えるようにレイは唇を大きく開いた。


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