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しおりを挟む淀みなく続く呪文のような暗唱の途中、ちらりと視線をやれば……案の定、ぐらつく頭が目に入った。
小刻みに揺らぐ小づくりな頭は、それでも必死に重力に抗おうとしているのだろう。
宝石のような大きな瞳は、それを縁どる長い睫毛と落ちかかった瞼に半分隠されている。
あれはほぼ意識飛んでんな……。
きっと本人的には頑張って起きているんだろう。
だけど実際はほぼ寝てる。
まぁ、わからんでもないと前を向いた。
カツカツと響くチョークの音。
セレナード曰く「国有数の睡眠魔法の使い手」である語学の教師は教本を手に一心不乱に手を動かしている。
例文を読み上げながら黒板を埋めていく板書。
黒板がいっぱいになればたちまち消されてしまうだろうそれをノートへと書き写す。
なにせどっかの誰かみたいにノートなぞ取らないでもテストで満点を叩き出せる好都合な頭は持っていない。
つか、寝てる間のことを覚えてられるとかどういう頭してんだ?
切実に羨ましい。
一度セレナード流の “睡眠学習” を試してみたが…………普通に無理だった。
書類仕事で培った速記の技術でたちまち板書に追いついて、再び周囲をなんとはなしに見れば……必死にノートを取っている学生が半分弱。
残り半分はうつらうつらとセレナード同様頭を揺らして耐えていたり、もはや完全に机に突っ伏して爆睡していたり。
勝手にセレナードが呼んでいる “睡眠魔法の使い手” という称号も伊達ではない。
生徒の半数以上が彼の魔の手にかかっていた。
かく言う俺も実は眠い。
抑揚なく淡々と紡がれる教師の声に眠りを誘われつつ、縦に落ちそうになった首をふるふると横に振ってなんとか耐える。
授業終了まであと20分弱。
ゆらゆらと揺れていたセレナードの頭はすでに静止していた。
「僕は勝った……!」
えっへん!とばかりに胸を張るセレナード。
いや、お前確実に寝てたからな?
恐るべき睡眠魔法の使い手との闘いに勝利した気でいるセレナードに脳内で突っ込む。
あれは確実に寝ていた。
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