83 / 107
兄弟会議※アユム視点
しおりを挟むエイシオさんの突然の婚約破棄宣言……!!
「婚約破棄だと……!? 自分が何を言ってるのかわかってるのか!」
部屋に響く、怒鳴り声。
真面目そうな、フレイグルスお兄さんだ。
うぅ、怖い。
「もちろんですよ。ずっと前から僕は。同じ事を伝えているはずです」
「ラミリアを弄び、一方的に婚約破棄をするつもりか!」
フレグルスさんがすごく怒ってるのがビリビリ伝わってくる。
厳格な方のようだもんね……。
俺は慌ててしまうけど、エイシオさんは冷静だ。
「待ってください。僕は彼女を弄んだことなどありません。婚約する意志がないことは成人前から伝えています。もちろん冒険での手助けやサポート以外で指一本触れたことなどありませんよ」
「つまりさぁー……エイシオは自分を暗殺する意味はないって、ここの皆に言いたいんだよ。フレイグルス兄さん」
ウルシュさんが、場違いな笑いを浮かべてお酒を飲む。
兄弟達に跡継ぎ争いから、離脱するという意志表示をエイシオさんはしたと?
俺が思っているより、ずっとずっと兄弟間での争いは酷かったのか……。
まさか暗殺だなんて……。
「ウルシュ兄さん。僕は決して、皆を疑ってるとか、そういう意味ではありませんよ。ただ家族には、兄弟達には伝えておきたかっただけです」
「……そ、そうですわよ。ウルシュ兄様、そんな言い方をしたら……まるで私達の間で酷い争いがあるみたいですわ」
シャルロットちゃんが泣きそうになりながら、言った。
「シャルロットちゃんは女の子だから、わからないかもしれないけれど……後継者争いというものは、いつの世にも影で熾烈に繰り広げられるものなんだよ~」
ウルシュさん……。
「じゃあ、このなかの誰かがエイシオ兄様に毒を盛ったってことですの……?」
空気が一層悪くなる。
だって、みんながフレグルスさんを見るから……。
「な、なんだ、お前達!! 何故に俺を見る!!」
「いやいやぁ~誰が一番この中で……となるとフレグルス兄さんが疑われるのは仕方ない事だよねぇ」
「馬鹿な事を! お前だってエイシオがいなくなれば、得があると思われる身なんだぞ!」
「え~僕は家なんか継ぎたくもないよぉ~だけど調査は公平にしてもらった方がいいよね」
「何が言いたい……!」
これは酷い言い争いになりそうだ!
そう思った時、エイシオさんが立ち上がった。
「ウルシュ兄さん! もうやめてください。何度も言いますが僕が伝えたかったのは、婚約破棄と家を出るという事だけ。誰かに毒を盛られるほど憎まれているのであれば、僕が此処を去るのが一番でしょう」
「エイシオ、お前の一存だけで決められることではないんだぞ」
「では、フレグルス兄さんも皆も協力してください。僕の意志はもう揺るぎません」
「へ~え、エイシオも今まで逃げ回ってたのにラミリアちゃんとの婚約が本当にイヤなんだね~あんなにパーフェクト美女なのに、田舎で好きな子でもできちゃった?」
うっ……。
ウルシュさんがニヤニヤしながら……どうして僕を見るんだろう。
まさか、全てを見透かされてる?
「そういうことですね」
エイシオさんが、キッパリ言っちゃうからシャルロットちゃんが嬉しそうな顔でキャーと小さく叫んだ。
あんな事があったのに、結構みんな余裕な感じだ。
震えてるのは俺と……もう一人。
「僕は……なんだか今後が不安です」
イヨン君……。
大好きなお兄さんが目の前で毒殺されそうになったなんて怖いよね。
俺も不安だ。
雨はずっと降り続いてる。
48
あなたにおすすめの小説
異世界で王子様な先輩に溺愛されちゃってます
野良猫のらん
BL
手違いで異世界に召喚されてしまったマコトは、元の世界に戻ることもできず異世界で就職した。
得た職は冒険者ギルドの職員だった。
金髪翠眼でチャラい先輩フェリックスに苦手意識を抱くが、元の世界でマコトを散々に扱ったブラック企業の上司とは違い、彼は優しく接してくれた。
マコトはフェリックスを先輩と呼び慕うようになり、お昼を食べるにも何をするにも一緒に行動するようになった。
夜はオススメの飲食店を紹介してもらって一緒に食べにいき、お祭りにも一緒にいき、秋になったらハイキングを……ってあれ、これデートじゃない!? しかもしかも先輩は、実は王子様で……。
以前投稿した『冒険者ギルドで働いてたら親切な先輩に恋しちゃいました』の長編バージョンです。
【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。
篠崎笙
BL
保育園の調理師だった凛太郎は、ある日事故死する。しかしそれは神界のアクシデントだった。神様がお詫びに好きな加護を与えた上で異世界に転生させてくれるというので、定年後にやってみたいと憧れていたスローライフを送ることを願ったが……。
2026/01/09 加筆修正終了
前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。
◆お友達の花々緒さんが、表紙絵描いて下さりました。可愛いニャリスと、悩ましげなラクロア様。
◆これもいつか続きを書きたいです、猫の日にちょっとだけ続きを書いたのだけど、また直して投稿します。
動物アレルギーのSS級治療師は、竜神と恋をする
葉空
BL
SS級治療師、ルカ。それが今世の俺だ。
前世では、野犬に噛まれたことで狂犬病に感染し、死んでしまった。次に目が覚めると、異世界に転生していた。しかも、森に住んでるのは獣人で人間は俺1人?!しかも、俺は動物アレルギー持ち…
でも、彼らの怪我を治療出来る力を持つのは治癒魔法が使える自分だけ…
優しい彼が、唯一触れられる竜神に溺愛されて生活するお話。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる