異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ

文字の大きさ
82 / 107

ザピクロス様ポイズン事件!?※アユム視点

しおりを挟む
 
 ザピクロス様が突然現れて、突然毒だと言い出した……!!
 えっえぇ!?

「うぐーーーぅ! 毒ぅ~~ポ、ポイズン……!!」

「すぐに吐き出すんですっ! 誰も食事に手をつけるな!」

 エイシオさんが、ザピクロス様の尻尾を掴んでぶら下げたまま、お腹をチョップした。

 皆それぞれの配下が、主を守るようにして事の顛末を見ている。
 エイシオさんのお母さんや、妹さんも悲鳴をあげてるし、警備の人も大勢が駆けつけた。
 
「オロロロ!!」

 俺も慌ててザピクロス様のところへ行って、上着を脱いでオロロするザピクロス様が隠れるよう配慮した。

「エイシオ! 一体なにごとだ! 毒だと!? どういうことだ!」
 
 エイシオさんのお父さんが叫ぶ。
 毒なんて、そりゃ混乱するよね……俺も心臓がバクバクしている。

 オロロロし終わったザピクロス様を俺は抱っこして、水を飲ませる。

 『大丈夫ですか?』と小さく聞くと『うみゅ』と小さく頷いて……俺の腕のなかでくったりした。
 ……可哀想に。

 背中をさする。

 まさか、こんな事になるなんて。

「毒を盛られたようです。……僕を狙っての犯行か……」

 エイシオさんが悲痛な表情でみんなに言った。

「ロン! すぐに料理係を捕えろ! 配膳係もだ!」

「は!」

「ロードリア家でこんな暴挙は許され! ……ゴッホゴフ!」

「あなた!」

 あぁ、お父さんが酷く咳き込んでしまい車椅子で運ばれていった。
 更に続々と色んな人が入ってくる。
 せっかくのお茶会は、そのままお開きになってしまった……が、ご兄弟達にエイシオさんが声をかけソファのある談話室に集まった。

「エイシオを暗殺しようとするなんてねぇ~~~? 帰ってきたばかりで大変だ。でも優秀なペットのおかげで助かってよかったね」

 エイシオさんが飲食を止めたけど、ウルシュさんは自分で持ってきたワインを飲んでいる。

「ほ、本当に毒なんですか? ちょっと材料が傷んでいたとか……ないですか? まさかそんな」

 イヨン君は涙目になっている。
 大好きなお兄さんに毒を盛られるなんて……ショックだよね。
 俺もずっとソワソワして落ち着かない。

 でも、フレイグルスさんが険しい顔をして帰ってきた。

「吐き戻しを調べさせたが確かに毒が入っていたようだ」

「フレイグルス兄さん、色々調べてくれてありがとう」

「当然のことだ」

 フレイグルスさん、あれからテキパキと色んな指示をしていた。
 まるで警察のように、現場を保存するように言って聞き取りの指示もしていたし有能な方なんだろうな。
 ちょっと怖いけど。

「毒なんて一体誰が……そのアライグマはもう大丈夫なの?」

 ゆったりしたホテルのラウンジのようなチェア。
 僕はザピクロス様を抱っこしてる。

 距離はあるけど隣に座ったシャルロットちゃんが、心配してくれた。
 もうすっかり元気なザピクロス様は、俺が持ってきていたトウモロコシを食べてる。
 
「身体は強い方なので大丈夫そうです」

 神様だしね。
 いや、神様なんだから毒とか関係あるの??
 と今更思う。

「良かったわ。お利口なアライグマね」
 
「エイシオ兄様に一体誰が……料理係のせいでしょうか?」

「イヨン、みんな僕が子供の頃から仕えてくれている者達だ。彼らとは思えないし、父には慎重に動いてくれるように頼むつもりだ。冤罪など絶対に許されない」

 ここの料理は美味しいって言ってたもんね。
 きっと信頼している、親しい間柄なんだろうな。

「では……外部の……? 兄様が心配です! これ以上、此処にいては危険なことがあるかも……」

「うん。それも考えるよ。ありがとうイヨン」

「エイシオ兄様……」

「エイシオさん……」

 此処にいたら危険?
 どうしたらいいんだろう……。

「それで我がきょうだい達……父と母と……ラミリアはいないが、大事な話がある」

「なんだエイシオ、改まって」
 
 皆が注目するなか、エイシオさんは息を吐いたあとに少し大きな声で言った。

「僕はラミリアと婚約も結婚もする気はない。この家を継ぐ気もない。必要ならばこの名前も返すつもりだ」

「エイシオ!?」
「へぇ~~そうなんだぁ」
「「エイシオ兄様!?」」

「……エイシオさん」

 ご兄弟達の反応は、もちろん驚きだったけどエイシオさんは強い意志をもった目をしていた。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

異世界で王子様な先輩に溺愛されちゃってます

野良猫のらん
BL
手違いで異世界に召喚されてしまったマコトは、元の世界に戻ることもできず異世界で就職した。 得た職は冒険者ギルドの職員だった。 金髪翠眼でチャラい先輩フェリックスに苦手意識を抱くが、元の世界でマコトを散々に扱ったブラック企業の上司とは違い、彼は優しく接してくれた。 マコトはフェリックスを先輩と呼び慕うようになり、お昼を食べるにも何をするにも一緒に行動するようになった。 夜はオススメの飲食店を紹介してもらって一緒に食べにいき、お祭りにも一緒にいき、秋になったらハイキングを……ってあれ、これデートじゃない!? しかもしかも先輩は、実は王子様で……。 以前投稿した『冒険者ギルドで働いてたら親切な先輩に恋しちゃいました』の長編バージョンです。

【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!

天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。 なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____ 過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定 要所要所シリアスが入ります。

神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。

篠崎笙
BL
保育園の調理師だった凛太郎は、ある日事故死する。しかしそれは神界のアクシデントだった。神様がお詫びに好きな加護を与えた上で異世界に転生させてくれるというので、定年後にやってみたいと憧れていたスローライフを送ることを願ったが……。  2026/01/09 加筆修正終了

前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい

夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが…… ◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。 ◆お友達の花々緒さんが、表紙絵描いて下さりました。可愛いニャリスと、悩ましげなラクロア様。 ◆これもいつか続きを書きたいです、猫の日にちょっとだけ続きを書いたのだけど、また直して投稿します。

【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました

ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。 タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...