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46 卵かけご飯
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——翌朝。
「コケコッコー!」
「お父さん、鶏さんが鳴いています」
「朝になると鶏さんは鳴くもんなんだよ。卵を回収していこうか、卵は簡単に割れちゃうから優しくね」
ソーズさんも鶏は初めて見るらしく、俺たちの回収作業を興味深そうに眺めている。
手伝うと言ってはくれたが、あの筋肉モリモリの体で力加減を間違えたら卵が悲惨なことになりそうだったので丁重にお断りした。
「にゃーん」
「卵かけご飯ですか。この卵、生で食べても大丈夫なんですかね?」
「わん」
「にゃーん」
大福が「問題ない」と言いってるみたいで、姉さんがそれを通訳してくれる。
卵焼きや目玉焼きもいいけど、まずは卵かけご飯だな。これは簡単なようでいて、人それぞれの流儀や趣味趣向が出る料理でもある。
リビングに戻り、全員分の白米と味噌汁、漬物を並べ、卵を四つ用意する。
醤油、胡麻油、ネギ、麺つゆ、チーズ、黒胡椒、塩、おかかをテーブルに並べ、それぞれの茶碗に卵を一つずつ割り落とす。
「ほう、繊細な技ですね」
「ただ割ってるだけですけどね。まずはシンプルに醤油でどうぞ」
ソーズさんとモモがどう食べるのか迷っているので、姉さんのをお手本にする。卵の上に醤油を少しかけ、よく混ぜてから姉さんの前に置いた。
「にゃーん」
姉さんは迷いなくガツガツとTKGをかき込んでいく。
その様子に大福が興奮し、俺が用意している間も、モモとソーズさんは口を半開きにして姉さんの食べっぷりを見つめていた。
卵の数が足りなかったので、ソーズさんの分は俺と半分こにしてもらう。
二人は意を決したように、卵かけご飯をかき込んだ。
——うんうん、やっぱり卵が濃厚で美味い。高級卵の風味がする。
おかかとネギ、胡麻油を追加してみると、これもまた良い。
「にゃーん」
姉さんも満足そうだ。
俺のトッピングを見たモモとソーズさんが、真剣に自分のアレンジを考えている。
そう、この“考える時間”こそが卵かけご飯の楽しみでもある。
ソーズさんはシンプルに塩と胡麻油で勝負。悪くないが、卵かけ道はもっと深い。
モモはチーズをご飯にのせて少し溶かし、醤油と胡麻油をブレンドしてかけていた。
——さすが我が娘、良いセンスだ。
「モモ様、それを自分にも一口いただけないでしょうか……」
「だめです」
「ソーズさん、行儀が悪いですよ」
「も、申し訳ございません。ぐぬぅ」
人の食ってるものって、なぜか美味しそうに見えるんだよな。
また来たときにでも食べさせてやるか。
朝食後、ソーズさんが「畑を耕した経験がある」と言うので、その言葉に甘えることにした。
モモは動物たちの世話を継続。
俺は洗い物を済ませ、外に出たころにはソーズさんの作業はほぼ終わっていた。
ソーズさんにはツナギを渡していたが、上半身は腰に巻き、なぜかインナーも着ずに上裸だった。
「いいぞ! ヘラ、クレス! アレスとナタリーも素晴らしい!」
誰もいないのに誰かと話しながら鍬を動かしている。正直ちょっと怖い。
「えっと、ソーズさん?」
「ああ、これは悠殿! もうすぐ耕し終わりますよ」
「それはいいんですけど……誰と話してたんですか?」
「はっはっは! 悠殿は面白いことをおっしゃる! 筋肉との会話に決まってるではありませんか」
笑っているが、その目は一切の曇りがない。
いや……曇りがなさすぎて逆に怖い。やっぱりビクドの連中は危ない気がしてきた。
「終わるんだったら、木を切るのも手伝ってもらえますか?」
「木を切る……トレーニングですね!」
「いえ、ただ木を切るだけですよ」
「では行きましょう!」
伐採する木の前で、まず俺がやってみることに。
いつも通り切れ込みを入れ始めると、ソーズさんが頷きながら口を開いた。
「悠殿、一度止まってください。足の角度はこう、もっと振りかぶる時の筋肉の動かし方も意識してみてください」
「え、はい……」
アドバイス通りやってみると、筋肉がいつも以上に酷使されているのがわかる。簡単に言えば辛い。
少し休もうかと思った瞬間——
「悠殿! いい! あと五回いきましょう!」
笑顔なのに目が笑ってない。やっぱりこの人、常識人じゃない。
結局追加で五回やらされ、さらに謎の“一回おまけ”まで振らされた。
その後、ソーズさんは自分の番になると、斧を美しいフォームで振り続けたが……逆サイドを切らずに木を倒し、しかもそれを片手で受け止め、頭上に持ち上げてスクワットを始めた。
——いや、俺もこれやらされないよな?
精神的にも肉体的にも疲労感マックスのまま家に戻ろうとした時、ソーズさんがふと足を止めて空を見上げた。
モモや大福、姉さんも同じ方向を見つめる。
「みんなどうしたんだ?」
「あれは竜ですね」
その言葉の直後、映画に出てくるようなドラゴンが真っ直ぐこちらへ飛んでくる——。
「コケコッコー!」
「お父さん、鶏さんが鳴いています」
「朝になると鶏さんは鳴くもんなんだよ。卵を回収していこうか、卵は簡単に割れちゃうから優しくね」
ソーズさんも鶏は初めて見るらしく、俺たちの回収作業を興味深そうに眺めている。
手伝うと言ってはくれたが、あの筋肉モリモリの体で力加減を間違えたら卵が悲惨なことになりそうだったので丁重にお断りした。
「にゃーん」
「卵かけご飯ですか。この卵、生で食べても大丈夫なんですかね?」
「わん」
「にゃーん」
大福が「問題ない」と言いってるみたいで、姉さんがそれを通訳してくれる。
卵焼きや目玉焼きもいいけど、まずは卵かけご飯だな。これは簡単なようでいて、人それぞれの流儀や趣味趣向が出る料理でもある。
リビングに戻り、全員分の白米と味噌汁、漬物を並べ、卵を四つ用意する。
醤油、胡麻油、ネギ、麺つゆ、チーズ、黒胡椒、塩、おかかをテーブルに並べ、それぞれの茶碗に卵を一つずつ割り落とす。
「ほう、繊細な技ですね」
「ただ割ってるだけですけどね。まずはシンプルに醤油でどうぞ」
ソーズさんとモモがどう食べるのか迷っているので、姉さんのをお手本にする。卵の上に醤油を少しかけ、よく混ぜてから姉さんの前に置いた。
「にゃーん」
姉さんは迷いなくガツガツとTKGをかき込んでいく。
その様子に大福が興奮し、俺が用意している間も、モモとソーズさんは口を半開きにして姉さんの食べっぷりを見つめていた。
卵の数が足りなかったので、ソーズさんの分は俺と半分こにしてもらう。
二人は意を決したように、卵かけご飯をかき込んだ。
——うんうん、やっぱり卵が濃厚で美味い。高級卵の風味がする。
おかかとネギ、胡麻油を追加してみると、これもまた良い。
「にゃーん」
姉さんも満足そうだ。
俺のトッピングを見たモモとソーズさんが、真剣に自分のアレンジを考えている。
そう、この“考える時間”こそが卵かけご飯の楽しみでもある。
ソーズさんはシンプルに塩と胡麻油で勝負。悪くないが、卵かけ道はもっと深い。
モモはチーズをご飯にのせて少し溶かし、醤油と胡麻油をブレンドしてかけていた。
——さすが我が娘、良いセンスだ。
「モモ様、それを自分にも一口いただけないでしょうか……」
「だめです」
「ソーズさん、行儀が悪いですよ」
「も、申し訳ございません。ぐぬぅ」
人の食ってるものって、なぜか美味しそうに見えるんだよな。
また来たときにでも食べさせてやるか。
朝食後、ソーズさんが「畑を耕した経験がある」と言うので、その言葉に甘えることにした。
モモは動物たちの世話を継続。
俺は洗い物を済ませ、外に出たころにはソーズさんの作業はほぼ終わっていた。
ソーズさんにはツナギを渡していたが、上半身は腰に巻き、なぜかインナーも着ずに上裸だった。
「いいぞ! ヘラ、クレス! アレスとナタリーも素晴らしい!」
誰もいないのに誰かと話しながら鍬を動かしている。正直ちょっと怖い。
「えっと、ソーズさん?」
「ああ、これは悠殿! もうすぐ耕し終わりますよ」
「それはいいんですけど……誰と話してたんですか?」
「はっはっは! 悠殿は面白いことをおっしゃる! 筋肉との会話に決まってるではありませんか」
笑っているが、その目は一切の曇りがない。
いや……曇りがなさすぎて逆に怖い。やっぱりビクドの連中は危ない気がしてきた。
「終わるんだったら、木を切るのも手伝ってもらえますか?」
「木を切る……トレーニングですね!」
「いえ、ただ木を切るだけですよ」
「では行きましょう!」
伐採する木の前で、まず俺がやってみることに。
いつも通り切れ込みを入れ始めると、ソーズさんが頷きながら口を開いた。
「悠殿、一度止まってください。足の角度はこう、もっと振りかぶる時の筋肉の動かし方も意識してみてください」
「え、はい……」
アドバイス通りやってみると、筋肉がいつも以上に酷使されているのがわかる。簡単に言えば辛い。
少し休もうかと思った瞬間——
「悠殿! いい! あと五回いきましょう!」
笑顔なのに目が笑ってない。やっぱりこの人、常識人じゃない。
結局追加で五回やらされ、さらに謎の“一回おまけ”まで振らされた。
その後、ソーズさんは自分の番になると、斧を美しいフォームで振り続けたが……逆サイドを切らずに木を倒し、しかもそれを片手で受け止め、頭上に持ち上げてスクワットを始めた。
——いや、俺もこれやらされないよな?
精神的にも肉体的にも疲労感マックスのまま家に戻ろうとした時、ソーズさんがふと足を止めて空を見上げた。
モモや大福、姉さんも同じ方向を見つめる。
「みんなどうしたんだ?」
「あれは竜ですね」
その言葉の直後、映画に出てくるようなドラゴンが真っ直ぐこちらへ飛んでくる——。
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