底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路

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第一章 底辺配信者、スライムを拾う

第5話 迷惑系スケルトンキング討伐

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 後日、待ち合わせをして、ダンジョンに向かう。

 ギルドには報告しているが、ボクはなんとかやってみると伝えた。

 ボクたちでダメなら、このダンジョンは閉鎖することになっている。

 ゾンビやスケルトンは、なった後が辛いという。ずっと生ある存在の魂を喰い続けないと、頭痛に悩まさせるとか。

 ダンジョンの最奥部に到着する。

 玉座に、ヒョウ柄のミニスカを穿いたガイコツが鎮座していた。あれが、ダンチューバーの成れの果てか。ボクたちも死んだら、ああなってしまうのか。

「気をつけろ」

「対策は、考えています!」

 ボクは棍棒と短剣を振り回す。
 スケルトンが、ボクの攻撃で砕け散った。

「数が多い!」

 倒しても倒しても、無限湧きしてくる。

「おっと、お前らの相手はオレたちだぜ! ツヨシには指一本触れさせねえ!」

「周りはこちらで片付けるわ! ツヨシくん、あなたはボスをお願い!」

 センディさんとコルタナさんが、ボクの周りに集まるスケルトンを蹴散らす。

「はい!」

 ボクは、ボスを相手にするだけだ。

 スケルトンキングには、スケルトンは、コアを破壊すれば倒せる。何度もスケルトンを相手にしていたから、覚えた。手に持った短剣は、コア破壊用の武器である。


 カシャ。


 スケルトンキングが、なにかを撮影する仕草をした。
 見ると、スケルトンキングがスマホを構えていたではないか。なんて速さだ。

「マスターッ!」

 ボクは、ワラビにアッパーを食らう。

「なにをするんだい、ワラビ?」

「どうもこうもありません!」

 ワラビが、姿見のような形になってボクを写す。
 ボクは自分の首に、短剣を突きつけていた。
 ワラビがボクの手を払って、短剣を弾き飛ばす。

「やっぱり、対策していないとダメだね!」

「今こそ、テイマーの腕の見せ所です」

「うん。いくよワラビ!」

 ワラビが、ボクの頭の上に乗った。ボクの頭部をすっぽりと埋め尽くす。

「ツヨシ!?」

「ちょっとツヨシくん!?」

 冒険者二人が、ボクの奇行を見て驚く。
 しかし、これでいいのだ。これこそ対策である。
 アクアラングで呼吸を確保して、ワラビを被ったままボスに突撃した。

「ワラビ、目の役割をお願い!」

「はい。マスターツヨシ」

 視界を覆われている中、ボクはスケルトンキングに接敵する。
 相手がこちらに向けて、スマホで撮影している音が聞こえた。
 しかし、ボクは精神を汚染されない。
 スライムなどのモンスターに、「人間相手の精神攻撃」は通用しないのだ。

 ワラビから、短剣を受け取った。

「わかったぞ。あなたの本体は、ここだ!」

 ボクは、スマホの画面に短剣を突き刺す。

 同時にワラビが、ボクから離れていった。

 ダラン、と、スケルトンキングが脱力する。スマホも、地面に落ちた。
 スケルトンキングは、サラサラした灰に変わっていく。

「ツヨシ、終わったのか?」

「はい。スケルトンキングの正体も、判明しましたよ」

 ボクは、スマホを蹴り上げる。
 画面の方が、表向きになった。
 二人が、画面を覗き込んだ。

「心霊写真?」

 画面には、白骨のようなものが写っている。ボクが突き刺した短剣が、そのガイコツの頭を貫いていた。

 このガイコツこそ、スケルトンキングである。

「そうです。心霊写真に取り憑かれて、彼女はこの階層のボスになっちゃったみたいですね」

 迷惑系冒険者は、目で霊を見てしまっただけではなく、スマホでガイコツを保存してしまった。そのせいで、スマホがスケルトンキングを集める母体になってしまったのだ。

「つまりツヨシくんは、スマホに写っているガイコツのコアを破壊したってわけね?」

「そうです」

「すごいわ。そこまでわかるなんて」

「スマホで写真を撮っただけで相手を操れるなんて、考えられません」

 となると、答えは一つ。スケルトンキングは、スマホが本体なのだ。

「早く報告、を、うわあああ!」

 ボクは、突然、身体が痛くなってきた。全身に痛みが走って、動けない。

「どうした?」

「触られると痛いです!」

 センディさんが、肩を揺すってきた。その動きだけで、もう痛みが駆け抜けていく。

「おお。すまん!」

「まさか、あなたもスケルトンに?」

 コルタナさんが、ボクの顔を覗き込む。

「そんな感じじゃないわね」

「元気いっぱいです」

 ボクも、コルタナさんと同じことを考えていた。けど、身体が腐っていく感じではない。

「ワタシが担いでいきます。みなさんは、ギルドの職員を呼んできてください」

「わかった! 気をつけてな!」

 ボクはワラビに支えられて、ギルドまで戻ることになった。

 それにしても、ワラビは随分と大きくなっている。「人をダメにするソファ」くらいあるね。




 数分後、ギルドの職員たちと合流した。

「これは、成長痛ですね」

 受付のお姉さんが、ボクを分析する。

「成長痛!? それ、成長期の症状よね?」

 コルタナさんが、受付のお姉さんと話す。

「姉の娘が夜中にギャン泣きする上にグズるから、原因を調べてもらったのよ。もう赤ん坊でもないのに。その原因が成長痛だったの」

 成長痛とは、幼児期から思春期までに発生する、下肢の痛みをいうそうだ。

「ツヨシさんの場合、急激なレベルアップで全身が成長に耐えきれなくなったのです」

 ロクなトレーニングをせずに、いきなり一足飛びで大幅レベルアップした。そのせいで、身体がびっくりしたのだろうとのこと。

「二、三日ほど、お休みください」

 うわあ。当分冒険に出られないのか。

「家を教えてくれ。食料などは、こっちで調達するから任せろ」

「私、結構料理は得意なのよ」

 センディさんとコルタナさんが、面倒を見てくれるという。

「ありがとうございます」

 さて、どうするか。

 自宅に帰って、思案する。

「コメント返しなどは、いかがでしょう?」

「おっ。それいいね」

 明日は緊急配信として、自宅で動画についたコメントに返答することに。
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