底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路

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第三章 姫とコラボで、またバズる

第18話 ゴーレム使い 【ピグ★まり ON AIR】

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「アルケミスト?」

「無から有を作り出す、魔術師よ。サモナーともテイマーとも、ネクロマンサーとも違うわ」

 コルタナさんが、謎の人物の逃走ルートを分析する。魔力の残滓で、敵の戦闘力を解析できるらしい。

「そのアルケミストが主に用いる戦闘手段が、ゴーレム操作よ」

「しかもアルケミストは、オレたち冒険者と同類だ」

 まさか、冒険者がダンジョンを乗っ取ろうとしているってこと?

「とにかくワラビ、これを食べておいて。敵を突き止めるきっかけができるかもしれない」

 ボクは、ゴーレムを操っていた内部の機械を、ワラビに食べさせた。
 これが、ダンジョンを荒らす人物を捕らえるきっかけになればいいんだけど。

 
 ギルドに帰って、戦況を報告する。

「わかりました」と、受付のお姉さんが。

「ツヨシさん。心当たりのある人物を一人、特定しました。後日、再度ギルドにおいでくださいませ」

 どうも一連のダンジョンは、元々ゴーレムなんかが統治していなかったらしい。
 ゴーレムを操っている人物が、関与しているという。

「その魔物を操っているのが、冒険者のようですね」

 魔物やアイテムに錬金術を施し、二重で仕掛けていたらしい。かなり周到に、ダンジョンを支配しようとしていたみたいだ。

「ですが、そのアイテムから、人物を割り出せました。ありがとうございます」

 家に帰宅後、ボクたちも話し合う。

「上位勢の迷惑系冒険者だろうな」

「それも、寄生型の冒険者でしょうね」

 だが、センディさんもコルタナさんも、見覚えはないという。

「迷惑系とかの動画って、見ないんだよ」

「気分が悪くなるものね」

 動画にあまり興味がない二人は、知らないだろうな。

 ボクも迷惑系は知らない。探す気にもならないよ。

「ただ、迷惑系で人を貶める動画を流しているなら、証拠が残っていてもいいはずよね?」

 メイヴィス姫が、動画を漁っているが、それらしき人物は見当たらない。

 とにかく、ギルドからの報告を待つ。

 
 ギルドから、ゴーレム使いの討伐依頼が。

 冒険者を集めて、ギルド責任者が情報を開示する。

「被疑者は【ピグ★まり ON AIR】という、迷惑系動画配信者。本名は、金城カネシロ 麻里子マリコ

 少女の写真が、会議室の大型モニターに映し出される。くるくるしたツインテールに、星の入ったアイコンタクトを入れていた。装備は、いわゆる地雷系ファッションである。接近戦になると、トゲトゲのハンマーで殴るタイプか。

「マジックアイテムやモンスターを配置し、ダンジョンの利益を独占しようとしている」

 おそらくゴーレムの素材を大量に手に入れるために、ダンジョンを占拠するつもりらしい。

「いるんだよなあ。こういう冒険者」「お宝独り占めしようっていう」「迷惑ねえ」

 口々に、冒険者たちが写真の女性を罵る。

「あっ、俺、こいつと組まされたことがある」

 冒険者の一人が、手を挙げた。

「君は、なにか知っているのかね?」

 ギルド長が、ボールペンで冒険者を差す。

「報酬のアイテムをパクられてよお。『ピに貢ぐんだ』、って言ってたぜ」

「その、【ピ】っていうのは?」

「カレシのことだってよ」

 会場が、ため息で満たされる。

 これは、擁護できなねぇ。自分のやっていることに、罪悪感を持っていないタイプだ。

【ピグ★まり】ことカネシロ マリコに関して、一切の交易、アイテム交換はしないこととしている。

「現在、ピグ★まりを、世界レベルで指名手配している。第三層ダンジョンに隠れていると思われるので、レベル三〇超えの冒険者が求められている。それ以外の冒険者は、くれぐれもピグ★まりの襲撃に備えるよう」

 上位にいるダンジョン攻略勢が、先を急ぐようにギルドを後にした。

 ボクたちも、第三階層のあるダンジョンへ向かう。

 だが、ワラビはこのダンジョンではないと断言した。

「ここからは、ピグ★まりとやらの魔力を感じません」

 ワラビは先日、ダンジョンのアイテムを食べている。そこから、ピグ★まりの魔力を記憶しているのだろう。

「くそ、どこにもいねえぞ!」

 先回りしていた上位勢が、悪態をつきながらダンジョンから出てきた。

 その後ボクらも、二、三箇所回ってみたが、どこにもピグ★まりは見当たらない。 

「どこへ行っちゃったんだろう?」

「もしかして、魔物にやられたとか言うんじゃねえだろうな?」

 どうだろう? 二重で魔物を支配するような、狡猾さを持つ冒険者だ。魔物なんかに遅れを取るとは、どうしても思えない。

「高レベルの冒険者だからといって、深い階層には潜っていないのでは?」

「……それは、盲点だったね」

 ボクたちは、ダンジョンの浅い部分を回ることにした。ボクとワラビが、初めて出会ったダンジョンである。

「ここです。ここに、ピグ★まりの気配が」

「本当に、ここなの?」

「はい。近いです。おそらく、第二層あたりまで続いています」

「わかった」

 初期ダンジョンの、第二層へと潜っていく。
 よく考えてみたら、こっちの第二層を進むのは初めてかも。

 入り口の直ぐ側に、女性がしゃがみこんでいる。

「大丈夫ですか?」

「な、なんとか」

 メガネをかけた、地味目の女性は、なんどもうなずいた。酷い怪我をしている。早く治療しないと。

「マスターツヨシ、攻撃を」

 ワラビが、負傷した冒険者を攻撃しろといいだす。

「え!?」

「この女が、ピグ★まりです」
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