24 / 85
第24話
しおりを挟む
勇凛くんの行った方向に走ると、勇凛くんが見えた。
勇凛くんは一人だった。
勇凛くんが振り返った。
「あ、七海さん!どうしてここに?」
驚いている。
「えっと……さっきまで会社の人と一緒にいて」
「そうだったんですね。タイミングが合ってよかったです。家まで送りましょうか?」
腕時計を見た。
もう23時……。
「ううん、大丈夫。家までまた来たら終電なくなっちゃうよ」
勇凛くんの顔を見れただけで嬉しかった。
「……俺の家来ますか?」
「え」
「ここからそんなに遠くないんで」
勇凛くんの家。
私が酔い潰れて運んでもらった時初めて行った場所。
ほとんど記憶がない。
まだ一緒にいたい。
──でも
「……明日仕事あるからまた今度にするよ」
胸が苦しくなった。
「七海さん」
顔を上げたら勇凛くんが目の前にいた。
「わ!」
「そんな顔するの反則ですよ」
「え、私なんか変な顔してた?」
勇凛くんが私の顔を覗き込む。
「寂しそうだなって」
恥ずかしい……。
「うん。まだ一緒にいたいって思っちゃったんだ……」
まだ自分にこんな乙女な心があっことに驚きだ。
「そんなこと言われたら、連れて帰りたくなりますよ」
勇凛くんの、穏やかで優しい表情。
今までの彼女にもこうだったのかな……。
***
私は導かれるように勇凛くんの家に向かった。
勇凛くんの部屋。
うっすら覚えてる記憶と一致している。
ふと目に入った、人生ゲーム。
入院していた時に遊んでいたやつ。
「七海さんどうぞ」
ついてきちゃったけど、どうしよう……。
このままゆっくりしていたら終電。
でももうここまできたら──
「……勇凛くん、泊まってもいいかな……」
リュックを置いた勇凛くんが私を見る。
「え、元からそのつもりですよ?」
「ありがとう……」
「これから二人で暮らすんですから、遠慮しないでください」
勇凛くんは直ぐにお風呂を洗いに行った。
「私コンビニで必要なもの買ってくるね」
スポンジを持った勇凛くんが慌てて出てきた。
「俺ついていきますよ!」
「いや、申し訳ないから。一人で大丈夫だよ」
「ダメです!!」
釘を刺された。
その後、深夜のコンビニに勇凛くんと向かった。
私がスキンケア用品や下着を買ってる間、勇凛くん雑誌コーナーで何かを見ている。
『漢字てんつなぎ』
ハマってしまったのだろうか。
買い物を済ませ勇凛くんの家に向かう途中、不動産屋のガラス窓に貼られた物件の間取り図を二人で見た。
「七海さんはどんな間取りがいいですか?」
「うーんと、それぞれ部屋があった方がいいよね」
「……なんでですか?」
何も言えなくなる。
「二人で住める期間、そんなに長くないかもしれないじゃないですか。子供産まれたら引っ越さないといけませんし」
もう頭が追いつかない。
なんで勇凛くんはそんなに落ち着いて考えてるの?
わかってる。勇凛くんは私との将来をちゃんと見据えている。ずっと先まで。
「勇凛くんはすごいね……。大人顔負けだよ」
「俺も大人なんですけど……」
声が低くなる。
「スミマセン……」
私が子供なんだ。
勇凛くんは一人だった。
勇凛くんが振り返った。
「あ、七海さん!どうしてここに?」
驚いている。
「えっと……さっきまで会社の人と一緒にいて」
「そうだったんですね。タイミングが合ってよかったです。家まで送りましょうか?」
腕時計を見た。
もう23時……。
「ううん、大丈夫。家までまた来たら終電なくなっちゃうよ」
勇凛くんの顔を見れただけで嬉しかった。
「……俺の家来ますか?」
「え」
「ここからそんなに遠くないんで」
勇凛くんの家。
私が酔い潰れて運んでもらった時初めて行った場所。
ほとんど記憶がない。
まだ一緒にいたい。
──でも
「……明日仕事あるからまた今度にするよ」
胸が苦しくなった。
「七海さん」
顔を上げたら勇凛くんが目の前にいた。
「わ!」
「そんな顔するの反則ですよ」
「え、私なんか変な顔してた?」
勇凛くんが私の顔を覗き込む。
「寂しそうだなって」
恥ずかしい……。
「うん。まだ一緒にいたいって思っちゃったんだ……」
まだ自分にこんな乙女な心があっことに驚きだ。
「そんなこと言われたら、連れて帰りたくなりますよ」
勇凛くんの、穏やかで優しい表情。
今までの彼女にもこうだったのかな……。
***
私は導かれるように勇凛くんの家に向かった。
勇凛くんの部屋。
うっすら覚えてる記憶と一致している。
ふと目に入った、人生ゲーム。
入院していた時に遊んでいたやつ。
「七海さんどうぞ」
ついてきちゃったけど、どうしよう……。
このままゆっくりしていたら終電。
でももうここまできたら──
「……勇凛くん、泊まってもいいかな……」
リュックを置いた勇凛くんが私を見る。
「え、元からそのつもりですよ?」
「ありがとう……」
「これから二人で暮らすんですから、遠慮しないでください」
勇凛くんは直ぐにお風呂を洗いに行った。
「私コンビニで必要なもの買ってくるね」
スポンジを持った勇凛くんが慌てて出てきた。
「俺ついていきますよ!」
「いや、申し訳ないから。一人で大丈夫だよ」
「ダメです!!」
釘を刺された。
その後、深夜のコンビニに勇凛くんと向かった。
私がスキンケア用品や下着を買ってる間、勇凛くん雑誌コーナーで何かを見ている。
『漢字てんつなぎ』
ハマってしまったのだろうか。
買い物を済ませ勇凛くんの家に向かう途中、不動産屋のガラス窓に貼られた物件の間取り図を二人で見た。
「七海さんはどんな間取りがいいですか?」
「うーんと、それぞれ部屋があった方がいいよね」
「……なんでですか?」
何も言えなくなる。
「二人で住める期間、そんなに長くないかもしれないじゃないですか。子供産まれたら引っ越さないといけませんし」
もう頭が追いつかない。
なんで勇凛くんはそんなに落ち着いて考えてるの?
わかってる。勇凛くんは私との将来をちゃんと見据えている。ずっと先まで。
「勇凛くんはすごいね……。大人顔負けだよ」
「俺も大人なんですけど……」
声が低くなる。
「スミマセン……」
私が子供なんだ。
1
あなたにおすすめの小説
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」
突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。
冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。
仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。
「お前を、誰にも渡すつもりはない」
冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。
これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?
割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。
不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。
これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる