三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

七転び八起き

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第55話

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「これは……ずいぶんと手厚い待遇ですね……」

 多分私の顔はひきつっている。

「君ならきっとできると思う」

 全く心のこもっていないセリフが落ちてくる。

「仕事ならやりますよ」

 やるしかない。
 もう心は決まってる。

「じゃあこれが引き継ぎ書」

 彼が向かった先にあるデスクの上には、大量の書類。

「パソコンのデータにもあるから、今日中に確認するように」
「ハイ……」

 思い出す。
 社畜人生を。
 この丸投げ感。

 やってやるよ!

 私がデスクに座って書類をざっと確認していると

「午前中は会議がある。午後もだ」
「……」

 自分が二人欲しい。
 いつも思うことだ。

「資料用意しておけ」

 そう言うと彼は出て行った。
 私は感情を捨てることにした。

 そして、今日のスケジュール確認をしようとしてると、電話が鳴る。

 内線?

「はい。……秘書課です」

『副社長に今日の会議の件で聞きたいことがあります』

 これは直接聞けばいのか?

「あとで確認します」

 すると別の電話が鳴る。

 外線。

「お電話ありがとうございます……林ホールディングスでございます」

『光井銀行です。明日の会議の件で林副社長とお話ししたいのですが』

 銀行……。

「少々お待ちくださいませ」

 また鳴る電話。

 無理ー!!

「はい。秘書課です」

 誰かが電話に出た。

 振り返ると──
 勇哉さんがいた。

 なぜ!?

「うん。ちょっと用事あってここいて。うん。それは俺があとでやる」

 そう言って電話を切った。

「ほーらー。お客さん待たせてるよー」

 割と真面目な顔で勇哉さんに指摘された。

「は、はい……」
「俺が代わるよ」

 なんでこの人が?
 なんで仕事のヘルプを??

「はい。そちらの件は承知しました」

 淡々と話して電話を切った。

「あ、ありがとうございます」

 意外な助っ人に驚くばかりだ。

「無茶振りされて大変だね~」

 またいつもの読めない笑顔になった。

「はい。でも覚悟はしてました」
「そうか~。じゃあ頑張ってね~」

 え?

「何しに来たんですか……?」

 勇哉さんが振り返る。

「気になったから来ただけ」

 そう言って出て行ってしまった。

 わからない。
 ただ、割と仕事は真面目にやってるの?

 謎が深まるばかりだ。

 ***

 資料を漁り、前任の社員に確認を取ったりして、なんとか用意できた会議資料。
 初日から超ハードモード。

 すると、勇輝さんが入ってきた。

「準備できたか」

 私を見下ろす。

「はい。こちらです」

 私が渡すとすぐに目を通した。

「これくらいはできるようだな。安心した」

 私を試している。
 わかっている。

「じゃあ午後の資料もよろしく」

 彼は出て行った。

 この会社のこと自体よくわかってないのに会議資料とかふざけんなー!
 と怒りをおさえてまた次の会議資料をつくるべく資料を漁り、その間に電話応対をし、前任に確認をとり……

 昼食を食べる時間がない。

「お腹減った……」

 でも、なんとしても失敗したくない。
 私は耐える。

 そのまま黙々と目の前にある仕事をこなしていた。
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