76 / 85
第76話
しおりを挟む
二人でバスに乗って病院に到着。
病棟受付で名前を告げて、病棟入口の前でしばらく待つと──
病棟の自動ドアが開き母が出てきた。
「あ、お母さん!お父さんどう?」
母は私を完全に無視して勇凛くんを見ている。
「七海の母です。こんなところまですみません」
勇凛くんに頭を下げている。
「いえ、入院中にすみません」
勇凛くんも頭を下げている。
そのあと、父の病室に案内された。
病室のカーテンの向こうには、点滴をしている父がいた。
「お父さん、体調どう?連れてきたよ」
父は身構えていた。
「ああ。もうすぐ退院できる」
勇凛くんがそっと入ると、驚いていた。
「初めまして、林勇凛と申します」
勇凛くんが頭を下げた。
「え……あ……君いくつ?」
お父さんいきなり失礼すぎる!!
「二十二です」
お母さんも驚いている。
「七海と八歳も離れてるの!?」
うーん、これは想像できてたけど。
「何があったの??」
「え、結婚したいなって思って結婚しただけだよ」
やや事実を誤魔化す。
「え?職場の人って言ってかかった?」
う……
「ごめん……実は、勇凛くんは大学生なの」
唖然としている両親。
「え、学生と結婚したの!?」
「うん……」
「相手のご両親は大丈夫なの!?」
「実はまだ挨拶できてなくて……」
「こっちより先にそっち行きないよ!」
母が焦っている。
「いえ、僕は先にご挨拶したかったです」
勇凛くんが、いつもより逞しく見えた。
「まだ学生ですが、七海さんと一緒にいたくて、僕が無理を言ったんです」
勇凛くん──
初めて会った日のことを思い出した。
居酒屋から出たら勇凛くんに話しかけられて、告白されて。
「そうか……。しっかりしてる子だな。これからよろしく。勇凛くん」
父は穏やかな顔で言った。
「はい、よろしくお願いします」
勇凛くんが頭を下げた。
「ところで二人は結婚式はするの?」
母が尋ねる。
「まだ決めてないよ」
「そう。じゃあ決まったら教えてね」
──と、あっさり終わった挨拶。
病棟から母と一緒に出ると……
「あ!七海と、“勇凛くん”だ!」
姉ちゃんがいた。
なぜここへ!?
「なんで姉ちゃんがここに……?」
「だってお母さんから七海と勇凛くんがこっち来るって聞いたから見たくて来ちゃった」
ひあああああ
姉ちゃん言わないで色々!
「勇凛くん!すごいイケメンじゃん!林ホールディングスの社長の息子さんと結婚するなんて七海すごいよねー!」
あああああ
「は?」
母の表情が変わった。
「どういうことなの……?」
うーーーん
「お姉ちゃんの言うとおりだよ……」
母がふらついた
「そんな……七海に務まるの?」
「七海さんは父の会社で今働いてます。兄の秘書をしてますが、とても頑張ってます」
母が悩んでいる。
「まあ……頑張りなさいよ七海。自分が選んだ人生なんだから」
「うん。がんばる」
「でもさー出会って次の日に結婚はすごいよねー!」
姉ちゃんにこれから何も相談できん。
「は!?」
母はまた驚いている。
「俺が……出会った次の日に婚姻届を七海さんに持っていきまして」
姉ちゃんが色々話したせいで、また改めて来ることになった。
──帰り道
「七海さんのご家族、優しいですね。俺のことも受け入れてくれて嬉しいです」
うちはウェルカムだけど、勇凛くんの家族の方が問題なんだ……
緊張してきた!
「どうしよう……」
「どうしたんですか?」
「勇凛くんのご両親に会うのが怖い」
勇輝さんみたいに、また言われたら──
「何を言われても。俺は貫きます。この思いも、七海さんとの関係も」
勇凛くんが私の手を強く握った。
「うん……」
例えまた大きな壁が立ちはだかったとしても、私たちなら大丈夫。
──きっと
病棟受付で名前を告げて、病棟入口の前でしばらく待つと──
病棟の自動ドアが開き母が出てきた。
「あ、お母さん!お父さんどう?」
母は私を完全に無視して勇凛くんを見ている。
「七海の母です。こんなところまですみません」
勇凛くんに頭を下げている。
「いえ、入院中にすみません」
勇凛くんも頭を下げている。
そのあと、父の病室に案内された。
病室のカーテンの向こうには、点滴をしている父がいた。
「お父さん、体調どう?連れてきたよ」
父は身構えていた。
「ああ。もうすぐ退院できる」
勇凛くんがそっと入ると、驚いていた。
「初めまして、林勇凛と申します」
勇凛くんが頭を下げた。
「え……あ……君いくつ?」
お父さんいきなり失礼すぎる!!
「二十二です」
お母さんも驚いている。
「七海と八歳も離れてるの!?」
うーん、これは想像できてたけど。
「何があったの??」
「え、結婚したいなって思って結婚しただけだよ」
やや事実を誤魔化す。
「え?職場の人って言ってかかった?」
う……
「ごめん……実は、勇凛くんは大学生なの」
唖然としている両親。
「え、学生と結婚したの!?」
「うん……」
「相手のご両親は大丈夫なの!?」
「実はまだ挨拶できてなくて……」
「こっちより先にそっち行きないよ!」
母が焦っている。
「いえ、僕は先にご挨拶したかったです」
勇凛くんが、いつもより逞しく見えた。
「まだ学生ですが、七海さんと一緒にいたくて、僕が無理を言ったんです」
勇凛くん──
初めて会った日のことを思い出した。
居酒屋から出たら勇凛くんに話しかけられて、告白されて。
「そうか……。しっかりしてる子だな。これからよろしく。勇凛くん」
父は穏やかな顔で言った。
「はい、よろしくお願いします」
勇凛くんが頭を下げた。
「ところで二人は結婚式はするの?」
母が尋ねる。
「まだ決めてないよ」
「そう。じゃあ決まったら教えてね」
──と、あっさり終わった挨拶。
病棟から母と一緒に出ると……
「あ!七海と、“勇凛くん”だ!」
姉ちゃんがいた。
なぜここへ!?
「なんで姉ちゃんがここに……?」
「だってお母さんから七海と勇凛くんがこっち来るって聞いたから見たくて来ちゃった」
ひあああああ
姉ちゃん言わないで色々!
「勇凛くん!すごいイケメンじゃん!林ホールディングスの社長の息子さんと結婚するなんて七海すごいよねー!」
あああああ
「は?」
母の表情が変わった。
「どういうことなの……?」
うーーーん
「お姉ちゃんの言うとおりだよ……」
母がふらついた
「そんな……七海に務まるの?」
「七海さんは父の会社で今働いてます。兄の秘書をしてますが、とても頑張ってます」
母が悩んでいる。
「まあ……頑張りなさいよ七海。自分が選んだ人生なんだから」
「うん。がんばる」
「でもさー出会って次の日に結婚はすごいよねー!」
姉ちゃんにこれから何も相談できん。
「は!?」
母はまた驚いている。
「俺が……出会った次の日に婚姻届を七海さんに持っていきまして」
姉ちゃんが色々話したせいで、また改めて来ることになった。
──帰り道
「七海さんのご家族、優しいですね。俺のことも受け入れてくれて嬉しいです」
うちはウェルカムだけど、勇凛くんの家族の方が問題なんだ……
緊張してきた!
「どうしよう……」
「どうしたんですか?」
「勇凛くんのご両親に会うのが怖い」
勇輝さんみたいに、また言われたら──
「何を言われても。俺は貫きます。この思いも、七海さんとの関係も」
勇凛くんが私の手を強く握った。
「うん……」
例えまた大きな壁が立ちはだかったとしても、私たちなら大丈夫。
──きっと
0
あなたにおすすめの小説
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」
突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。
冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。
仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。
「お前を、誰にも渡すつもりはない」
冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。
これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?
割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。
不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。
これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。
『階段対策会議(※恋愛)――年上騎士団長の健康管理が過剰です』
星乃和花
恋愛
【完結済:全9話】
経理兼給仕のクラリスは、騎士団で働くただの事務員――のはずだった。
なのに、年上で情緒に欠ける騎士団長グラントにある日突然こう言われる。
「君は転倒する可能性がある。――健康管理対象にする」
階段対策会議、動線の変更、手をつなぐのは転倒防止、ストール支給は防寒対策。
全部合理的、全部正しい。……正しいはずなのに!
「頬が赤い。必要だ」
「君を、大事にしたい」
真顔で“強い言葉”を投下してくる団長に、乙女心を隠すクラリスの心拍数は業務超過。
さらに副団長ローレンは胃薬片手に「恋は会議にするな!!」と絶叫中!?
これは健康管理?それとも恋愛?
――答え合わせの前に、まず“階段(概念)“をご確認ください。
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる