12 / 30
第一章 再会
第12話
しおりを挟む
「俺も苦しいよ、お前に会えなくなるのが」
先生が突然そう言った。
苦しい……?
先生が、苦しい……?
どうして?
先生は、私の髪をかきあげた。
そして、唇が私の耳に触れた。
その瞬間、体に痺れを感じて、頭の中がボヤけて、思考がうまく働かなくなった。
「先生ちょっと待ってください!」
けれど、先生はやめない。
更に追い討ちをかけるように、指を滑らせる。
「ドア、鍵空いてるよ。逃げたかったら逃げていいよ」
そんなこと言われても——
もう、体に力が入らない。
むしろ、先生の体温を心地いいと感じてしまっている。
「お前の体は、俺を欲しがってるんだよ」
……そうかもしれない。
自分でも、もうよくわからない。
こんなことされても、やっぱり先生のことが頭から離れない。
おかしくなってる。
先生はまた、私の敏感なところに触れてくる。
その度に私の心と身体は先生に呑まれていく。
どうすればいいの?
「先生はどうすれば満足するんですか……?」
その言葉に、先生の手が止まった。
「お前が……身も心も、何もかも、俺が欲しいって、俺に縋り付けばいいんだよ」
こんなに自分勝手なことをしておいて。
矛盾だらけ。
やっぱり、この人はどこか壊れてる。
私は起き上がり、車のドアを開けて外に飛び出した。
「先生……もう、やめませんか……?」
涙がまた溢れてくる。
「先生が私をどう思ってるのか、よくわからないし……私も、だんだん自分の気持ちがわからなくなってます」
「私は、先生の都合のいい人形じゃないんですよ……」
そう言って、私はその場を立ち去った。
* * *
水島を泣かせた。
……泣かせるつもりなんてなかった。
車の中で、一人になって、我に帰った。
ただ、あいつが他の男と楽しそうにしてるのを見たら、俺の中の何かが暴れ出した。
理性なんて、どこかに飛んでいってしまった。
止められなかった。
あいつは──
俺のことを好きなくせに、逃げて。
怖がるくせに、身体は正直で。
その矛盾が、俺をさらに駆り立てた。
でもあいつは、傷ついてたんだな。
俺は、自分の欲望のままに動いて、水島を追い詰めている。
それが、どれだけ酷いことか、頭では理解しているつもりだった。
でも、理解していても、止められない。
あと二ヶ月で、俺は結婚する。
そうなったら、水島との関係は終わる。
今は「元生徒」で済むけど、結婚したら——
だから、それまでに、何か確かなものが欲しかった。
水島の心を、完全に手に入れたかった。
ただその欲しがり方を、間違えた。
俺は、歪んでる。
まっすぐに愛せない。
こんな歪んだ俺を、それでも愛してほしいなんて、都合のいいことを考えてる。
そもそも、俺はあいつのことを、本当に愛してるのか?
それすらよくわからない。
ただ——
誰にも渡したくない。
俺だけを見ていてほしい。
俺だけを求めてほしい。
俺のそばにいてほしい。
ただ、それだけの漠然とした感情だけが、心の奥に残っていた。
夜の駐車場で、一人きりで、ぼんやりと考えていた。
先生が突然そう言った。
苦しい……?
先生が、苦しい……?
どうして?
先生は、私の髪をかきあげた。
そして、唇が私の耳に触れた。
その瞬間、体に痺れを感じて、頭の中がボヤけて、思考がうまく働かなくなった。
「先生ちょっと待ってください!」
けれど、先生はやめない。
更に追い討ちをかけるように、指を滑らせる。
「ドア、鍵空いてるよ。逃げたかったら逃げていいよ」
そんなこと言われても——
もう、体に力が入らない。
むしろ、先生の体温を心地いいと感じてしまっている。
「お前の体は、俺を欲しがってるんだよ」
……そうかもしれない。
自分でも、もうよくわからない。
こんなことされても、やっぱり先生のことが頭から離れない。
おかしくなってる。
先生はまた、私の敏感なところに触れてくる。
その度に私の心と身体は先生に呑まれていく。
どうすればいいの?
「先生はどうすれば満足するんですか……?」
その言葉に、先生の手が止まった。
「お前が……身も心も、何もかも、俺が欲しいって、俺に縋り付けばいいんだよ」
こんなに自分勝手なことをしておいて。
矛盾だらけ。
やっぱり、この人はどこか壊れてる。
私は起き上がり、車のドアを開けて外に飛び出した。
「先生……もう、やめませんか……?」
涙がまた溢れてくる。
「先生が私をどう思ってるのか、よくわからないし……私も、だんだん自分の気持ちがわからなくなってます」
「私は、先生の都合のいい人形じゃないんですよ……」
そう言って、私はその場を立ち去った。
* * *
水島を泣かせた。
……泣かせるつもりなんてなかった。
車の中で、一人になって、我に帰った。
ただ、あいつが他の男と楽しそうにしてるのを見たら、俺の中の何かが暴れ出した。
理性なんて、どこかに飛んでいってしまった。
止められなかった。
あいつは──
俺のことを好きなくせに、逃げて。
怖がるくせに、身体は正直で。
その矛盾が、俺をさらに駆り立てた。
でもあいつは、傷ついてたんだな。
俺は、自分の欲望のままに動いて、水島を追い詰めている。
それが、どれだけ酷いことか、頭では理解しているつもりだった。
でも、理解していても、止められない。
あと二ヶ月で、俺は結婚する。
そうなったら、水島との関係は終わる。
今は「元生徒」で済むけど、結婚したら——
だから、それまでに、何か確かなものが欲しかった。
水島の心を、完全に手に入れたかった。
ただその欲しがり方を、間違えた。
俺は、歪んでる。
まっすぐに愛せない。
こんな歪んだ俺を、それでも愛してほしいなんて、都合のいいことを考えてる。
そもそも、俺はあいつのことを、本当に愛してるのか?
それすらよくわからない。
ただ——
誰にも渡したくない。
俺だけを見ていてほしい。
俺だけを求めてほしい。
俺のそばにいてほしい。
ただ、それだけの漠然とした感情だけが、心の奥に残っていた。
夜の駐車場で、一人きりで、ぼんやりと考えていた。
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる