ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

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第一章 再会

第13話

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 あの日から、一ヶ月が経った。

 毎日、毎日——

 先生のことを思い出しては、苦しくて、辛くて。
 朝起きた瞬間から、夜眠るまで、先生のことが頭から離れなかった。

 授業中も、バイト中も、友達と話している時も、いつも心の奥に先生の影がちらついている。
 それでも、なんとか立ち直った。

 ──立ち直ったフリをしているだけかもしれない。

 でも、毎日を過ごすことはできるようになった。
 時間が、少しずつ心の傷を癒してくれる。

 あの人は、私のことを好きなんかじゃない。
 きっと、ただ寂しさを埋めたくて、私に執着していただけ。

 高校の時の先生は、幻想だった。
 本当の先生は、もっと複雑で、もっと身勝手で——
 感情を制御できない、ただの中途半端な大人だった。

 先生は私を哀れだと言った。
 でも私も先生のことを、哀れだと思う。

 どうしてああなってしまったのかは知らない。
 けれど、先生のしてきたことは、とても愛情とは呼べないものだった。

 ——でも、それでも、私はやっぱりあなたが好きだった。

 こんなに酷い扱いを受けたのに。
 こんなに傷つけられたのに。
 なんでだろう。

 ……私も、バカなんだよ。

 * * *

 その日の夜、私は愛美と会った。
 駅前のカフェで、いつものよつに近況を話していた。
 今日は、愛美は少し元気がなかった。

「どうしたの……?」

 私が心配そうに尋ねると、愛美はため息をついた。

「夏雄先生、結婚するらしいよ」

 ──え?

 結婚?
 嘘でしょ……?
 だって、私と先生はついこの前まで——

 頭が真っ白になった。

「……あー最悪。チャンスあると思ってたのに」

 愛美はアイスコーヒーを寂しげに啜っていた。

「私さ、あれから何回か学校行って、夏雄先生に会いに行ってたんだよね。ちょっとどこかに誘ったりして、もう少し距離を縮めようと思ってた。でもさ、毎回笑顔で上手くかわされてさ~。婚約者いるなら、先に言ってほしかった。バカみたい」

 愛美の言葉が、胸に刺さる。

 本当だよ……。
 私なんて何も知らなくて。
 婚約者がいるのに、私をまるでオモチャみたいに扱って、最低だ。

 本当に、最低の男だ。

 でも、なぜだろう。
 その瞬間、涙があふれてきた。

「白乃?どうしたの!?」
「……ごめん、ちょっと前にあった嫌なこと、思い出しちゃって」

 あんな酷い扱いを受けていたのに、信じたかった。
 ほんの少しでも、私を想ってくれていたって。

 でもやっぱり違った。
 先生のことなんて、好きにならなきゃよかった。

「白乃、大丈夫?何があったかは聞かないけど……つらかったら、いつでも話して」

 愛美の優しさが、余計に胸に響く。

「ありがとう……大丈夫」

 涙を拭いて、無理に笑顔を作る。

 でも、心の奥では——

 まだ、先生への想いが消えていないことを、私は知っていた。
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