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第4章 リューべルへの道
ノアラのまち
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「うわぁ!美味しそう!」
テーブルの上いっぱいに並んだご馳走。
煮込み料理の甘い匂い、焼き野菜の香草の香り、湯気の立つスープ。
全部が“家庭の味”って感じで温かみがあってすごく美味しそう!やばい、腹減った。
「ふふ、いっぱい作っちゃったの。若い子はよく食べるでしょ?」
ミナちゃんのお母さんが、うさぎ族らしい長い耳を嬉しそうに揺らしながら皿を並べていく。
耳がぴょこぴょこ動くのが可愛い。
「いい匂い……」
「お母さんのごはん、おいしいんだよ!」
ミナちゃんも胸を張って言いながら、嬉しそうに尻尾をふるふるさせていた。
「じゃあ、遠慮なく……いただきます!」
手を伸ばして煮込みを一口食べた。
……うまっ!!
「っなにこれ……!めっちゃおいしい……!」
「ほんと?よかったぁ」
お母さんは胸をなでおろし、安心したように耳をふにゃっと下げた。
横を見るとディーは無言で肉を噛んでいたけれど、「……これは当たりだな」とだけ言った。
でも俺は見逃さなかったぞ。ディーの熊耳が美味しさのあまり一瞬もふってなったのを。
ミナちゃんのお父さんもおじいさんもうなずきながら美味しいそうに頬張っていた。
「さて、本日は盗賊からお助けいただき、またスバシリテンも追い出していただいて、本当に感謝しかありません」
夕食を食べ終わったあと、おじいさんが改まって俺たちに頭を下げて来た。
「いえ、そんな!俺たちは当たり前の事をしただけです。こんなに美味しい料理もご馳走していただきましたし、な?ディー」
「こちらも、1晩の宿だけでなく、ご馳走までいただき、お礼を言うのはむしろこちらの方かと」
と言いながらディーが頭を下げるから俺も慌てて頭を下げた。
いつもは言葉足らずなディーが丁寧にお礼を言って頭を下げてる。その行動に少しばかり衝撃を受けた。でも、それくらいこちらも感謝する事ってことだよな?俺も野宿じゃなくなったことに心の底から安堵したし。
「ふふふ、じゃあお互い様ってことで」
お母さんの一声で場が和んだ。
皆の顔に笑顔が戻る。ふふ、お母さんって強いなぁ。
「ノアラの街は初めてかい?」
「あ、俺は初めてです」
「俺は何度か」
「じゃあ畑はまだ見た事ないな、明日、案内しよう」
俺に向かっておじいさんは言った。
……畑ってなにか見るものあったっけ?地面に野菜の苗が植わってるイメージしか想像出来ないんだけど。それとも何か、ノランでしか育たない作物でもあるのかな?
「あのね、今は蓮のお花が綺麗なんだよ!その向こうで川がキラキラーってするとさらに綺麗なんだよ!」
ミナちゃんが身振り手振りでキラキラーを表現してくれた。
街の人が言うんだからきっと綺麗なんだろう。
「ディーは見たことある?」
「いや、ないな」
「じゃあ決まり!明日、ミナも案内する!」
こうして、明日はミナちゃんとおじいさんに街の案内をしてもらう事になった。
「おーれーもーくーいーたーかーったー!!」
貸してくれた一室で、アレクが俺の耳元で食いたかったと連呼してきている。
ミナちゃんのお母さんの手料理をアレクも食いたかったらしい。
とにかく耳元で喚くからうるさい!
「そもそもアレク、魔力が少ないしか言わないじゃん!美味しさが分からないのに勿体ないよ」
「最近はなんとなくだけど分かってきたし」
「例えば?」
アレクはスノーダック以降、ちょくちょく俺たちと一緒に飯を食っていた。けれど感想は"魔力が少ない"ばっかり。美味しさなんて分からないと思っていた。だから聞いてみた……どうせ答えられないだろうと思ってね。
「はぁ?えーと、そうだなぁ。硬い、柔らかい、むきゅむきゅする、甘い」
「それ味っていうよりほとんど食感じゃん」
まぁ、でも魔力量以外にも感想があったんだなと感心した。
「とにかく腹減った!俺にも飯!」
「はいはい」
魔力を凝縮するのにも慣れてきた。
以前は1つ作るのにも息が切れて汗だくだったのに、今では少し疲れる程度で作れる。
と言っても飴玉状には遠く、燃え盛った何か、ではあるが。
「おー、だいぶマシになってきたんじゃねぇ?」
と言いながらまだ途中なのにパクっと食べられてしまう。「腹減った」と言っていただけあって、5個も食べやがった。
「はぁー。お前の飯は体力奪われるよ」
ベッドに体を投げ出す。
安価な宿のベッドよりふかふかでよく眠れそう。
「だからよぉ、燃やさなくていいんだって。それだけでかなり効率変わるぞ?」
「それができたらやってる」
できないから困ってるんじゃん。でも、たしかに燃え盛る炎のせいで俺の魔力がどこまで塊になってるのかも分かんないんだよなぁ。
燃やすためには魔力がいる。でも、魔力の塊に燃やす行為は不要。
うーん、どうしたらいいんだ?
魔力が可視化できたらいいのか?ん?魔力の塊って要するにそういう事か?んん?いやでも、塊っていうくらいだから触ることも出来るんだよな?んんん?
あー、やっぱり分かんねぇ!
俺はそのままふわふわのベッドに意識を沈めた。
「うっわぁー。すごい」
手前には、柔らかい緑の畑が風に揺れ、その向こう側には薄桃色の蓮の花が咲く水面が広がっていた。さらにその奥では大きな川が水面をキラキラさせながら流れている。
想像していたよりも、畑も蓮畑も川も大きい!
川からは蓮畑を通って畑まで水を引いているみたいで、細い水路も沢山あった。
「昔はのぅ、あの蓮畑のところまで街があったんじゃよ」
おじいさんが懐かしむように目を細めて言う
心做しか耳もぺたんとしているように見える。
「川の氾濫ですか?」
街が川から離れる理由なんて、川が氾濫した時くらいしか思いつかない。
おじいさんは川の方を見ながら、しばらくしてから口を開いた。
「端的に言えばそうじゃな。しかしこの川の氾濫はいつしか魔力の氾濫と呼ばれるようになったんじゃ」
テーブルの上いっぱいに並んだご馳走。
煮込み料理の甘い匂い、焼き野菜の香草の香り、湯気の立つスープ。
全部が“家庭の味”って感じで温かみがあってすごく美味しそう!やばい、腹減った。
「ふふ、いっぱい作っちゃったの。若い子はよく食べるでしょ?」
ミナちゃんのお母さんが、うさぎ族らしい長い耳を嬉しそうに揺らしながら皿を並べていく。
耳がぴょこぴょこ動くのが可愛い。
「いい匂い……」
「お母さんのごはん、おいしいんだよ!」
ミナちゃんも胸を張って言いながら、嬉しそうに尻尾をふるふるさせていた。
「じゃあ、遠慮なく……いただきます!」
手を伸ばして煮込みを一口食べた。
……うまっ!!
「っなにこれ……!めっちゃおいしい……!」
「ほんと?よかったぁ」
お母さんは胸をなでおろし、安心したように耳をふにゃっと下げた。
横を見るとディーは無言で肉を噛んでいたけれど、「……これは当たりだな」とだけ言った。
でも俺は見逃さなかったぞ。ディーの熊耳が美味しさのあまり一瞬もふってなったのを。
ミナちゃんのお父さんもおじいさんもうなずきながら美味しいそうに頬張っていた。
「さて、本日は盗賊からお助けいただき、またスバシリテンも追い出していただいて、本当に感謝しかありません」
夕食を食べ終わったあと、おじいさんが改まって俺たちに頭を下げて来た。
「いえ、そんな!俺たちは当たり前の事をしただけです。こんなに美味しい料理もご馳走していただきましたし、な?ディー」
「こちらも、1晩の宿だけでなく、ご馳走までいただき、お礼を言うのはむしろこちらの方かと」
と言いながらディーが頭を下げるから俺も慌てて頭を下げた。
いつもは言葉足らずなディーが丁寧にお礼を言って頭を下げてる。その行動に少しばかり衝撃を受けた。でも、それくらいこちらも感謝する事ってことだよな?俺も野宿じゃなくなったことに心の底から安堵したし。
「ふふふ、じゃあお互い様ってことで」
お母さんの一声で場が和んだ。
皆の顔に笑顔が戻る。ふふ、お母さんって強いなぁ。
「ノアラの街は初めてかい?」
「あ、俺は初めてです」
「俺は何度か」
「じゃあ畑はまだ見た事ないな、明日、案内しよう」
俺に向かっておじいさんは言った。
……畑ってなにか見るものあったっけ?地面に野菜の苗が植わってるイメージしか想像出来ないんだけど。それとも何か、ノランでしか育たない作物でもあるのかな?
「あのね、今は蓮のお花が綺麗なんだよ!その向こうで川がキラキラーってするとさらに綺麗なんだよ!」
ミナちゃんが身振り手振りでキラキラーを表現してくれた。
街の人が言うんだからきっと綺麗なんだろう。
「ディーは見たことある?」
「いや、ないな」
「じゃあ決まり!明日、ミナも案内する!」
こうして、明日はミナちゃんとおじいさんに街の案内をしてもらう事になった。
「おーれーもーくーいーたーかーったー!!」
貸してくれた一室で、アレクが俺の耳元で食いたかったと連呼してきている。
ミナちゃんのお母さんの手料理をアレクも食いたかったらしい。
とにかく耳元で喚くからうるさい!
「そもそもアレク、魔力が少ないしか言わないじゃん!美味しさが分からないのに勿体ないよ」
「最近はなんとなくだけど分かってきたし」
「例えば?」
アレクはスノーダック以降、ちょくちょく俺たちと一緒に飯を食っていた。けれど感想は"魔力が少ない"ばっかり。美味しさなんて分からないと思っていた。だから聞いてみた……どうせ答えられないだろうと思ってね。
「はぁ?えーと、そうだなぁ。硬い、柔らかい、むきゅむきゅする、甘い」
「それ味っていうよりほとんど食感じゃん」
まぁ、でも魔力量以外にも感想があったんだなと感心した。
「とにかく腹減った!俺にも飯!」
「はいはい」
魔力を凝縮するのにも慣れてきた。
以前は1つ作るのにも息が切れて汗だくだったのに、今では少し疲れる程度で作れる。
と言っても飴玉状には遠く、燃え盛った何か、ではあるが。
「おー、だいぶマシになってきたんじゃねぇ?」
と言いながらまだ途中なのにパクっと食べられてしまう。「腹減った」と言っていただけあって、5個も食べやがった。
「はぁー。お前の飯は体力奪われるよ」
ベッドに体を投げ出す。
安価な宿のベッドよりふかふかでよく眠れそう。
「だからよぉ、燃やさなくていいんだって。それだけでかなり効率変わるぞ?」
「それができたらやってる」
できないから困ってるんじゃん。でも、たしかに燃え盛る炎のせいで俺の魔力がどこまで塊になってるのかも分かんないんだよなぁ。
燃やすためには魔力がいる。でも、魔力の塊に燃やす行為は不要。
うーん、どうしたらいいんだ?
魔力が可視化できたらいいのか?ん?魔力の塊って要するにそういう事か?んん?いやでも、塊っていうくらいだから触ることも出来るんだよな?んんん?
あー、やっぱり分かんねぇ!
俺はそのままふわふわのベッドに意識を沈めた。
「うっわぁー。すごい」
手前には、柔らかい緑の畑が風に揺れ、その向こう側には薄桃色の蓮の花が咲く水面が広がっていた。さらにその奥では大きな川が水面をキラキラさせながら流れている。
想像していたよりも、畑も蓮畑も川も大きい!
川からは蓮畑を通って畑まで水を引いているみたいで、細い水路も沢山あった。
「昔はのぅ、あの蓮畑のところまで街があったんじゃよ」
おじいさんが懐かしむように目を細めて言う
心做しか耳もぺたんとしているように見える。
「川の氾濫ですか?」
街が川から離れる理由なんて、川が氾濫した時くらいしか思いつかない。
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