子持ちオメガが運命の番と出会ったら

ゆう

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保育園に着くと春がちょこんと座っているのが見えた。

他の子達は既に帰っていることが多い。
仕事の日はどうしてもギリギリになってしまうから...。

「春、迎えに来たよ」

「りんくん~!」

「春くん、とても大人しく待ってましたよ」

横から先生がにこにこと言ってくれる。

「いつも遅くなってすみません...」

「いえいえ。いつも時間には間に合ってますし、大丈夫ですよ」

「ありがとうございます。そう言って貰えると助かります...。春、先生にバイバイしてね」

春がバイバイと手を振ると、先生もまた明日ねと振り返してくれた。
車に乗せると、春は今日あったことを話し始める。

「今日ね~、折り紙おったんだよっ」

小さな鞄をゴソゴソと探る。
取り出したのは少し歪な手裏剣だった。

「かっこいいね。上手に折れてる」

「でしょ~」

えへへと笑う姿はとても愛らしい。
家に帰ったら手裏剣を飾ろう。

保育園から家までは車で10分くらい。
会社が遠くて、家から30分かけて電車で通っている。

会社は都心の方で通勤が大変だけれど、したかった仕事だったから、この生活を続けている。

家の中に入ると、夕飯の支度を始める。

「今日は春の好きなオムライスを作ろうかな」

「やった~!うさちゃん描いて!」

「もちろん」

春は兎が大好きだ。
可愛らしい兎がプリントされたコップをいつも保育園に持って行っているくらい。

「うさちゃん!」

ケチャップで絵を描くと春は目を輝かせた。

「ご飯食べたら一緒にお風呂入って...」

「おふろやだー」

春はお風呂があまり好きではない。
面倒臭いのだと思う。

だからアヒルさんや水鉄砲などお風呂の時間を楽しく過ごせるものを置くようになった。

「アヒルさん待ってるよー、春がいなくて寂しいって言ってた」

「アヒルさん...、はいる」

「偉いねー」

お風呂に入ると寝かせる準備に入る。
すでに春はうとうとだ。
これなら、絵本を読み聞かせなくてもすぐ寝てくれそう。

案の定、すぐ寝てくれたので僕はというと洗濯物を畳んだりと家事を済ませた。

ふと思う。
片親じゃなくて、両親ならもっと良くしてあげれたのかなとか。

再婚...はまだ考えられないけど。
あの人とのことがまだトラウマになってるみたいだ。

「もう寝よう」

明日も仕事だしと思い、目を閉じて無理やり眠りについた。
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