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しおりを挟む今日は春を保育園に送り届けた後、スマホで病院の予約を取っていた。
何故、ヒートが突然起こったのか診察してもらう為だ。
祝日で会社が休みの日に予約を入れることにした。
いつもは薬を飲んでいれば、ヒートが起こらないのにと思って不安になる。
もしかして病気なのでは...。
ううん、悪い想像はしないでおこう。
病院は予約したし、今出来ることはした。
「時間だ、急がないと」
電車に揺られて会社へと向かう。
出勤ラッシュでいつも通り満員だ。
もう慣れたけれど。
会社に着くと同期の井上から声をかけられる。
「桜田!おはよう」
「おはよう。今日は朝から寒いね」
「マジで寒い。もうすぐ冬だからな」
「クリスマスは彼女と過ごすんだっけ」
「そうそう!可愛い彼女と過ごす予定」
井上は年下の彼女持ちだ。
彼女を溺愛しているらしい。
話していると始業の時間になる。
自分の担当している業務をこなしていく。
集中していると時間が経つのはあっという間。
お昼の時間になったことを確認して席を立つと、上司から呼び止められた。
「昼休憩前に申し訳ないが、ミーティングルームに行ってくれないか。社長から話があるそうだ」
「話ですか?」
叶社長...。
パーティーの時に会ったきりだけれど。
やはり失礼があったとか?
「私も話の内容は聞いていないから、取り敢えず行ってきてくれ」
「はい、わかりました」
ミーティングルームは普段あまり使う事がない。
来客があった時や会議の時だけ。
「失礼します」
部屋の窓際に叶社長が立っていた。
相変わらずイケメンだ。
短く整えられた黒髪に切長の目。
ドクン。
まただ、この人を見ると急に発情してしまう。
「やはりか...。病院へ行く。急に呼び出した上に連れ出す事、申し訳ない」
「え...」
手を引かれて、会社を出る。
「ちょっと待ってください...!説明をお願いします」
「車に乗りながら話そう。人目につく」
確かにこの状態では危ない。
言われるがまま、停めてある車に乗った。
「...お願いします」
「ああ。稀に特定の相手が近くにいると発情してしまう事がある。運命の相手というそうだ。私は君がそうだと思っている」
「運命の相手...」
「病院で診断を受けるまで確かなことは言えないのだが」
その様なものが本当にあるのか。
病院は行こうと思っていたから行くのがはやくなっただけと思えばいい。
今車でこの人と2人きりということが問題だ。
「叶社長はアルファですよね。その、キツくないですか?」
襲われたら困る。
携帯でいつでも警察に通報できる様にしておこう。
親切心か下心があるのかなんて分からないのだから。
「正直、フェロモンの匂いに耐えている。信用して欲しいと言いたいところだが、何か起こりそうになったら蹴ってでも逃げてくれ」
そこまで言ってくれるなんて、悪い人ではないのかもしれない。
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