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4篇目タイトル【蘇生の回廊】
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「えぇ? 変なことを聞きますね?」
「うん、古い建物みたいだから歴史的興味があるの」
淳平が奇妙に思って聞くとごもっともな返事。千春とお近づきになることが目的だった彼にとっては、歴史の勉強は二の次だった。正直に言えば、高校で習う歴史だってほとんど身につけていないレベルだろう。
ちなみに、大学での専攻は語学で英語。
「えーと、洋風っぽいんですがちょっと風変わりでしたね。何か映画で見たことがあるような模様とかがありました」
淳平には、別荘の建築様式を判別するだけの知識がなかった。
「後、外観とは関係ないですが鳴き声のようなものが」
「なるほど。まぁ、行って見ないとわからないかぁ」
まだ昼間だったこともあり、鳥の鳴き声か風の音だろうと無視したが、不可解なことはいくつかあった。別荘にも何か曰くがある
「おーい、何やってんだー」
せっかく話せていたというのに、行雄が二人を呼んだせいでそちらへ行かなければならなくなる。
「今行くよー」
「……ごめんなさい」
残念とは思いつつも、置いてけぼりも嫌だったため足を早めた。
駅からバスで少し市街地へ出て山道を登れば、目的の別荘が見えてくる。乗り物を乗り継いできたものの、夏の暑さは徐々にサークルメンバーの体力を削っていた。
そこで整えられた森林に姿を表した別荘は希望のように思える。
「ふぅ、二度目だけどなんだかんだで疲れますな」
淳平の友達である福田 真吾がヒョロッとした体を汗に濡らして、苦しげに言う。鳴くセミの声にさえかき消されてしまいそうなほどだ。とは言え、蟲のざわめきがなければかすかに聞こえる低い唸り声の如き音色が気になっていただろう。
「まぁ、こないだは雨が降る前だったからなぁ。ホント、避暑地ってなんだよ」
行雄の言う通り、以前に比べて暑さは激しくサークルメンバーを苛んでくる。
「地球温暖化止まれ~」
「言ってても仕方ねぇよ。到着したら少しぐらい涼めるさ」
彼氏に同調して恵理も世の歪みについてぼやく。そうしていても暑さは収まってくれないので、6人は別荘へと急いだ。
それなりに整理された細道を可能な限り早足に進む。
「ついた!」
「はぁ~~」
「やだぁ、化粧落ちちゃうぅ」
「もう死にそう……」
「早く中に入ろうよ」
「これは」
別荘にたどり着いた6人は口々に言う。康一はポケットから鍵を取り出して解錠しだす。
淳平と真吾はすでに冷房の利いた我が家を名残惜しんでいる。恵理はポシェットから汗取りシートを探しだそうとする。千春の言う通り、早く入らなえれば皆が溶けてしまいそうだ。奈々だけは、何が興味深いのか暑さを忘れて別荘の外観に釘付けである。
「うん、古い建物みたいだから歴史的興味があるの」
淳平が奇妙に思って聞くとごもっともな返事。千春とお近づきになることが目的だった彼にとっては、歴史の勉強は二の次だった。正直に言えば、高校で習う歴史だってほとんど身につけていないレベルだろう。
ちなみに、大学での専攻は語学で英語。
「えーと、洋風っぽいんですがちょっと風変わりでしたね。何か映画で見たことがあるような模様とかがありました」
淳平には、別荘の建築様式を判別するだけの知識がなかった。
「後、外観とは関係ないですが鳴き声のようなものが」
「なるほど。まぁ、行って見ないとわからないかぁ」
まだ昼間だったこともあり、鳥の鳴き声か風の音だろうと無視したが、不可解なことはいくつかあった。別荘にも何か曰くがある
「おーい、何やってんだー」
せっかく話せていたというのに、行雄が二人を呼んだせいでそちらへ行かなければならなくなる。
「今行くよー」
「……ごめんなさい」
残念とは思いつつも、置いてけぼりも嫌だったため足を早めた。
駅からバスで少し市街地へ出て山道を登れば、目的の別荘が見えてくる。乗り物を乗り継いできたものの、夏の暑さは徐々にサークルメンバーの体力を削っていた。
そこで整えられた森林に姿を表した別荘は希望のように思える。
「ふぅ、二度目だけどなんだかんだで疲れますな」
淳平の友達である福田 真吾がヒョロッとした体を汗に濡らして、苦しげに言う。鳴くセミの声にさえかき消されてしまいそうなほどだ。とは言え、蟲のざわめきがなければかすかに聞こえる低い唸り声の如き音色が気になっていただろう。
「まぁ、こないだは雨が降る前だったからなぁ。ホント、避暑地ってなんだよ」
行雄の言う通り、以前に比べて暑さは激しくサークルメンバーを苛んでくる。
「地球温暖化止まれ~」
「言ってても仕方ねぇよ。到着したら少しぐらい涼めるさ」
彼氏に同調して恵理も世の歪みについてぼやく。そうしていても暑さは収まってくれないので、6人は別荘へと急いだ。
それなりに整理された細道を可能な限り早足に進む。
「ついた!」
「はぁ~~」
「やだぁ、化粧落ちちゃうぅ」
「もう死にそう……」
「早く中に入ろうよ」
「これは」
別荘にたどり着いた6人は口々に言う。康一はポケットから鍵を取り出して解錠しだす。
淳平と真吾はすでに冷房の利いた我が家を名残惜しんでいる。恵理はポシェットから汗取りシートを探しだそうとする。千春の言う通り、早く入らなえれば皆が溶けてしまいそうだ。奈々だけは、何が興味深いのか暑さを忘れて別荘の外観に釘付けである。
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