ホラー短編集【キグルミ】

AAKI

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4篇目タイトル【蘇生の回廊】

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 いずれにせよ、何かしてみないことには始まらない。

「ん?」

 部屋の方へ行こうとしたところで、白骨死体の側に薄汚れた手帳があるのを発見した。何か情報がないかと考え手を伸ばす真吾。

「おいおい、バッチィだろ……」
「よくそんなの触れるよねぇ」

 さすがに何で汚れているかわからず、行雄と恵理はこれを探っていないようだ。
 すでにパリパリに乾いてしまっているので、もはや気にしてもしかたないと考えた。赤黒いもので汚れていたり破けてもいるのでほとんど読めないが、石井という人物の手帳らしい。

「別荘を建てた人だったか? えーと」

 読めるところだけを掻い摘むと、次のようになった。

「妻が死んだ。生き返らせる方法を、最後と決めたエジプトでの仕事の際に見つけた」
「おいおい、そんなことに巻き込まれてたのかよオレたち……」

 誰もが抱く感想を行雄が言った。ただ、ここまでは予想できていたことだ。

「蘇生の神の遺骸は持ち帰ることに成功した。古の書によれば、まずかの者を復活させなければならないらしい。妻は神とともに戻ってくる」
「なんだろ。私たちが生贄じゃなかったら、仕方ないと思っちゃってたかも」

 石井という人物の悲痛な思いに触れて、恵理は少し同情的だ。

「儀式用の別荘が、ボンボン息子のおかげで完成した。妻の亡骸は地下に安置しておく。ヤツの命一つで足りなければ、知り合いの誰かは手伝ってくれるだろう……犠牲者を心配するくらいの気遣いがあったら、少しぐらいはな」

 いかに石井という男がゲスだったのかを理解したところで、真吾は手帳を投げ捨てて歩き出す。
 むかっ腹が立つが、それでも百年近く奥さんを復活させられなかったというのであれば、バチが当たったと言えるのかもしれない。

「ヒドい有様じゃん」

 いつの間にやら部屋の方までやってくると、扉に張り付いた傷跡を見て真吾は恐怖を感じた。

「後一回、耐えられるかどうかって感じだろ」
「やばかったんだから……」

 その光景を目の前にした行雄たちにしてみれば、想像する以上のものだっただろう。

「とりあえず何かバリケードにしよう。ベッドくらいか」

 それほど高級そうには見えない量産品っぽいものでどれほど防げるかわからなかったが、ないよりはマシと考えてベッドを扉に立て掛けた。

「よし、レバーは」
「この中」

 真吾が周囲を見回すと、サボっていた恵理が壁にかけられた肉食獣っぽいものの顔面の剥製を差す。大口を開いた中にレバーがあるようだ。

「オッケー、こっちの準備は良いよ」
「よし!」

 バリケードは用意できたので、レバーを動かすよう恵理に指示を出した。
 だからといってノータイムで下ろすのはなしだ。
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