忠犬男子が懐きすぎて異世界までついてきた「件」

竜弥

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第5章 神の器の奮闘記 ~スカイリンク封印編~

第63話 雨を呼ぶ秘密を探れ

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 ナメクジをデカくしたような形。体が透き通ってて中で黄色い光がシュワシュワしてやがる。

「でも、キモイってよりレモンソーダみたいで綺麗っすね」

 半透明のそれは確かに炭酸飲料。コイツ美味いって分かったらストロー突っ込んで飲みそうだ。

「ああ、でもだからって飲むなよ?玄太!」

 俺たちが身構えた次の瞬間、ぴちゃりと水音を立ててそれは前足を踏み出した。

「来るぞ!構えろ!」

 俺たちは一斉に腰を落とす。でもこいつが何をしてくるか全く想像できない!

「ん?」

 黄色いシュワシュワが集まったぞ?なんて思ったら次の瞬間!ブオオオオッ!っと、怪物の口から、火の玉みたいなのが吐き出した!

「はぁぁ!?」
「てんぱい、危なっ!」

 反射的にブルーストライクを構える。

「天貴!?」

 火が触れた瞬間、ぎゅるるる…と何かを吸い込むような音。スコップの表面が黄色く変色した!

「なっ、これ!?火ぃ吸った!?」

 思わず手を離しそうになるけど、スコップは確かに火を取り込んでた。

「てんぱい、それ、ほんとに吸ってます!やばっ!」
「まさかこれが…エレメタルの真骨頂ってやつかよ!」

「しゃべってる暇ない!今が攻撃のチャンスよ!」

 アリスが叫び、矢を放つ。矢は見事に怪物の目元をかすめて視界を塞ぐ。その隙を逃さず、玄太が壁の突起にロープを巻きつけた。

「この岩!てんぱい、ここ崩せば上から潰せるっす!」
「任せろォォォ!」

 俺はスコップを振りかぶり、根元めがけて一撃。

 ガキィン!灼熱?を吸ったブルーストライクが、岩をザクリとえぐった!

「よっしゃ!剥がれそう!」

 玄太もロープを引いてグググッと壁を引っ張る。

「おらああああああっ!!」

 バキ……バキバキバキッ!

 岩盤が裂け、轟音とともに巨大な岩が異形を押し潰した。

「アリス、トドメ!」
「任せて!」

 アリスの指先で矢が一瞬だけ光を放ち、電撃のような音と共に放たれる。

 ──ズガァァン!!

 雷のごとき矢が怪物の脳のような濃い部分を貫いた。

 ……しーん。動かない。崩れた岩の中から、もうやつの呻めきは聞こえてこなかった。

「…倒した?」
「や、やった…!」

「すごい武器じゃない!」
「…うん。これの性能、リアルで初めて知ったな」

 スコップを腰に戻して先に進もうかと思ったけど、玄太がしゃがんで何か見てる。

「ん!どうした玄太!?」
「なんか、ここキラキラしてるんすよ」

 玄太が瓦礫の隙間を覗き込み、ぬるりとした何かを指差した。

「…うわ、ドゥルドゥルじゃん。でも確かにこのキラキラ、なんだ?」

 俺たちもその場に駆け寄る。岩の間に埋まるようにして、透き通るような藍色の石が、淡く光っていた。

「…これ、宝石か?あいつが飲み込んでたとか」

 俺が言うと、アリスがそっと石に手を伸ばす。

「…ううん、違う。これ鉱物じゃない」
「でも、宝石っぽいっすよ?」

「うん。なんか、ちょっとだけ思い出したかも。行きましょ!先に進みながら話すわ!」

 こうして俺たちは深部に向かってさらに進みだした。


 *****

 深くなるにつれて、水色っぽかった岩肌もだんだん濃い青色になってきた。

「昔読んだのよね、宝石のような核を持つ魔物の記述」
「核?」

 アリスの話はこうだ。

 基本的にマナってのは人間特有のモノ。でも、あんな感じで核を持つ魔物は特殊で、マナを備えているらしい。

「ドラゴン族や精霊族以外で核を持つ魔物はそう多くないの」
「じゃあ、こいつこう見えて結構珍しいモンスターなんすね」

 アニメじゃあるまいし、火の玉飛ばしてくる人外がその辺にいたら確かにシャレになんねえ。

「アイツ、ひょっとして精霊の亜種なのかも。イナビカリとかカザトモリとか、あと…アメフラシ」
「アメフラシ?」

 俺と玄太が同時に声を上げた。

「うん。正式な分類名は忘れたけど、確かそんな通称の魔物がいたの。湿度と魔力を食べてじわじわ成長していくタイプ……」

 アリスは手についた核の破片を見つめる。

「湿度が餌なんすね」
「うん。アメフラシにとって水場は生存に必要なものね」

 ってことは、核をもつアイツが餌を呼び寄せてるって事は?

「ねえ、てんぱい。アメフラシの核、怪しくないっすか?」
「うん、めちゃくちゃ怪しい」

 雨呼びの石と呼ばれる、あの青い宝石。あれ、アメフラシの核を集めたやつだったりして。

「それ、確かにあり得るわね。石って言うから鉱石とばかり思ってたけど」

 アリスが真剣な顔でうなずく。その様子を見て、俺は思わずごくりと唾を飲み込んだ。

 つまり、これからの調査は、あのヌルヌル変異体とまた対面するってことか。あの不快の極みを、こっちから探しに行く…? 

(はぁ、まじかよ!)

 でも二人とも俺のためにやってくれてるんだし、ため息はついちゃだめだよな。

「一歩近付いたのはいいけど、そうなるとあいつを狩る冒険になりそうだな」

 思わず顔をしかめた俺に、玄太が明るく拳を突き上げた。

「じゃ、雨呼び調査隊じゃなくて、アメフラシ討伐隊っすね!」
「…やけにノリノリだなお前」

 湿気に満ちた空間の奥で、どこか水の音が響いている。嫌な予感とともに、俺たちは更に深部へと足を踏み入れて行った。
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