52 / 270
第6章 軍事都市リーベン編
601.軍事都市リーベン
しおりを挟む
私達は、無事に軍事都市リーベンにたどり着いた。
「お世話になりました。私は、この街で、商店を経営しているアキーラと言います。良ければ、私の店に寄ってください。お礼もしたいので」
「すみません。先を急いでいるので、また、機会があれば、寄らせてもらいます」
「そうですか。本当にありがとうございました」
私達は、商人のアキーラと別れた。私達は、ベルーナ大佐のいる基地に向かった。そして、基地の近くの人目に付かない所に転移魔法用の魔法陣を描き、闇魔法の結界で、隠した。
基地の出入口には、複数の兵士が立っていた。
「すみません。ベルーナ大佐に会いに来ました。これが紹介状です」
「少し、お待ちください」
係の兵士は、受付用の部屋に入り、連絡を取っている。
「確認できました。念のため、何か個人を証明できるものをお持ちでしょうか」
「商業IDですが、これで、いいですか?」
「はい、結構です。隣にいるのは、あなたの従魔ですね」
「はい、そうです」
「それでは、このまま、真っ直ぐに行って、そこの建物の入り口に立っている兵士に紹介状をお見せ下さい」
「ありがとうございました」
私達は、真っ直ぐに進み、大きな建物の前の兵士に紹介状を見せた。すると、別の兵士がやってきて、私達をベルーナ大佐の部屋まで、案内してくれた。
「こんにちは。商人のテラです。この度は、お招き頂き、ありがとうございます」
「良く来られた。何もないが、寛いでください」
「ありがとうございます」
私達は、ソファに座った。暫くすると、一人の兵士がお茶とお菓子を持ってきてくれた。
「さあ、遠慮せずに頂いてください」
「すみません。頂きます」
「この基地は、ソーロン帝国随一の基地で、それ故、この街は軍事都市リーベンと呼ばれています。
特に、魔導兵士の育成と、神具・魔道具の研究に力を入れています」
「そうですか。どちらも、興味があります」
「そうですか。テラさんには、お世話になっていますので、出来る限り、お見せしましょう」
「えっ、いいんですか。嬉しいです」
「それじゃ、行きましょうか」
私達は、ベルーナ大佐に案内されて、魔導兵士の講義や演習を見て回った。
「凄いですね。少し、聞いてもいいですか?」
「何か、質問ですか?テラさん、熱心ですね。
基地の見学は、口実ではなかったのですか?」
「いいえ、本当に見たかったのです。
どちらかというと、商売は、二の次です。
質問ですが、魔法学院との違いを教えて貰えたら、ありがたいです」
「一番の違いは、実践を想定して、すべて、行っている点ですね。
例えば、同じ魔法を起動するとしても、色んな環境で、行っています。
極寒の部屋で、実施したり、格闘中に起動したり、ですね」
「そうですか。実践重視ということですね」
「はい、そうです。ですから、魔導兵士は、格闘技も必須科目です」
「なるほど、よく分かりました」
「それでは、神具・魔道具の研究所を見ますか?時間は、大丈夫ですか?」
「はい、見えてください」
「それでは、付いて来て下さい」
「はい」
私達は、地下にある研究室を見せて貰った。
「魔方陣の研究は、余りやられていないのですか?」
「すみません。私は、軍人なので、研究の方は、よく知らないのです」
「そうですか。すみませんでした」
「いえ、こちらこそ。次回、連絡して貰えれば、説明ができる者を手配しておきますよ」
「そうですか。暫くは、この街に滞在していますので、お願いします」
「分かりました。連絡は、どのようにすればいいですか?」
「こちらから、ベルーナ大佐に連絡を入れます。先日のセーロンと同じ方法で、いいですか?」
「いいですよ。連絡を、お待ちしています。
部下に、商業ギルドまで、案内させましょうか?」
「ありがたいですが、ゆっくりと、街を見ながら、行きます」
「そうですか、それでは、後日、また、会いましょう」
「はい、それでは、失礼します」
私達は、色々な店を見ながら、商業ギルドへ向かった。街の中には、至る所に軍人が居り、さすがに軍事都市と言われるだけある。このソーロン帝国では、他の街でも同じように、軍人が管理をしているのだろう。
よく見てみると、軍人が兵士の代わりに治安の維持も行っているようだ。この国では、ひょっとすると、すべて、軍人かも。そういえば、神官を見ていない気がする。
漸く、商業ギルドに着いた。建物も、何だか基地のように見えるのは、気のせいだろうか。
「すみません。商業ギルドに登録したいのですが、よろしいでしょうか」
係員が一人、こちらに来てくれた。
「はい、私が、承ります。私は、ナツといいます」
「私は、ヘノイ王国のブューラナという商業都市から来ました。商人のテラです。
こちらは、私の従魔のスピアと言います」
「分かりました。念のため、商業IDを見せてください」
「はい、これです」
ナツは、私の商業IDを確認した。
「結構です。それでは、御用件をお伺いいたします」
「この街に私どもの支店を出したいと考えております」
「そうですか。それで、どのような商品を売るのでしょうか。
実は、他の国の商業ギルドとは、少し、異なる部分があるので、お聞きしているのです」
「ポーションや、アイテムボックスを考えております」
「すみません。それらは、扱うことができません。
それらの商品は、軍が管理しており、商業ギルドでは、扱うことが出来ないのです」
「そうですか。それでは、どうすればいいのですか?」
「そのような商品の場合は、軍と契約を結ぶ必要があります。
そして、その契約は、当然、商業ギルドは、感知しておりません」
「軍と契約ですか。それで、販売は、どこでするのですか?」
「軍の経営している店でのみ販売が出来ます。ですから、支店は不要です」
「支店だけでも確保して、販売する商品は、今後検討するということは、できますか?」
「商品なしで、店を持つのですか?」
「はい、そうです」
「テラ様には、メリットがありませんよ。無駄な投資になるかと」
「先行投資なので、構いません」
「それでは、どのような店舗をお望みですか?」
私達は、ナツと店の間取り等の条件を確認しながら、店を決めた。取り敢えず、3カ月借りることにした。商品を至急考えないといけない。何が、売ってもいいのかも、詳しく聞かないとだめだな。
このナツは、余り親切ではなさそうだ。別の人と、懇意になった方がよさそうだ。
「お世話になりました。私は、この街で、商店を経営しているアキーラと言います。良ければ、私の店に寄ってください。お礼もしたいので」
「すみません。先を急いでいるので、また、機会があれば、寄らせてもらいます」
「そうですか。本当にありがとうございました」
私達は、商人のアキーラと別れた。私達は、ベルーナ大佐のいる基地に向かった。そして、基地の近くの人目に付かない所に転移魔法用の魔法陣を描き、闇魔法の結界で、隠した。
基地の出入口には、複数の兵士が立っていた。
「すみません。ベルーナ大佐に会いに来ました。これが紹介状です」
「少し、お待ちください」
係の兵士は、受付用の部屋に入り、連絡を取っている。
「確認できました。念のため、何か個人を証明できるものをお持ちでしょうか」
「商業IDですが、これで、いいですか?」
「はい、結構です。隣にいるのは、あなたの従魔ですね」
「はい、そうです」
「それでは、このまま、真っ直ぐに行って、そこの建物の入り口に立っている兵士に紹介状をお見せ下さい」
「ありがとうございました」
私達は、真っ直ぐに進み、大きな建物の前の兵士に紹介状を見せた。すると、別の兵士がやってきて、私達をベルーナ大佐の部屋まで、案内してくれた。
「こんにちは。商人のテラです。この度は、お招き頂き、ありがとうございます」
「良く来られた。何もないが、寛いでください」
「ありがとうございます」
私達は、ソファに座った。暫くすると、一人の兵士がお茶とお菓子を持ってきてくれた。
「さあ、遠慮せずに頂いてください」
「すみません。頂きます」
「この基地は、ソーロン帝国随一の基地で、それ故、この街は軍事都市リーベンと呼ばれています。
特に、魔導兵士の育成と、神具・魔道具の研究に力を入れています」
「そうですか。どちらも、興味があります」
「そうですか。テラさんには、お世話になっていますので、出来る限り、お見せしましょう」
「えっ、いいんですか。嬉しいです」
「それじゃ、行きましょうか」
私達は、ベルーナ大佐に案内されて、魔導兵士の講義や演習を見て回った。
「凄いですね。少し、聞いてもいいですか?」
「何か、質問ですか?テラさん、熱心ですね。
基地の見学は、口実ではなかったのですか?」
「いいえ、本当に見たかったのです。
どちらかというと、商売は、二の次です。
質問ですが、魔法学院との違いを教えて貰えたら、ありがたいです」
「一番の違いは、実践を想定して、すべて、行っている点ですね。
例えば、同じ魔法を起動するとしても、色んな環境で、行っています。
極寒の部屋で、実施したり、格闘中に起動したり、ですね」
「そうですか。実践重視ということですね」
「はい、そうです。ですから、魔導兵士は、格闘技も必須科目です」
「なるほど、よく分かりました」
「それでは、神具・魔道具の研究所を見ますか?時間は、大丈夫ですか?」
「はい、見えてください」
「それでは、付いて来て下さい」
「はい」
私達は、地下にある研究室を見せて貰った。
「魔方陣の研究は、余りやられていないのですか?」
「すみません。私は、軍人なので、研究の方は、よく知らないのです」
「そうですか。すみませんでした」
「いえ、こちらこそ。次回、連絡して貰えれば、説明ができる者を手配しておきますよ」
「そうですか。暫くは、この街に滞在していますので、お願いします」
「分かりました。連絡は、どのようにすればいいですか?」
「こちらから、ベルーナ大佐に連絡を入れます。先日のセーロンと同じ方法で、いいですか?」
「いいですよ。連絡を、お待ちしています。
部下に、商業ギルドまで、案内させましょうか?」
「ありがたいですが、ゆっくりと、街を見ながら、行きます」
「そうですか、それでは、後日、また、会いましょう」
「はい、それでは、失礼します」
私達は、色々な店を見ながら、商業ギルドへ向かった。街の中には、至る所に軍人が居り、さすがに軍事都市と言われるだけある。このソーロン帝国では、他の街でも同じように、軍人が管理をしているのだろう。
よく見てみると、軍人が兵士の代わりに治安の維持も行っているようだ。この国では、ひょっとすると、すべて、軍人かも。そういえば、神官を見ていない気がする。
漸く、商業ギルドに着いた。建物も、何だか基地のように見えるのは、気のせいだろうか。
「すみません。商業ギルドに登録したいのですが、よろしいでしょうか」
係員が一人、こちらに来てくれた。
「はい、私が、承ります。私は、ナツといいます」
「私は、ヘノイ王国のブューラナという商業都市から来ました。商人のテラです。
こちらは、私の従魔のスピアと言います」
「分かりました。念のため、商業IDを見せてください」
「はい、これです」
ナツは、私の商業IDを確認した。
「結構です。それでは、御用件をお伺いいたします」
「この街に私どもの支店を出したいと考えております」
「そうですか。それで、どのような商品を売るのでしょうか。
実は、他の国の商業ギルドとは、少し、異なる部分があるので、お聞きしているのです」
「ポーションや、アイテムボックスを考えております」
「すみません。それらは、扱うことができません。
それらの商品は、軍が管理しており、商業ギルドでは、扱うことが出来ないのです」
「そうですか。それでは、どうすればいいのですか?」
「そのような商品の場合は、軍と契約を結ぶ必要があります。
そして、その契約は、当然、商業ギルドは、感知しておりません」
「軍と契約ですか。それで、販売は、どこでするのですか?」
「軍の経営している店でのみ販売が出来ます。ですから、支店は不要です」
「支店だけでも確保して、販売する商品は、今後検討するということは、できますか?」
「商品なしで、店を持つのですか?」
「はい、そうです」
「テラ様には、メリットがありませんよ。無駄な投資になるかと」
「先行投資なので、構いません」
「それでは、どのような店舗をお望みですか?」
私達は、ナツと店の間取り等の条件を確認しながら、店を決めた。取り敢えず、3カ月借りることにした。商品を至急考えないといけない。何が、売ってもいいのかも、詳しく聞かないとだめだな。
このナツは、余り親切ではなさそうだ。別の人と、懇意になった方がよさそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~
枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。
同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。
仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。
─────────────
※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。
※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。
※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。
敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。
結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。
だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。
「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」
謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。
少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。
これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。
【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】
ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~
ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。
絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。
彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。
営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。
「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」
転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。
だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。
ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。
周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。
「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」
戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。
現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。
「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」
これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる