錬金術師の召喚魔法 ゴーレム擬きで世界征服?

無似死可

文字の大きさ
70 / 270
 第8章 ヤガータ国編

801.ヤガータ国へ

しおりを挟む
 私は、以前行ったフラン連合国について、ある噂を聞いた。それは、連合国の中で、一番貧しく、特別な特産品もないヤガータ国についてだ。どうも、ヤガータ国は、借金だらけで、国王は国を捨てて逃げるのじゃないかって、信じられないような噂だ。

 しかも、この噂は、どうも、ヤガータ国の国王自ら広めているって、噂まで、流れている。

 私は、俄かには、信じられないが、面白そうなので、行ってみることにした。ヤガータ国は、フラン連合国の中でも、辺鄙な所にある国で、最も東北の位置にある。面積も、街一つだけのとても小さな国だ。その唯一の街の名は、都市デンロンだ。

 私は、転移魔法で、イーデン王国の都市ロンデンに移動した。
 
 そこから、フークシ国の都市モカオリを経由して、 ミーヤ国の都市イキシに入り、北に行った所にあるヤガータ国の都市デンロンに入れる。

 今回は、ロンデンの街には、用事がないので、そのまま、フークシ国に入った。この国は、工業が発展している国で、都市モカオリは、工場が立ち並んでいる。

 工場での生産には興味があるが、今は、ヤガータ国へ行きたいので、素通りすることにした。

 次は、ミーヤ国だが、ここは、大きな港があり、貿易船が行き来している。船に乗り、他の大陸に行ったり、他の国の港との交易が盛んに行われている。他の大陸の話など、非常に興味があるが、今は、我慢だ。

 私は、やっと、ヤガータ国に入国した。この国は、特に目立った産業もなく、観光場所も目立たない、何もない国だ。街も、デンロンという名ばかりの街しかない。

 本当に、これが街か、と疑いたくなるような街で、村と呼んだ方がぴったりする。

 私は、無駄と思いつつ、商業ギルドに向かった。商業ギルドは、小さな建物で、普通の民家と間違いそうな外観だった。

 「すみません。誰か、居ませんか?」

 商業ギルドの建物の中に入ったが、誰もいない。小さなカウンターがあるだけだ。客も店員も、誰もいない。

 私は、もう一度大きな声で、叫んだ。

 「誰か、居ませんか」

 「おぉ、少し、待ってくれんかのぉ」

 奥の方から、老人の声がした。ゆっくりと、歩いてくるようだ。

 「これは、これは、珍しい。お主は、客か?」

 「お爺さん、他に誰か、居ませんか?」

 私は、また、大きな声で、叫んだ。

 「わしだけじゃよ。何か、用か?」

 「この街で、店を開きたいの」

 「止めとけ、この国は、もうすぐ、無くなる」

 「国が潰れる事ってあるの?」

 「そりゃ、あるよ。借金が返せなくなったらな」

 「なぜ、国王は借金したの?」

 「仕方がなかったんだ。国民を救うためにはな」

 「何があったの?」

 「お主は、暇なのか?」

 「はい、暇です」

 「そうか、なら、ゆっくりと、話そうかな」

 お爺さんは、商業ギルドと冒険者ギルドの両方のギルド長で、唯一の商人兼冒険者だ、と本人が言っている。でも、かなり、痴呆が入っているので、本当かどうか、わからない。

 でも、ギルド長って言うことは本当みたいだ。IDを見せて貰ったので、多分、大丈夫だ。

 お爺さんの話では、この国は災害に見舞われ、国民の大半が生活苦に陥ったらしい。

 そこで、国王が、他国から、多額の借金をして、食べ物や生活必需品を買って、国民に無償で配ったそうだ。その後、国民が頑張って、国を立て直して貰えると思っていたが、国民の大半が他国に移住してしまった。そのため、借金だけが残ってしまったそうだ。しかも、国民は、その後も減る一方で、国の再建どころでは、無くなってしまった。

 現在は、国民が約2万人にまで、減ってしまったらしい。その国民も、いつ他国に移住するかわからないそうだ。

 私は、王宮に行って、話を聞くことにした。王宮への門の前には、兵士も、誰もいなかった。

 勝手に中に入れる状態だった。そこで、私も、何も気にせずに中に入っていった。

 暫く、歩いていると、謁見の間があった。中に入ると、王座に誰か、座っていた。

 「すみません。少し、話をしてもいいですか?」

 「もっと、近くに寄れ。聞こえにくい」

 「はい、ただいま。
 これで、いいですか?」

 「あぁ、いいよ。それで、どのような話だね」

 「王様ですか?」

 「そうだよ。私が、王のウェーリィだ」

 「これは、お初にお目にかかります。私は、商人のテラと言います」

 「そうか、テラか。どこから来たのだ」

 「私は、ヘノイ王国の商業都市ブューラナからやってきました」

 「ほう、遠路はるばる、ここまで、来たのだな」

 「はい、ヤガータ国が困っていると聞いて、やってきました」

 「確かに、ヤガータ国は、困っている」

 「どれほど、困っているのですか?」

 「そうじゃな、この国を捨てて、逃げたいほどじゃ」

 「国王が逃げるとどうなるのですか?この国は」

 「さて、わしにも分からん。どうなるのかな?」

 「どうすれは、逃げずに済むのですか?」

 「まあ、無理な話だが、借金を返せたら、逃げずにすむかな?」

 「どこに、どれほどの、借金を作ったのですか。それから、支払期限は、何時ですか?」

 「やけに、詳しく聞くな。まあ、話のついでか。話してやろう」

 ウェーリィ王の話では、元々は、この国には、10万人もの国民が居たそうだ。それが、今は、老人や子供が中心で、2万人にまで、減ってしまったそうだ。

 借金は、災害の時に他国から借りたそうだが、国民1人が半年暮らせるだけの金額をフラン連合国
の6つの国から、借りたそうだ。1人が1月生活するのに、金貨10枚あれば、ギリギリ生活できる。
 
 したがって、金貨10枚×6×10万人=金貨600万枚借りたことになる。しかし、金利が月10%と高利のため、今では、金貨約1億枚の借金になってしまったらしい。

 いくつかの国は、もう暫く待ってくれると言っているが、ミヤーコ王国だけが、待てないと言っているらしい。来月には、全額返納するように通達を送って来たという。

 ミヤーコ王国は、金貨300万枚と、もっとも、多額の金貨を融通して 貰っている。従って、約5000万枚の金貨を来月までに返納しなければならない。

 もし、返せなかったら、国ごとミヤーコ王国の属国となってしまう。国民は、すべて、奴隷となるという。

 私は、今、いくら持っているのか分からないので、思念伝達で、リンダに聞いてみた。

 「テラです。リンダに聞きたいことがあるんだけど、今、いい?」

 「はい、リンダです。テラ、どんなこと?」

 「今すぐに、使える金貨って、何枚あるの?」

 「今すぐですか。それなら、金貨1億枚ぐらいですね。もう少し、時間があれば、もっと使えますよ」

 「ありがとう。取り敢えず、その金貨1億枚を用意しておいてくれる」

 「はい、わかりました。明日、テラの商業IDに入れておきます」

 「ありがとう。また、連絡します」

 私は、ウェーリィ王に、お金を用立てできると伝えた。

 「テラよ。本当に良いのじゃな」

 「はい、いいですよ。ミヤーコ王国に、全額返納すると、伝えてください」

 「感謝する。早速、伝えるよ」

 私は、暫く王宮に寝泊りすることになった。お陰で、ウェーリィ王の話し相手を数日する羽目になった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

まず、後宮に入れませんっ! ~悪役令嬢として他の国に嫁がされましたが、何故か荷物から勇者の剣が出てきたので、魔王を倒しに行くことになりました

菱沼あゆ
ファンタジー
 妹の婚約者を狙う悪女だと罵られ、国を追い出された王女フェリシア。  残忍で好色だと評判のトレラント王のもとに嫁ぐことになるが。  何故か、輿入れの荷物の中には、勇者の剣が入っていた。  後宮にも入れず、魔王を倒しに行くことになったフェリシアは――。 (小説家になろうでも掲載しています)

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

事務仕事しかできない無能?いいえ、空間支配スキルです。~勇者パーティの事務員として整理整頓していたら、いつの間にか銅像が立っていました~

水月
恋愛
「在庫整理しかできない無能は不要だ」 第一王子から、晩餐会の場で婚約破棄と国外追放を告げられた公爵令嬢ユズハ。 彼女のギフト【在庫整理】は、荷物の整理しかできないハズレスキルだと蔑まれていた。 だが、彼女は知っていた。 その真価は、指定空間内のあらゆる物質の最適化であることを。 追放先で出会った要領の悪い勇者パーティに対し、ユズハは事務的に、かつ冷徹に最適化を開始する。 「勇者様、右腕の筋肉配置を効率化しました」 「魔王の心臓、少し左にずらしておきましたね」 戦場を、兵站を、さらには魔王の命までをも在庫として処理し続けた結果、彼女はいつしか魔王討伐勇者パーティの一人として、威圧感溢れる銅像にまでなってしまう。 効率を愛する事務屋令嬢は、自分を捨てた国を不良債権として切り捨て、再出発する。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

処理中です...