【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

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第63話 リア充空間

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ハウスの裏手に回ると女子学生が数人いて、食事の支度をしているようだった。
彼女らは米村さんの姿を確認するなり、
「あ、おかえりなさい米村先輩っ!」
「米村先輩、お疲れ様ですっ」
「お疲れ様でーすっ」
米村さんに頭を下げ挨拶をする。

「いい匂いだね。今日の朝ご飯は何かな?」
「ビーフシチューですっ」
大きな鍋をかき回していた女子学生が元気よく答えた。

「へー、美味しそうだね。今から楽しみだよ」
「期待していてくださいねっ。あたし、ビーフシチューだけは自信あるんでっ」
「はははっ、期待しているよ」

な、なんだこのリア充空間は……。
爽やかな朝の会話。額から輝かんばかりの汗を流して料理をしている女子学生たち。そしてその様子を見守る超絶イケメンの米村さん。
俺、場違いなんじゃ……?

するとそこで、
「あの米村先輩、そっちの人は、もしかして……?」
女子学生の一人が俺に目を向けた。
俺は思わず目をそらす。

「うん、彼は柴木善くんだよ。さっきそこで偶然会ってね、助けてもらったんだ」
と米村さんは言った。
いやいや、どちらかというと助けてもらったのは俺の方なのでは。
米村さんが深町たちを追い払ってくれたわけだし。
だが俺は女子学生たちの目が気になり、口を挟むことが出来なかった。

「わぁ、やっぱり柴木さんなんですねっ。すごい、本物だっ」
「えっ、嘘、柴木さん本人っ?」
「ほんとだ、柴木くんじゃん! 写真で見るよりイケメンかもっ」

女子学生たちは俺が柴木だとわかると、料理をしていた手を止め近寄ってくる。
そして俺の周りを囲んで質問攻めにしてきた。
この時の俺は完全にテンパっていたので、目の焦点が定まらずただ口を開けあわあわしていたことだろう。
我ながらみっともない。

「こらこら、善くんが困っているよ。きみたちは料理を続けて、僕は善くんと一緒に行くところがあるからさ」
「「「はーい!」」」
米村さんの言葉を受けて素直に料理を再開する女子学生たち。

「ふぅ……」

米村さんのフォローのおかげでなんとか俺は平常心を取り戻すことが出来た。
だがそれも束の間、
「ん? 米村先輩、そこにいるのってもしかしてモンスターじゃないですかっ?」
女子学生のその一言で場が一気に荒れる。

「きゃあーっ、モンスターっ!?」
「いやぁーっ!!」
「怖い、来ないでぇーっ!」

まるでホラー映画ばりに女子学生たちは悲鳴を上げた。
その金切り声を聞きつけてどこからか男子学生たちが駆けつけてきた。

「何があったっ!」
「モンスターだってっ? どこにいるっ!」
「米村先輩、大丈夫ですかっ! おい、女子たちはおれたちの後ろに隠れるんだっ!」

女子学生たちにいいところを見せたいという思いもあってか、男子学生たちはいきり立っている。
そんな男子学生と怯える女子学生たちに米村さんは、
「みんな落ち着いて。大丈夫、このメタムンくんはモンスターだけど、敵じゃないから」
ゆっくりと諭すように語りかけた。

するとどうだろう、さっきまでのパニック状態が嘘のようにみんな静かになる。
そしてメタムンをまじまじと見て一人の女子学生がこう言った。
「あ、よく見るとこのスライム可愛いかも~っ」と。

……俺はまたしても米村さんに助けられてしまったようだ。
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