両片思いの幼馴染

kouta

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初デート編

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 その後、イルカショーを見に行くまでの道中で迷子の男の子を保護したり、お土産屋さんで何故か大きなペンギンのぬいぐるみを連が買おうとしたり、ハプニングや謎はあったものの、連とのデートは楽しかった。

 連はあまり笑う事はないものの、恐らく楽しんでいる……と思っている。イマイチ自信が持てないのは、時折連が壁に頭を打ちつけていたり、真顔でスマホを構えていたりと挙動不審な行動が目立つからである。

「今日なんか様子がおかしいけど、変な物でも食った?」
「別に。お前と一緒にいると高確率で起きる生理現象みたいなもんだ」

(大丈夫なのか、それ)

「今日ちょっと日差し強いし、疲れているのかもな。アイスでも食べようか」

連がチケットを買ってくれたので飲食代は波留斗が出すようにしている。連に元気になってもらおうと、波留斗はキャンピングカーで売っていたアイスを二本買って、そのうちの一本を連に渡した。

「ン、美味しい……」

暑い時期に外で食べるアイスはとても美味しかった。懐かしいミルキーな味が口の中に広がる。

「やべっ、ちょっと溶けかけてる……」

手のひらに垂れてきたアイスを舐めとり、ちらりと隣の連を見上げると、連はアイスを一口も食べておらず、何故かこちらを凝視していた。連が持っていたアイスからはすでにぼたぼたと溶けたアイスの液体が地面に落ち始めていた。

「わわっ、連! 溶けてる溶けてる!」

『もったいない』と波留斗は、アイスを持っている連の手ごと掴み、溶け始めているアイスに食らいついた。

「んっ……アイス食べれないほど体調悪いのか?」
「…………お前、ほんとわざとじゃねぇんだよな?」
「は? なにが?」
「マジで勘弁してくれよ……」
「連!? 本当に大丈夫か?」

『はぁ~~~~~~』と長いため息を吐きながら、連がその場にしゃがみ込んだ。

「お腹痛いのか? なぁ、医務室に行った方が……」
「必要ねぇ」
「でも……」
「あぁ~~~~~~……これだから、お前と出かけんのはよぉ……」

「ッ……」


苛々した様子で頭をかき上げながら、連は忌々しそうに呟いた。連がその先に何を言おうとしたかはわからなかったが、苛立ったこの表情からしてあまりポジティブな言葉じゃなかっただろう。波留斗は自分の頭から一気に血が下がっていくのを感じた。

(俺は一日ずっと楽しかったけど、連はずっと無理してたのかも……)

先日見た紬と買い物していた時の連の顔を思い出した。今日のデートより遥かにその時の方が連はリラックスしている様子だったし、楽しそうだった。

(今日はなんか様子がずっと変だったし、俺が浮かれていただけで、本当は連はずっと家に帰りたかったのかもしれない……俺が楽しそうにしているから言い出せなかっただけで。体調悪かったのに、全然察してくれない俺に苛立ってたのかも)

そうだとしたら申し訳ない事をしてしまった。ずっと連に無理をさせてしまっていたようだ。

「ッシャ! 邪念は追っ払った。行くか」
「…………」
「波留斗?」
「え、何?」
「アトラクション行こうぜ。まだ観覧車とかジェットコースター乗ってないだろ?」
「……あー……また今度にしようか。連も疲れているみたいだし」
「あ? お前は高いところから夜景とか見んの好きだったろ、ガキの頃から」
「よく覚えてるね」
「まぁ、お前の事だし」
「……いいよ。夜景はまた今度にしよ。連の体調が良い時に」
「俺は別にどこも悪くねぇぞ」
「……そっか」
「でも、まぁお前がそこまで乗り気じゃねぇならそろそろ撤収するか?」
「うん」
「……ぬいぐるみ本当に要らねぇのか?」
「あんな大きいの買って貰っても置く場所ないって」

ぬいぐるみを買おうとする連の肩を軽く叩きながら波留斗は出口へと向かって歩き出す。その足取りは行きとは違い、かなり重く感じたのだった。
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