両片思いの幼馴染

kouta

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初デート編

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 両耳にピアスを無理矢理開けられた波留斗は涙目になりながら、犯人である連を睨みつけた。
 しかし、波留斗を痛みつけた張本人である連はとても嬉しそうにピアスをつけた波留斗を見下ろしている。

「そのピアスもいいな。波留斗は水色が似合う」

どうやらピアッサーについていたピアスは水色らしい。確かめる時間もなくつけられてしまったので、波留斗は今自分の耳についているピアスの色を知った。

「ありがと……せめて心の準備させて欲しかったけどな!」
「お前に早くつけてもらいたかったんだよ」
「…………まぁ、俺もいつかは開けたいと思ってたし、いいけど」

波留斗は、ズキズキと未だに痛む耳たぶに触れながらそう言う。

「あまり触んな。化膿するかもしれねーから、今日はシャワーだけにしておけよ」
「うん、わかった」

連の忠告に従って、波留斗は手を離し、箱の中で未だに鈍い光を放つ黒い石のピアスを見つめる。

(早くつけたいな……連と紬が、大切な幼馴染二人が真剣に選んでくれたプレゼントだから)

「気に入ったみたいで良かったよ。お前、ファッションとかアクセサリーとかあんま好みわかんなかったから」
「こだわりないからな」
「だから今日の服を見て驚いた……もうあんまそういう格好して外出るなよ」
「そんなに似合ってなかった?」

苦笑いしながらそう訊ねると連は暫くの沈黙ののち、顔を逸らして言った。

「…………似合ってるから、着るな」
「はぁ?」

(なんだそれ矛盾してないか??)

「テメェはただでさえ人間ホイホイなんだから、これ以上引き寄せんなっつってんだよ!」
「人間ホイホイって……」
「ホイホイしてんじゃねぇか! しょっちゅう誰某と遊びに行くだのなんだの」
「今月は俺の誕生月だったから誘いが多かっただけだぞ?」

そういうと、連は深い深いため息をついて目を細めた。ものすっごく呆れた目でこちらを見ている気がする。

「んなあざとい恰好で、電車内で痴漢に遭わなかったのが奇跡だわ」
「いや、お前目腐ってないか? 俺、男だぞ?」
「そうやって無警戒だから余計心配なんだろうが」
「心配……」

(連が俺のことを……?)

「その『意外』って顔やめろマジで。ほんと苛つくから」
「…………なぁ、これ、俺の自惚れだったら、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど、さ……」
「あ?」
「連が俺とあんまデートとかしたくなさそうなのって……その、……俺のことが心配だからなの?」
「…………」

連は、暫し俺の顔を見つめ、そして大きなため息を吐いて言った。

「……別に、お前と出かけたくねぇ訳じゃない。ただ、お前に群がってくる虫を追い払うのが面倒なだけで」
「虫?」
「本当は駅前で待ち合わせっつーのも、嫌だったんだよ。案の定お前ナンパされてやがるし、デート中も有象無象がお前の事見ててうぜぇし……でも、出先でしか見られねぇお前の顔もあるから、デート自体は嫌いじゃない」
「……ふはっ」
「あぁ!? 何、笑ってやがる?」
「いや、連ってさ……俺のこと、好きなんだって思って」
「……なに、今更なこと言ってんだよ」
「今更だったかぁ……」

デート中に連が苛々していることが多かったのは嫉妬のせいだったなんて、思いもしなかった波留斗は思わず口許を緩めて安堵の息を吐く。

(そっか……連は俺と出かけるの、嫌じゃなかったんだ……)

「連……また俺と出かけてくれる? 誕生日じゃなくても」
「当たり前だろ。でも、一個だけ条件がある」
「何?」
「他の奴見んな。デート中は俺だけ見てろ」
「……あははっ!」
「だから! なんで笑うんだよそこで!!」

怒る連とは対照的に、クスクスと笑った波留斗は満面の笑みを連に向ける。

「心配しなくても、俺はずっと連だけ見てるよ」

寧ろ、連の顔色ばっかり窺って、連の機嫌を損ねないことばかりに、気を配っていたような気がする。ある意味、波留斗はずっと連の事ばかり気にしていた。

 でも、連の機嫌の悪い理由を知った今後のデートは、もっと楽しいものになるだろう。

「なぁ連。次の週末は何処に行く?」

波留斗は、胸を弾ませながら、次のデートの約束を連に持ちかけるのだった。




初デート編 完
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